German Vintage Modules

ドイツ等のビンテージ業務用録音機材紹介、ラッキング、モディファイなど。

RFZ V740/1Cのラッキング 2

2008-11-22 01:16:53 | Metal work
ハイマウント サバイバルシート ゴールド 22134 ハイマウント サバイバルシート ゴールド 22134
価格:¥ 630(税込)
発売日:




V740_ck_wire2ここからは、ドリルを半田ごてに持ち替え結線作業をして行きます。まずは、フロントパネルにあるファントムスイッチですが、Ramping基板から出ている+48VDCのラインをスイッチの上の端子にハンダ付けします。中央の端子から入れて上から出しても動作は同じですが、その場合OFFポジションで下の端子から+48Vが出ますので前述の方が安全です。中央の端子からパラって6.8KΩの抵抗を付けてLEDのアノードに接続して、カソードはPSUの0Vに戻します。回路に詳しい知人から『LEDはノイズの原因になる事が多いので別回路を使用した方が良い』とアドバイスを貰いましたが、そうするとRampingしている状態でもLEDは即時に点灯/消灯してしまいます。電圧が下がり切らない間の抜き差しは余り好ましくないので、あえて前述の方法でLEDを点灯させています。それにより、ファントム電源投入時は即座に点灯しますが、OFFの際には電圧の降下に従ってLEDの明るさも落ちて行きますのでケーブルを抜くのは完全に消灯してからにして下さい。

次に、フェーズスイッチですが、これもPSU+24vDCから上の端子に入れて、中央の端子からリレーの+端子に接続します。リレーのー端子からはPSUの0Vに戻します。

V740_inner_rearいよいよピンアウトに従ってコネクターのハンダ付けをします。画像のように上の8 pinコネクターが音声信号用で、下が電源回路用です。上のコネクターBの1 a-bが、inputで、4 a-bがoutputですので、そこからXLRに接続します。下のコネクターAは、3 bにー20VDCを接続して、3 aから2 a-bさらに上のコネクターBの2 a-bをジャンパーして0Vに接続します。XLR pin 1からのシールドはこの0Vにハンダ付けして下さい。

V740_side_inner2コネクターのハンダ付けが完了したら、ケーブルに無理なテンションが掛からないようにケース内に収めますが、その際にリレー基板とコネクターとのクリアランスが殆どありませんのでショートしないよう注意して下さい。モジュールを実装する前にファントム電源やフェーズスイッチが問題無く稼働するかも確認します。

V740_top_open問題無いようならば、モジュールを実装します。その際もモジュールがPSU等の基板とショートしていないか確認して下さい。固定はフロントパネルのハンドルでロックすれば完了です。

せっかく購入されても通電せずにモジュールのまま保管されていては、半年もしない間に音が出ないモジュールに変身してしまうかも知れません。プロにラッキングを依頼すると最低でもモジュールと同じような金額となってしまいます。パーツや工具を揃えるのは少々面倒かも知れませんが、自分でラッキングすると妙な愛着も湧いてくるので是非チャレンジしてみて下さい。


RFZ V740/1Cのラッキング 1

2008-11-19 03:11:38 | vintage gear
MS-324i ホットスワップゲージ MS-324i ホットスワップゲージ
価格:(税込)
発売日:




V740_comp_front_vV781同様V740もかなりレアなモジュールですので、このBlogを見て実際にラッキングされる方は少ないと思いますが、モジュール状態で落札頂いて、そのまま放置という話を耳にしましたので以前行ったV740/1Cの様子も紹介します。


V740_phase_pcbV781の位相切り替えスイッチはDPDTで行いましたが、今回はモジュール内にOPトランスも内蔵され、奥行きがかなり長いモジュールなので、リレーを使用した方法で作業を進めて行きます。リレーと言ってもDPDTのスイッチを電気的に切り替えるだけの違いですので基本的には前回ご紹介した『たすき掛け』の方法です。リレーを選択する際には、お手持ちのPSUの電圧で動作する密封型金接点のリレーが良いと思います。電圧を掛ける端子+/-に逆起電力を吸収?するIN4004等のダイオードと1uf程度のコンデンサーを画像のような基板を使用してXLRコネクターに設置します。これによりフロントパネルのスイッチは単にリレーのON/OFFをするだけなので、コネクターからXLRは最短距離で結線出来る事になり、奥行きの長いモジュールには有効だと思います。今回はファントム電源の6.8kΩの抵抗もこの基板内に設置してあります。

