German Vintage Modules

ドイツ等のビンテージ業務用録音機材紹介、ラッキング、モディファイなど。

TAB/Telefunken V76/80 - To Remove the Filters 実践編

2012-07-13 00:14:00 | vintage gear
エルゴトロン LX Desk Mount LCD Arm 45-241-026エルゴトロン LX Desk Mount LCD Arm 45-241-026
価格:(税込)
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V76_pairV76シリーズをお持ちの方から「レンジが狭い」「低域が軽い」等のご相談を頂く事が多いので再度『ブロードバンドフィルター』のバイパスモディファイについて実戦編としてご紹介します。

作業としては、それ程難しい行程はありませんが、これをご覧頂いてもピンと来ない方はDIYで機材を壊す可能性もありますので素直に業者さんを頼って下さい。

V7680_circuitboardHPF→この画像の右上辺りにある5,6,7,8とその上の9番がinputトランス中点に繋がっているコンデンサ20uf で、9番とパラについている抵抗300Ωが54番です。トランス中点のケーブルは5番の上部に出ているので、そこに何も挟まっていない状態にすれば良い訳です。


V76_jpfLPF→モジュールの上蓋と底板を取り外してサイドにある4本のネジを外すとFパネルが外れて画像のようなルックスになります。フィルタースイッチの上にある丸い物体が84番のBV Nr.517aなので、そのリード線を取り外し、84番が繋がっていたターミナル同士をリード線で直結します。(Purple Audioに記載されていた方法にはこれを5KΩの抵抗に置き換えるとされていましたが、直結でもレベルその他問題はありません。)次に、近くに100pfのフィルムキャップ25,26番があるので、それも取り外して終了です。

その他、前段のキャップ容量をモディファイすると低域のロールオフも実際の録音作業に使用しやすいように調整出来ますが、その辺りは業者さんのノウハウの領域だと思いますのでご容赦下さい。

以上で、Fパネルのフィルターは使用可能なまま、内蔵の「ブロードバンドフィルター」はバイパスされ、V76sのように15KHzでロールオフしていない分(ローエンドも同様)、よりワイドレンジな20Hz~30KHzまでほぼフラットな素晴らしい特性のアンプとなります。

これでもダメな個体は電解、フィルム等のリキャップが必要な場合と、サブシャーシのフローティング機構が破断していて共振を上手くキャンセル出来ず「詰まった」ような音質等になっている場合も考えられますが、フローティング機構のオーバーホールは殆どのシャーシとPCBを分解して修理後に再度組み直す必要が生じる等、大変手間と時間が掛かるため費用が嵩みますので購入の際は初段のEF804Fが乗っているサブシャーシが適度の弾力を持ってしっかり固定されているかを必ず確認して下さい。(国内で修理して六角のスタッド等で完全に固定してしまった個体もたまに見掛けますが音質的には感心しません。)


V76_chokeV76sのFパネルを取り外すと丸い物体の変わりにミニチュアトランスのような物がありますが、これがV76s用に別注されたNI/FE alloy製のインダクタです。


"s"タイプ用に特別に別注されたパーツが醸し出す雰囲気を選択するか、フィルターモディファイされて他も完璧に整備されたノーマルタイプの伸びやかな表現力を選択するか、どちらも素晴らしいアンプだけに贅沢な悩みです。