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保護犬との暮らし

2018-06-04 06:02:34 | 新聞記事・Webニュース・テレビ・書籍・ブログなど

犬と暮らしてみようと思ったら、家族を待ってる犬がいることを思い出して

2018年5月22日(火) いぬのきもち(WEB MAGAZINE)



「命を預かる、ということは本当に大変なことです。どうか覚悟と責任を持ってから犬と暮らす決心をしてほしいです」
こう語るのは、元保護犬・柚ちゃんの飼い主さん。
柚ちゃんと初めて出会ったのは、まだ生後2カ月のころ。
飼い主さんの長女が中学生、次女が小学校4年生になろうとするタイミングで、「犬と暮らそっか」となったのだそうです。
犬種にこだわりはなかったものの、お金で犬を買うことに抵抗があり、里親募集のサイトを見て探すことに。

柚ちゃんとのはじめての出会い
この写真は、実際に里親募集サイトに載っていたもの。
「私の一目惚れで、早速連絡をして会いに行ったんです」と、飼い主さんは振り返ります。
柚ちゃんは2013年1月に産まれの女の子。
母犬は野良犬でした。
保護されたときは、もう1匹の姉妹と一緒に固まっていたそう。
そのコに比べると、柚ちゃんは控えめな性格だったといいます。
食べ物にありつくのは、いつも柚ちゃんが最後。
そんな姿も、また愛らしい。
「どんな性格でも、このコがいい!」と、飼い主さんの柚ちゃんへの思いはますます強くなっていくのでした。

犬を飼うのがはじめての飼い主さんが直面した苦労
待望のワンちゃんとの生活に期待に胸が膨らみますが、飼い始めのころは大変なことも多かったようです。
柚ちゃんが最初に保護されていたお宅では、そのおうちのワンちゃんが1匹、ほかの保護犬が1匹、そして姉妹がいたので、4匹で生活をしていました。
仲間と離れて飼い主さんの家にひとりで来たことに、不安を感じてしまったのでしょう。
家に来て1週間は、夜鳴きが続いたといいます。
「鳴いても放っておかないといけないのがつらかったです」と、そのときは飼い主さんも心を鬼にしなければなりませんでした。
徐々に環境の変化には慣れてきたものの、ケージの中で過ごすことには、なかなか慣れなかったそう。
犬を飼うのがはじめてだった飼い主さんご家族は、ケージを嫌がる柚ちゃんを見て「どうしたらいいんだろう・・・」と、悩んでしまう日が続くのでした。

「トライアル期間中に柚を返そうか・・・」
 悩む飼い主さんを支えた、子どもたちの言葉
犬の「イタズラ」を経験するのも、もちろんはじめてのこと。
飼い主さんが外出するとき、夜眠るとき、柚ちゃんはいろんなイタズラをしたといいます。
「外出から帰るときは、毎回なにをされているか、ドキドキしながらの帰宅でした。トライアル期間は2週間でしたが、柚を何度返そうと思ったことか・・・」
いくらかわいくても、いつまでこのイタズラが続くのだろうかと、途方に暮れてしまった飼い主さんの気持ちもよくわかります。
気持ちが滅入ってしまった飼い主さんを支えたのは、子どもたちの言葉でした。
「子どもたちが『柚を絶対に返したくない!』と言ったので、私も腹をくくって覚悟しました。いま思えば、本当に返さなくてよかった」
自分ひとりだけで、まだコントロールがなかなかきかない柚ちゃんを相手にするのは、飼い主さん自身も精神的に負担になってしまいます。
そこを乗り越えられたのは、家族の支えと「柚ちゃんを幸せにしたい」という思いの強さだったのだと思います。

控えめでおとなしいと思っていた柚ちゃんに、家に来てから嬉しい変化が
飼い主さんのお宅で過ごすようになり、柚ちゃんにも「いい変化」が徐々に見えてきます。
保護宅にいたころは、ほかのワンちゃんを優先してか、控えめな性格の柚ちゃんがなんでも最後。
しかし、飼い主さんのお宅に来てからは、以前の柚ちゃんでは考えられないほど元気で、やんちゃで、ほかのワンちゃんにも物怖じせずに抱きついていくコになったのだとか。
「うちの末っ子になって、伸び伸びしたのかな」と、飼い主さんは嬉しそうに語ります。
柚ちゃんにとって飼い主さんのお宅は、きっと自分の気持ちを押し殺さずに、素直になれる場所なのでしょう。
もう我慢しなくていい。
柚ちゃんは、自分らしくいられる場所を見つけることができたのです。

飼い主さんがいま、柚ちゃんに伝えたいこと
苦楽をともにしてきた柚ちゃんに、「いまあらためて伝えたいこと」を飼い主さんに聞いてみると、こう答えてくれました。
「私の目標は、老衰でヨボヨボになった柚を介護して看取ることです。それまでずっとママのところにいてね、と伝えたいです。事故に遭ったり、迷子になったりすることだけは絶対にさせたくありません」
飼い主さんの思いは、きっと柚ちゃんにも伝わっているはず。

これから保護犬を家族に迎える人に、伝えたいこと
保護犬を家族に迎えるというのは、決して簡単なことではありません。
過去のトラウマが染み付いてしまっているコの場合は、人に心を開くまでもかなりの時間を要します。
「犬を飼いたい」という気持ちだけでは、保護犬を幸せにすることは困難なのかもしれません。
これから保護犬を家族に迎えたいという人には、ぜひ柚ちゃんの飼い主さんの言葉を聞いてほしいです。
「『命を預かる、ということは本当に大変なことです。どうか覚悟と責任を持ってから犬と暮らす決心をしてほしいです』と、冒頭に厳しいことを書きましたが、犬との暮らしは本当に楽しいです。大変さ以上の喜びがあります。保護犬だろうが、純血種だろうが、雑種犬だろうが、こちらが愛せば犬は倍以上に愛してくれます。犬はみんな同じ、家族が大好きです。もし犬と暮らしてみようか、と思ったらペットショップに行く前に、家族を待ってる犬がいることを思い出してほしいです」
苦労も多いけれど、それ以上の喜びがある。
それは、飼い主さんの言葉と柚ちゃんの姿からも、伝わってくるのではないでしょうか。
柚ちゃんの飼い主さんのInstagramには、柚ちゃんとの笑顔の日々が詰まっています。
気になった方は、ぜひ覗いてみてください。
参照/Instagram(@yuzu1910)
取材・文/凜香
いぬのきもちWeb編集室