前回の続きです。
ラックの改修も完了しモジュールのリキャップに進みます、基本は今まで東独機材で結果の良かったメーカーのコンデンサーを使用して、まず片ch仕上げてリキャップのビフォーアフターを比較します。最初に手を付けた方のモジュールは予想通りの仕上がりで聴感・測定共に歪・音質も改善され、残すは誤った容量のコンデンサーが入っている方のモジュールを正規の値に変更して完成と思いきや、周波数特性がさらに酷くなり歪も悪化するではありませんか、、、
RFTのゲルマニウムトランジスタは手持ちにない事もあって見過ごしていたのですが、入力段のひとつに収縮チューブが被されているものがあり、恐る恐る除去してみると何とTFK AC122で代用されていました。
近似値どころか全く特性が違うものが使用されており、これではまともに動作するハズもありません。
ここで、何故22ufと2.2ufが間違っていたのか?その理由を確信する事になります。
試しに2.2ufに差し替えてみると22ufの時より多少正常に近づくと言うか、低域特性は多少犠牲になりますが高域特性は聴感上なんとなく揃っているように聴こえます。
ここで「小数点の見落し」との見立てから、チートな修理を確信したと言う訳です!
近年、市場には目ぼしい有名機材は枯渇傾向なようで圧倒的にReverbから購入された方からのご相談が多いのですが、以前にもゲルマニウムEQのバイパススイッチに電流が流れない様に内部でジャンパーしてアクティブにならないような悪意ある改造のモジューを修理した事を思い出し、これもReverbだったな、、、と。同じようなケースは他にも多数あります。
音が出ていれば、返品・返金不可の暗黙の了解を悪用した、チート・悪意ある改造が横行して、さらには非常識な金額設定も多数見受けられ、ごく一部のセラーの所業と思いたいですが、あまりにも目に余るような状況です。
単純に壊れているだけなら発見も容易で壊れている部品を交換すれば修理も完了しますが、今回のケースのように電源電圧は足りず、適切な代替品も使用されておらず、クレーム対策で不正な改造が施されているような複合的なケースでは、原因の特定に余分な時間も費やし、それは修理代にも少なからず反映されてしまいます。
修理を生業にしている者にとってはビジネスチャンスと考えられるかも知れませんが、機材を冒涜するような改造を目の当たりにすると「手段は問わずマネタイズ」の現代社会の縮図を見ているようで機材好きとしては本当に腹立たしい気持ちになります。
このBLOGを始めた頃に入手した機材は、最低限でも技術者としての矜持を感じられるものが今思えば多かったように思いますが(それでも満足出来ないで始めたBLOGでした。)、楽器系の販売者が扱うようになってからは、このような悪い意味での魔改造が増えたような気がします。
とは言え、ここに来て感情的になっても仕方ないので「ゲルマニウムトランジスタ探し」に奔走する事になります。
長くなってしまいましたので、続きはまた次回とさせて頂きます。