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動物たちにぬくもりを!

動物愛護活動の活動経過や日々の出来事、世の中の動き等幅広く紹介します。

「不幸な命を減らしたい」佐世保市動物愛護センター 

2023-03-18 06:18:56 | 頑張る行政

処置前のおびえた表情… 「不幸な命を減らしたい」佐世保市動物愛護センター 

2023年3月6日(月)   


収容した猫の様子を診る獣医師の田中さん(左)=佐世保市動物愛護センター

長崎県内における猫の殺処分数が長崎市に次ぐワースト2位の佐世保市(2021年度)。
同市動物愛護センター(大潟町)は「不幸な命を少しでも減らしたい」と、ボランティア団体「長崎ねこの会」などと共同でTNR(捕獲、不妊・去勢手術をして地域に戻す活動)や譲渡会などに取り組み、できない範囲を補い合いながら殺処分減少に向けた活動の在り方を模索している。
老朽化した市犬管理所(有福町)から移転し21年10月にオープンした。
医療機器が整備された診療室や講習室に加え、来場者と動物の触れ合いを可能にする見合い室があり、譲渡につなげる環境づくりをしている。
同センターによると、市の猫殺処分数は17年度に483匹だったが21年度は219匹と半分以下に減少した。
動物愛護法の改正で行政による引き取りのハードルが少しずつ上がっていることや、野良猫に不妊手術などをする「地域猫活動」、飼い猫への不妊手術の啓発の効果など、さまざまな要因が重なっているという。
もっとも、生きるべき命が殺処分されている事実に変わりはない。
同センター獣医師の田中康裕さん(44)は、処分時の心情を「やりきれないし吐き気がする」と吐露する。
麻酔の注射などで完全に意識をなくしてから心臓が止まる注射をしているが、処置前のおびえた表情は胸に迫るものがあるという。
「誰のせいでこうなったのかと怒りが湧いてくる。ビニール袋に入れる時は申し訳ない気持ちでいっぱいになる」と語気を強める。
田中さんは人の意識を変えることや地域猫活動などで野良猫を減らすことが殺処分減少につながると指摘する。
ただ、多頭飼育崩壊や無責任な餌やりなども影響している。
活動には民間や市役所内の他部署との連携が欠かせない。
同センターは保護猫の譲渡に向けた触れ合いを平日はしており、家族での参加がしやすいようにと年8回、週末に同センターで譲渡会を実施。
長崎ねこの会は譲渡会の開催場所を見つけるのに苦心した経緯があり、メンバーは「行政主体だと来場者からの信頼感があるし、勝手に猫を持ってきて置いていかれる心配もないので安心」と話す。
インスタグラムなどで同センターにいる猫や犬の様子をはじめ情報を発信し、動物愛護の啓発に注力している。
同センター獣医師の前田亮平さん(44)は「命の捉え方はそれぞれだが、私は人間と同じように重いものとして関わっている。動物の環境は人の都合で左右されるから。面倒を見るのであれば、その責任の重さを感じてほしい」と訴える。

 

猫の譲渡会とパネル展 19日、佐世保市動物愛護センターで
 猫の日(2月22日)前に

2023年2月16日(木)  


19日のイベントをPRする職員と、譲渡会に参加予定の猫「オチャ」=佐世保市動物愛護センター

猫の日(2月22日)を前に、「ねこといっしょにあゆもう~ねこの譲渡会&パネル展~」が19日、佐世保市大潟町の同市動物愛護センターで開かれる。
同センターと、野良猫の不妊去勢手術の実施など「地域猫活動」に取り組む長崎ねこの会が、野良猫の現状や適切な向き合い方に加え、4月から施行される「県動物の愛護及び管理に関する条例」の解説などのパネル展示を行う。
保護された猫の譲渡会もあり、参加する猫の情報はイベントの数日前に同センターホームページで知らせる。
同センター職員の青木俊樹さん(33)は「無責任な餌やりが招く弊害など、野良猫の実情を知って考えるきっかけにしてもらえたら」と話した。
問い合わせは同センター(電0956.42.3300)。


