〈土佐犬襲撃〉被害女性を助けず帰宅 逮捕の飼い主供述
2014年4月24日(木) 毎日新聞
北海道白老(しらおい)町の海岸で2月、散歩中の女性が土佐犬2匹に襲われ水死した事件で、23日に重過失致死容疑で逮捕された飼い主の無職、佐治清容疑者(65)=同町=が道警苫小牧署の調べに対し、犬を放した後、女性の悲鳴が聞こえたので駆け付けたが、女性を助けずに自宅へ犬を連れて帰ったと説明していることが、同署への取材で分かった。
同署によると、女性が襲われてから約3時間後の2月26日午後1時ごろ、佐治容疑者は「海岸に女性が倒れている」と近くの駐在所に届け出たが、自分の犬が襲ったことは隠した。
その後、佐治容疑者が海岸で大型犬を放していたとの目撃情報に基づいて、同署が任意で事情を聴いたところ、「倒れていた女性に自分の犬がかみついていた」と、うその説明をしたという。
容疑は同日午前10時ごろ、同町の海岸で、大型の土佐犬2匹が凶暴なことを知りながら、周囲を十分に確認せずにリード(引き綱)を放した結果、2匹が散歩中の同町、無職、橋場トミ子さん(当時59歳)を襲って転倒させ、海で水死させたとしている。
橋場さんの顔や腹などに、かまれた傷が多数あった。
2匹は3~4歳の雄で、いずれも体重約50キロ、体長1メートル超。
事件後、苫小牧保健所で殺処分された。
北海道土佐犬普及会の三戸俊裕(さんのへ・としひろ)理事長代行(63)=函館市=は「犬をリードにつなぐという基本すら守っておらず、考えられない。責任は重い」と憤る。
土佐犬は普段はおとなしいが、子犬の時でもじゃれ合っているうちに闘争本能が働くことがあるという。
「ストレスさえため込まなければ人間の言うことを聞くが、それでもリードを放すようなことはしない」と話した。
【斎藤誠、酒井祥宏、三沢邦彦】
土佐犬について
基本情報
・体型 大型犬
・体高 60cm
・体重 90kg
・被毛 短く硬い毛
・カラー レッド、フォーン、アプリコット、ブラック、ブリンドル
・耳の形状 垂れ耳
・尾の形状 垂れ尾
・原産国・地域 日本
・グループ 番犬、護衛犬
・寿命 9〜11歳
性格
怖いもの知らずで大胆、かつ忍耐力があります。
大型犬特有の寛容で人なつこい一面も持っていますが、闘犬用として作られた犬なので、闘争心や鋭い攻撃性は秘め備えています。
一貫したしつけを怠ると、制御が不能となる可能性も大きいので、幼犬の頃から、愛情と忍耐を持ち、一貫性のある訓練を心がける必要があります。
日常の飼育ポイント
運動後には、被毛のブラッシングを十分に行います。
また汚れが目立ってきたら、よく絞ったぬれタオルなどで身体の汚れを落としてやるとよいでしょう。
換毛期には特に丹念なブラッシングを行い、死毛を取り除いてやります。
運動運動は毎日できるだけ長時間、リードをつけて行うことが必要です。
運動不足でストレスを感じると攻撃的になることがあります。
健康
・注意事項
闘犬用に作り出された犬ですから、興味本位で飼育したり、ペットとして飼育するのはなかなか難しいです。
たっぷり時間をかけて信頼関係を築ける人向きと言えるでしょう。
・気をつけたい病気
股関節形成不全、皮膚疾患、関節炎
歴史・起源
なんといっても、闘犬として有名な日本犬です。
そのルーツは、当時、土佐の領主が藩士の士気を高めようと闘犬を奨励したことに始まります。
我が国における闘犬の歴史は古く、14世紀にさかのぼります。
闘犬として最初に使われたのが現在の四国犬でしたが、その歴史の裏側で土佐犬は四国犬と洋犬種の混血によって作出され、その繁殖が行われた地方名が犬種名になりました。
別名ジャパニーズ・マスティフとも呼ばれています。
作出に使われた洋犬には1872年にブルドッグ、1874年にマスティフ、1876年にジャーマン・ポインター、1924年にグレート・デーンとの交配改良が順次行われました。
その他に、セント・バーナード、ブル・テリアも使ったと言われていますが、その年代は明らかではありません。
以上の犬種の関与によって、マスティフ型の耐久力と闘争心のある闘技犬として固定されました。
そして江戸後期になると、オランダやスペインからもち込まれたマスティフやブルドッグ、ブル・テリア、グレート・デーンなどの洋犬たちとの交配が進められ、明治時代にはさらに強力な闘犬がつくりだされました。
現在、土佐闘犬はジャパニーズ・マスティフとも呼ばれていますが、それはこの時代に加えられたマスティフの血を、色濃く残しているからとされています。
情報提供元:ニャンバーワン
JWCのづた動物病院院長 佐草一優