V740_connectorRFZ V740/1CはV76等でおなじみのTuchel 12 pinと良く似たコネクターですが、8 pinで、コンソール内にはこのようなパネルを使用してインストールされていました。今回はこれを利用してラッキングして行きますが、几帳面な西独製と違い固定用のLアングルは現物合わせをしないと微妙にずれてしまい、思わぬ所で当時の東西の経済力の違いを感じてしまいます。このコネクタープレートを使用する事でハンドル(フロントパネルにある穴でフォーンプラグ用の穴と良く間違えられます)を使用してのホットスワップが可能となります。

V740_inner_front次にファントム電源ですが、V76の時に紹介した『電圧がゆっくり上がって、ゆっくり下がる』モジュールに優しいRamping電源を使用します。基本的には1000uf / 63Vと2.2kΩの抵抗で簡単に出来ますのでこちらをご覧下さい。1000ufより2000ufとか、500ufで充分とか、小さい容量のコンデンサーをパラって付けた方が良いとか。。。。諸説色々ありますが、要はそのモジュールの負担にならないスピードで電圧が上り下がりすれば良いと私は解釈しています。小さい容量のコンデンサーをパラと言う件は知人のアドバイスに従って、急なピーク信号にも追従出来るようにするためとノイズフィルターみたいな働きを期待して採用しています。

V740_front_switchフロントパネルはこれも現物合わせで穴開けをして、スイッチとLEDを取り付けます。画像では2回路のスイッチを使用していますが、リレーフェーズ+ファントム電源であれば1回路で大丈夫です。

V740_side_inner2_2
ここまで用意出来たら、ラックを仮に組上げてシャーシに先程製作したコネクタープレートをこれまた現物合わせで取り付け穴を空けて、中央の空いたスペースにPSUとRamping電源の基板を設置する穴を空けるのですが、私の場合、この時点で手持ちのピッグテールを使用して実際に電源を入れてノイズ等のチェックをしながら位置決めをします。しかし、モジュール状態で放置の方は、もしピッグテールをお持ちのようでしたら実際に使用していると思いますので、こんな感じでレイアウトして下さい。ただし、PSUはシャーシをヒートシンクにしようなどとは考えず、ちゃんと正規の取付け穴4点を使用する事をお勧めします。(PSUの電圧を調整するために底板まで外さないと調整出来ず、モジュール実装状態での調整はほぼ不可能となります。)この点に関しては次回作では改善しました。もう一点XLRとパワーケーブルはなるべく下側にあった方が使い易いのですが、コネクタープレートとのクリアランスがこのラック(D 350mm)を使用すると5mm程度しか無くかなりきわどい事になりますので、もし試される場合はXLR / IECコネクターのレイアウトを工夫するとかなり余裕が出て楽に結線出来ますので一考して下さい。

次回は、コネクターやスイッチの結線について作業を進めて行きます。


RFZ V781のラッキング 3

2008-11-16 23:18:27 | vintage gear
What's in Your Lunch Box?: A Scrumptious Scratch-And-Sniff SmorgasbordWhat's in Your Lunch Box?: A Scrumptious Scratch-And-Sniff Smorgasbord
価格:¥ 720(税込)
発売日:2001-07-24



V781_almostバラック状態でハム等のノイズはベストな状態になるようにレイアウトは決めたつもりですが、ケーブルの引き回し等でかなり変化しますので色々試して下さい。PSUにトランスを使用する場合、モジュールや電源の個体差もあるとは思いますが、outputトランスをXLR側にレイアウトするとひどいハムに悩まされます。最近はスイッチング電源もかなり良くなって来ているようでブラインドテストでは、ほぼ解らないかも知れませんが、集中が切れたふとした瞬間に『何か違う?』みたいな印象を持つ事がありますので、個人的にはノイズ関係に問題が無ければトロイダルを使用したレトロな電源の方が『腰の強さや馬力』みたいな不透明な理由ですが違いを感じるので私は好んで使用しています。

V781_wirebind前回でハンダ付けは終了しているはずなので『固くて納めにくい』Belden 87761をラックの中にどうにか納めつつバインドして行きます。音質は好みのBelden 87761ですが、テフロンの被膜が固くて末端処理が大変なのと曲げに対してのテンションが強いので8451等のケーブルよりかなり苦労します。製作の効率で考えると間違いなく8451等の柔らかいケーブルです。しかし、音色がそれより『少しだけ艶っぽい』ので最近は労を厭わず、このケーブルで作業する事が増えて来ました。