犬や猫を殺処分から救え、全国初条例(茨城県)

2016-12-11 06:11:28 | 頑張る行政

犬や猫を殺処分から救え 全国初、条例案を12月県議会に提案(茨城県)

2016年11月30日 東京新聞



県議会最大会派のいばらき自民党は、飼い主の飼育放棄などで県が処分を余儀なくされる犬と猫を減らすため、「県犬猫殺処分ゼロを目指す条例(仮称)」を12月1日開会の県議会定例会に提案する。
県によると、施行されれば、犬猫の殺処分防止をテーマにした条例は全国初となる。
県の犬の殺処分数は2012年度まで、全国の都道府県で8年連続のワーストを記録。
以後15年度まで二番目となっている。
条例制定を機に汚名を返上し、動物愛護の先進県を目指したい考えだ。
(酒井健)

条例案は全十二条で、罰則のない理念条例。
前文で「犬や猫の命を尊ぶことが、ひいては人間の命の尊厳の確保につながる」とうたっている。
条文では、飼い主に対しては13年施行の改正動物愛護法と同様、犬や猫が天寿を全うするまで飼育し、できなければ責任を持って代わりの飼い主を見つけることなどを求めている。
ペット販売業者に対しては、法律よりも一歩踏み込み、客に「最後まで責任を持って飼うことを促す」よう規定している。
飼い切ることが困難と思える場合には「販売しない」ことも努力義務として掲げている。
また、県にも法律の趣旨に準じ、犬をつないで飼うことなど、適正な飼育の普及・啓発と、市町村に対する支援を義務付けている。
県動物指導センター(笠間市)によると、殺処分数が多い背景には、人口10万人当たりの犬の飼育頭数が全国7位と多いこと、温暖な気候と広い土地のため、放し飼いの犬が繁殖し野犬化しやすいことなどが考えられるが、はっきりした原因は分からない。
ただ「『犬がまた、子を産んでしまった。引き取ってほしい』などと安易にセンターに持ち込もうとする意識の低い飼い主がいることも事実」と担当者は指摘する。
近年は、全国的な動物愛護の機運の高まりに加え、改正法の施行で県が飼い主からの安易な引き取り要請を拒否できるようになったこともあり、犬の殺処分数は減少。
半面、猫の殺処分数の減少は緩やかで、12年度以降は犬を上回るようになった。
猫は飼い主の有無が判別しづらいが、センターに持ち込まれる猫の95%は飼い主の分からない子猫。
「野良猫が納屋で子どもを産んでしまった」などと説明されることが多いという。
このため条例案では「所有者のいない猫を新たに生じさせないための地域住民などによる取り組み」に対する県の支援を明文化した。
野良猫に避妊・去勢手術を施して地域に返し、住民らが世話をする「地域猫」活動などを想定している。
また県が、ふるさと納税制度などを活用し、啓発活動などの政策推進の資金に、全国からの寄付を充てることも定めた。
条例案が可決されれば、県は、法律に基づいた県動物愛護管理推進計画を改正する際、趣旨を反映させる。
プロジェクトチーム座長を務める県議の舘静馬さんは「県民や関係者と一体となって条例を実りあるものにしていきたい」と話している。
条例案は12月22日の定例会最終日に採決される見通し。


<アニパル仙台>犬命救助 殺処分4年間ゼロ

2016-12-03 05:51:20 | 頑張る行政

<アニパル仙台>犬命救助 殺処分4年間ゼロ

2016年11月28日(月) 河北新報


4年前から犬の殺処分ゼロが続くアニパル仙台=仙台市宮城野区扇町6丁目

仙台市動物管理センター「アニパル仙台」(仙台市宮城野区)が2012年度以降、犬の殺処分ゼロを達成している。
ペットを持ち込む飼い主に対して責任を持って世話を続けるよう説得を重ね、収容された迷子の犬は譲渡に力を入れる。
行政による犬猫の殺処分をなくす取り組みが進む中、目指すのは「収容ゼロ」の環境づくりだ。

