German Vintage Modules

ドイツ等のビンテージ業務用録音機材紹介、ラッキング、モディファイなど。

Helios Type 69 - Mic/Line Pre with 3 Band EQ

2014-12-15 02:48:33 | vintage gear

旧 German Vintage Moduleでは沢山のアクセス並びにコメントを頂き誠にありがとうございました。

どうにか引っ越し作業も完了して(リンク切れは多数ありますが、、、)再開の目処もつきましたので今後とも宜しくお願い致します。

 

1969年の英国にキラ星の如く現れ、およそ125台のコンソールを製造して1978年に突然姿を消した、幻の "Boutique console builder" HELOS社のinput module Type 69です。

 

Richard Swettinghamを筆頭にOlympic Studiosのテック達が自らのスタジオで使用するコンソールを開発しstudio 1に設置された後に、Helios社が創立されserial #1はstudio 2に納入されました。

"if you had the budget, We would build whatever layout you desired…"

これを象徴するように、お馴染みのストレート型コンソールや、コックピットを彷彿とさせるような左右が折れ曲がったコンソール、モジュール色もベーシックな黒、Leon Russellがオーダーした鮮やかな赤、silver、chocolate brown, ultramarine blue, and puke yellowなど全てカスタムメイドで多岐に渡り、同じような回路構成でもお馴染みの+24V仕様もあれば、-24Vのハイ グランド仕様のモジュールも存在しており、サウンドもLed Zeppelinや10ccをイメージするもコンソール毎に幾分異なります。

このType 69は、巷に出回っている回路図の米Hyde Street Studioに納入された-24V仕様とは異なり、2N3707と2N4058が逆使いされている+24V仕様ですが、NEVEAPIでは得られない独特のHeliosサウンドは健在です。

 

構成はLustraphone社製のトランスを使用したMic入力からトランジスタ3個で構成されているディスクリートアンプカードでゲインを稼ぎ、3 Band EQとHPF(LOWはEQ or Filterの選択)を経て入力段と同じアンプカードでGain Makeする出力はアンバランスのモジュールです。

MIC入力はトランスの巻線比を利用した-20dBのPadが備えられているやや特殊な構成で、Line入力はアンバラでGain設定も10dBステップと荒いため高め側にレベル設定すると少々歪みやすいですが、絶妙なポジションで使用するとNEVEとはひと味違う歪感を伴った当時のサウンドが鮮明に蘇ります。

EQも高域は10KHz固定で±12dB/4dBステップ、中域は0.7/1/2/2.8/3.5/4.5/6.5KHzをPK/TRスイッチを切り替えてGain/Reduceするタイプ(慣れないと右にツマミを回すとReduceされて行く感覚に戸惑いますが、、、)、低域は60/120/250/400HzのGainのみ、もしくはスイッチ付きのGain PotをCCW方向に回し切って50HzのHPFを-3/6/9/12/15dBで使用するタイプです。

+24dBu at 0dBFSやレベルがマキシマイズされたようなDAW世代のレベル設定に直結して使用するには、歪みやクリップなどNEVE等のモジュールに比べやや荷が重いので、その改善を望まれたお客様からのリクエストでライン入力のトランス化を計り、アンバランスの出力も+4dB程のゲインを持つトランスを使用する事によって現代の使用環境に於いても使いやすいファインチューンを施した事も功を奏し、アンバラではやや腰高気味だったサウンドもFairchild 660/670を彷彿とさせるような低域の着地感と音楽に与えるワクワク感に惚れてしまい、久し振りに強く「欲しい!」と思わせるような記憶に残るモジュールとなりました。

 

前述のように「予算さえあれば欲望のままに」のモジュールなのでピンアウトも参考程度にしかなりませんが、備忘録として残しておきます。

コネクターは恐らくBeatlesでお馴染みのREDDコンソールに使用されていたフェーダーと同じタイプのpainton/plesseyの15 pinだと思います。

 

Helios Type69 Pinout

1 : Mic IN +

2 : Mic IN -

3 : (0V)

4 : Line IN + (UNBAL)

5 : (0V)

6 : to POT(top)

7 : from POT(wipe)

8 : +48V IN

9 : (0V)

10 : B- (0V)

11 : Output + (UNBAL)

12  

13 

14 : B+ (+24V)

15 : Chassis