German Vintage Modules

ドイツ等のビンテージ業務用録音機材紹介、ラッキング、モディファイなど。

V76反則技 - CHOKEのハズが抵抗負荷

2016-05-30 16:58:24 | vintage gear

ここ最近、あり得ない修理(モディファイ)が施された機材の修理依頼が多くなってきました。

 

ゲインスイッチやフィルターも問題なくあたかも正常に動作しているように思われるのですが、音質に深みがないと言うか何とも薄っぺらい音色でV76とはかけ離れた印象の出音で「個体差」の範疇を完全に逸脱している状態です。

そうなると先ずはコンデンサ類や真空管の劣化を疑う訳ですが、既にリキャップ済だったり真空管も交換されたいたりする訳です。

詳しく調べて行くと、このV76は2、4段目がチョーク負荷となった真空管アンプなのですが、、、何と!チョーク負荷の所が「抵抗」で代用されている。

ご存知のように「チョーク VS 抵抗」では、直流・交流に対する動作がまるで違うので、当然の事ながら音質への影響が大なのに困った事にパッと聴きには正常に動作しているように音が出てしまう。

V76と言えば高額で取引されるアンプなので、2個1・3個1でもどうにか音が出るように反則技も厭わず修理してNC/NRで売却してしまう、、、そんなアンプが非常に多いのが現状のようです。

中でもBV514 PLATE CHOKEは400Hなので国内での巻き直しもままならず中古品の入手も困難なので、困り果てた挙句に本国のツテをフル活用して当時の製造者だったHaufeにオーダーして修理を完了した次第です。

若干数ですがストックもありますのでお困りの方はご相談ください。

 

そんな修理痕を見ていると昔話題になった、近所のおばあさんがフレスコ画を「描き直した」スペインの教会の事件を思い出します。災い転じて参拝者が増えれば良いのですが、オーディオの世界では「」の通りにしかならないので入手の際はくれぐれもご注意ください。

 

 


NEVE 33115 - Chanel Strip

2016-05-05 00:55:10 | vintage gear

ブロードバンド用の5000シリーズやメルボルン等にインストールされていたチャンネルストリップ33115です。

 

構成部品から音質は1081系にイメージされがちですが、出力トランスが違うので、どちらかと言うと「低域がタイト」な 1073/84/66系がしっくり来るように個人的には思います。

 

このラックはおよそ10年前に納品した今では大変希少となったBlakey製のユニットですが、驚く事に納品から現在に至るまでオリジナルパーツのままノートラブルで稼働して来ました。

 

流石に製造から30年以上経過しているため、CAP等に不具合が出てメンテナンスに帰って来たので、久しぶりに比較試聴してみると前述のような印象となった次第です。

 

内部カードはディスクリートのB438/440やICベースのB638/640など幾つか仕様がありますが、どちらの場合もターミネーション負荷により音質は大きく変わるのでGeoffさんの言う通り”the IC versions have advantages over the discrete if one ignores the hype, urban legends, and audiophile snobbery.”かも知れません。

 

ビッグネームである1073/1081の陰に隠れがちなモジュールの33115ですが、Class A NEVEの低域処理に戸惑っている方にはもっと評価されても良いモジュールだと思います。