V781_stopperそろそろ、モジュールをどうやって固定するかを考えます。不都合にもこのV781はどこにも引っかかる所が無くXLR方向にもフロントパネルの方向にも前後どちらも動かないように固定しなければいけません。フロントプレートを止めているネジが上下2個あるのでそれを利用して前に抜けないように固定して、後ろ方向はコネクター付近でアルミケース付属の銀色のバーで固定します。上の空いたスペースはウレタンで、下側はゲル状の衝撃吸収シートで挟み込みます。


V781_comp_front22Uの時はコンボタイプのXLRで楽器からフォーンも受けていたので、当初はスイッチ付きのフォーンジャックで楽器類はフロントからアクセス出来るように考えていましたが、以前購入して使用していないアクティブDIがあったので試しに付けてみた所、以外と好印象なので採用しました。音質はBB 2604なので容易に想像出来ると思いますが、V781のキャラが濃いので『煌めいたV781』のようでRFZのキャラは薄まりません。これによりEG,EB等の楽器も直接使用出来るのは便利です。

V781_comp_rearヒートシンクは長時間の使用にも耐えられるように、もう少ししっかりしたものに変更しました。
トップパネルにハンドルを付けて完成です。


RFZ V781のラッキング 2

2008-11-15 02:53:22 | vintage gear
I Need a Lunch Box I Need a Lunch Box
価格:¥ 1,748(税込)
発売日:1988-09



V781_psuPSUが完成したら、半固定トリムで希望の電圧に調整して、ピンアウト通りに電源とIN/OUTのXLRを接続すれば、このモジュールは使用する事が出来ます。outputはアンバラですのでトランスを使用しない場合は、2芯シールドでモジュールのコネクターの12(ch1)10(ch2)の上の列にコールドとシールドを、下の列にホットをハンダ付けして、XLRには2kΩの抵抗を2-3pinにハンダ付けして下さい。(常時2kΩ程度の機材がつながっている場合は必要ありませんが、何も接続しないで電源を入れると壊れる事があるため2kΩでターミネートします。)

V781_au43トランスを使用する場合は、 AÜ43を例にして説明すると、モジュールのコネクターの12(ch1)10(ch2)の下の列からAÜ43 プライマリー側 pin 1に、上の列の12(ch1)10(ch2)はpin 2に接続します。次にセカンダリー側はpin 10にシールド、pin 11にホット、pin 12にコールドを接続して下さい。これでトランスバランスになります。inputはバランスですので、1(ch1)6(ch2)の上がコールド、下がホットで、シールドはトランスのpin 10に接続します。(AÜ35もpin番号は同じです。)

以上の作業で完了ですが、トランス使用が必ずしもベストな音質という訳ではありません。コンソールに実装されていた状態では、次段にはw734(アンバラ)等のEQが接続されていて最終段のフェーダーまではトランス無しですから2kΩでターミネートしての使用もかなり魅力的で一時期話題になった音色はこの方法です。スタジオでの録音作業時には次段に何が接続されるか未確定な事が多いので、自己使用の場合、基本的にはトランスバランスにしますが、そのアウトプットトランスを選定する際にMarinair LO1166を始めHAUFEやTRIAD等色々試した結果、このモジュールに関してはRFZ社のAÜ43がV781の持つ独特の高域の滑らかさと空気感に加えトランスならではのタイトな低域をより良く再現出来るという結論に達した次第です。


実際の録音作業での使用を考えるとファントム電源と極性の切り替えスイッチは最低限欲しい所なので、その辺の作業を進めて行きます。


V781_ck極性切替は文字通り正相/逆相を切り替えるスイッチですが、方法は2種類あります。音声信号をフロントパネルまで引き回してDPDTのスイッチを使用して切り替える方法と、XLRの所に小型のリレーを装着して音声信号は最短でXLRに供給して、フロントパネルのスイッチはそのリレーをコントロールする方法です。特性的には音声信号最短でXLRの方が有利に思えますが、聴感的には一概にそうとも言えずケースバイケースで勘を頼りに決める事になります。今回はoutputトランスのレイアウトが割とフロント側に寄った事もあって、アナログ的にDPDTの方が好印象だったのでその方法を採用します。接続はスイッチの上と下の接点をたすき掛けにして、下から入れて真ん中から出すという単純な方法です。方法は単純ですが、ちゃんと切り替わっているか確認のためにテスターなど当てないで下さい。トランスを使用している場合は一気に帯磁して高域特性が残念な事になります。残念ながらそうしてしまった方は『トランス 消磁』でググって下さい。

