ここ最近、あり得ない修理(モディファイ)が施された機材の修理依頼が多くなってきました。
ゲインスイッチやフィルターも問題なくあたかも正常に動作しているように思われるのですが、音質に深みがないと言うか何とも薄っぺらい音色でV76とはかけ離れた印象の出音で「個体差」の範疇を完全に逸脱している状態です。
そうなると先ずはコンデンサ類や真空管の劣化を疑う訳ですが、既にリキャップ済だったり真空管も交換されたいたりする訳です。
詳しく調べて行くと、このV76は2、4段目がチョーク負荷となった真空管アンプなのですが、、、何と!チョーク負荷の所が「抵抗」で代用されている。
ご存知のように「チョーク VS 抵抗」では、直流・交流に対する動作がまるで違うので、当然の事ながら音質への影響が大なのに困った事にパッと聴きには正常に動作しているように音が出てしまう。
V76と言えば高額で取引されるアンプなので、2個1・3個1でもどうにか音が出るように反則技も厭わず修理してNC/NRで売却してしまう、、、そんなアンプが非常に多いのが現状のようです。
中でもBV514 PLATE CHOKEは400Hなので国内での巻き直しもままならず中古品の入手も困難なので、困り果てた挙句に本国のツテをフル活用して当時の製造者だったHaufeにオーダーして修理を完了した次第です。
(若干数ですがストックもありますのでお困りの方はご相談ください。)
そんな修理痕を見ていると昔話題になった、近所のおばあさんがフレスコ画を「描き直した」スペインの教会の事件を思い出します。災い転じて参拝者が増えれば良いのですが、オーディオの世界では「絵」の通りにしかならないので入手の際はくれぐれもご注意ください。