German Vintage Modules

ドイツ等のビンテージ業務用録音機材紹介、ラッキング、モディファイなど。

ファインチューニング 雑感

2013-02-19 01:34:03 | vintage gear
シャープ ヘアードライヤー(ホワイト系)SHARP プラズマクラスター IB-HD92-Wシャープ ヘアードライヤー(ホワイト系)SHARP プラズマクラスター IB-HD92-W
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ファインチューニングをする際に、どのようなコンデンサーを使用するか?


V6721_inner自分で使用するのであれば主たるモジュールでは、入手が比較的容易で評判の良さそうななコンデンサーは、ほぼ試したので仕上げたい方向性さえハッキリすれば何を使用するかは余り迷う事も少なくなりました。


V6725900しかし、「現状は『こう』であるので、『こうして』欲しい」リクエストされた言葉から現状を把握し仕上がり方向を予測するとなると、そう簡単に事は運ばなくなります。


V76bott3そこで、基準になるのが、「そのアンプ」の標準的であろう音質なのですが、ほぼ全てのGerman Vintageアンプは「40-16KHz」なので、少々厄介なのは現在のオーディオ事情からは当時の性能を完璧に再現しても「ナローレンジ」に感じてしまう事で、V76等は評判やモディファイ済の個体を聴いて、イザ自分が入手した際にガッカリする、、、などと言うケースも少なくありません。


V76recap_bott録音用途で使用する際は、ワイドレンジ化するために内部フィルターをバイパスするモディファイを行い、平滑始め電解コンの怪しいものは迷わず交換で一件落着する場合が多いのですが、再生用途で使用される場合は、発売当時のトーンを求める方も多くいらっしゃるので、その辺りは全体のシステムと良く聴く音楽などを伺いながらリクエストされた言葉を手探りながら具体化して行きます。


V781_inner中でも一番厄介なのが、ブランド指定で無理な仕上がり方向を指定される場合で、ご存知のように、コンデンサーと言うパーツはDCは通さず、ACのみ通過させるものなのですが、必要な帯域において全てフラットに作用する訳ではなく、トランスやアンプのように特有のピークやディップが存在します。


V781_recapコンデンサー固有の音色があって、それを通過させれば「その音」になるとの誤解から生まれた信仰にも似た思い込みだと思うのですが、音声回路にシリーズに入っている箇所であれば否定はしませんが、それ以外の箇所はフィルターになっていたりするので、例えば中域を基準に低域が出過ぎればハイ落ち傾向のコンデンサーと感じる事もあれば、同じコンデンサーでも逆の場合はヒステリックな、、、と、感じる場合もあります。

40Hz辺りの低域の出方で中高域の印象は大きく変わるし、抜けないからと言って高域を出そうとすると結果的には「ドンシャリ」状態になってしまうし、バランスの悪いアンプで「あるワンポイント」の音色だけにこだわっても無意味と言う事です。


V76sbott確かにGerman Vintageのコンデンサーは、同時期の国産やUSAモノと比べると恐ろしい程に「新品」以上の性能や固有のトーンを有しているモノも少なくありませんので、入手が可能な場合は積極的に採用しますが、長年の使用で固有のクセやピークがあるようなアンプにはむしろ技術革新の進んだ現代のコンデンサーを使用した方が良い結果が得られる事も少なくありません。

その特性を良く理解して、回路設計やパーツ選定を経て生まれたアンプが名機であり、時代や個人の好みに応じて若干の改良を加えて行くのが良いモディファイだと考えています。