V78168k次にファントム電源ですが、XLR-inputのpin 2,3にそれぞれ6.8KΩの抵抗をハンダ付けして抵抗を1つにまとめ、PSUの+48VDCからフロントパネルのスイッチを経由して、そこに接続すれば完了です。LEDを付ける場合はアノードに適当な値の抵抗を接続して点灯するようにして下さい。カソードですがエコの時代に反しますが0Vに1本ずつ引き回します。私の場合、0Vに接続する必要がある線はホントに面倒ですが、最初はそれぞれ1本ずつ引くのが基本となります。その後に音色等と相談しながら取り回しを変更したり、一点アースを崩してみたりと果てしない作業が続きます。

と言う事で、本日はここまでとさせて頂きます。

追記:コネクターのピン番号 ( ch1)が一部違いましたので訂正しました。11/15


RFZ V781のラッキング 1

2008-11-12 23:06:42 | vintage gear
LUNCH BOX―I’ll make your “WOW!”みんなに自慢できるワンランク上のランチボックスLUNCH BOX―I’ll make your “WOW!”みんなに自慢できるワンランク上のランチボックス
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:1999-06


8月以来、全く更新していないのにも関わらず毎日多くの方にご訪問頂きありがとうございます。

V781_front_comp久しぶりに自由な時間が出来たので、2Uのラックに収まっていたRFZ V781を手軽に持ち運べる『ランチボックス風』にラックマウントしましたので、その様子を何回かに分けてご紹介します。

V781_innerまず、外側のケースは本来ならステンレスでカスタムメードしたい所ですが、手持ちのモジュールも数少なく、小ロットでオーダーするとモジュール価格の数倍とかなり高価な事になってしまいます。そこで、既製のアルミ製フリーサイズケースを使用して作業を進める事にしました。そうなると苦手なメタルワークは避けて通れないのですが、今回は内部シャーシは自分で加工して、外側の穴開け作業は板金屋さんにお願いします。XLRコネクターが4つキッチリ並ぶような板金屋さんを選択すると、ケース自体の価格はお手頃ですが、穴開け工賃はほぼケースと同じような価格になってしまいますので、やはりメタルワークは今後の課題です。

今回のコンセプトは、”歌入れ等のスタジオに徒歩で行っても苦にならない程度の大きさ、重さと最良の音質” です。

V781_chassis2電源トランス/PSU基板、AÜ43 output transformer等のパーツをケースに直接固定すると穴だらけになってしまうので2.0tアルミ板でシャーシを製作します。このシャーシはケースの押さえ金具を利用して固定しますが、組み立ては少々カラクリ箱のようになってしまいそうです。

PSUはRFZの場合-20~-24VDCなので、JLM AUDIO / JOEさんのAC/DC ver.2キットを使用しました。単純な回路で組み立ても容易ですが、1枚のPCBで、+/-2V ~ 37VDC 1Aと+48VDC 300mAが供給出来て国産のハイテク電源より好みの感じでモジュールを駆動してくれます。そのPCBにはRSで入手可能のトロイダルトランス257-4991を接続します。

Psu1このPSUはキットで送られて来ますが、抵抗やダイード等の高さが低い部品からハンダ付けして、次にトリム、、、最後に1000ufのコンデンサーと慣れた方なら30分程で完成です。前述のトランス(22~28VAC)を使用する場合は、PCB手前にあるT-Dは中央のホールとDをジャンパーして下さい。それ以外のトランス(15~18VAC)の場合は、中央のホールとTをジャンパーする事で使用可能となります。

Psu2付属のパーツでも特に問題は感じませんが、キットなのでパーツのグレードアップも組み立て時なら容易ですのでお試し下さい。私はいくつかのパーツは変更しています。完成したらLM317/337はかなりの熱を出しますのでヒートシンクを忘れずに装着して下さい。

トロイダルトランスとPSUボードの接続方法はJLMのwebに詳しく解説してあります。また、JOEさんも不明な点は親切丁寧に教えてくれるナイスガイです。

続きは近日中にアップします。