15年度の犬の収容数は飼い主からの引き取りが10匹、迷子など抑留犬が137匹だった。
このうち95匹は飼い主に戻し、42匹を譲渡。
残る10匹はボランティアの協力を得て世話をしながら飼い主を探した。
年間殺処分数は約20年前、400匹を超えていた。
12年度に動物愛護法が改正され、飼い主の持ち込みを拒否できるようになった。
「飼えなくなった」「治療代がかかる」など自己都合による引き取り要請には「処分の施設ではない」と諭し、飼育の継続を促す。
東日本大震災後は飼い主を失うなどした犬猫の収容が増え、全国から被災動物のための寄付が寄せられた。
「引き取りたい」との申し出もあり、譲渡にも積極的に取り組むようになった。
猫は15年度に1175匹を引き取り、488匹を譲渡・返還したが、571匹を殺処分せざるを得なかった。
多くは生後間もない野良猫。
ボランティアの協力で譲渡できるまでに育てるが、全てケアするのは難しい状況になっている。
環境省は13年度、犬猫殺処分ゼロのプロジェクトを開始し、小池百合子東京都知事も知事選の公約に掲げた。
犬は仙台市のほか、神奈川県もゼロを達成したが、全国ではまだ少数だ。
宮城県の施設では15年度、103匹が殺処分された。
アニパル仙台の新木由美主任は「重要なのは持ち込まれる犬や猫をなくすこと」と強調。
飼い主にルールやマナーを守って最後までペットを飼うよう呼び掛け、野良猫には避妊去勢手術を施し、かわいそうな命を増やさないよう啓発活動にも取り組む。
引き取りを断った犬や猫が捨てられるのではないかとの不安が尽きないという新木さん。
「ペット問題は飼い主のモラルなど人間に行き着く。動物を処分せず共生するにはどうしたらいいか、一緒に考えてほしい」と訴える。


住民で世話する「地域猫」 全保健所管内に誕生(和歌山)

2016-11-24 06:02:03 | 頑張る行政

住民で世話する「地域猫」 全保健所管内に誕生(和歌山)

2016年11月19日 朝日新聞


餌やトイレを住民で管理する地域猫=新宮市内

野良猫の殺処分を減らすため、県の承認のもとで飼い猫以外の猫を住民たちで世話する「地域猫」の制度で、このほど県内の全保健所管内にこの取り組みをする地域が誕生し、全県的な広がりとなっている。
餌やりや排泄(はいせつ)について管理計画を作った住民らに対し、県が不妊去勢の手術費用を助成する仕組み。
野良猫に迷惑している人、かわいそうな猫を何とかしたい人の双方に配慮した制度で、餌やりと不妊去勢を組み合わせることで野良猫が増えるのを防ぐ。
改正県動物愛護管理条例の来春施行に先んじて、県が今年度、事業を始めた。
6月に田辺市で最初の承認地域が誕生したのに続き、和歌山市、岩出市などと広がり、今月、保健所単位では最後となる新宮保健所串本支所管内の串本町に41番目の地域が誕生した。
新宮市王子町地区の女性は「同じ生命。処分はかわいそう」と考え、今夏から知人とともに野良猫だった4匹の世話をしている。
うち3匹は県助成金で不妊手術を済ませた。
同じく新宮市神倉地区の男性はこの女性の紹介で県制度を知り、10月から不妊手術を済ませた猫3匹に餌を与えている。
「世話をすれば長生きしてくれる」と言う。
県はさらに地域猫を広めようと、19日午後1時半から和歌山市の県民文化会館で、20日午後1時半から上富田町の上富田文化会館で、これから地域猫の世話をしたい人向けのセミナーを開く。
申し込み不要。
新宮保健所では12月8日午後1時から同内容のセミナーを催す予定。
(東孝司)


犬殺処分3年連続ゼロ 旭川市動物愛護センター

2016-05-29 06:08:29 | 頑張る行政

犬殺処分3年連続ゼロ 旭川市動物愛護センター

2016年5月18日 北海道新聞


旭川市動物愛護センターに収容された猫。新たな飼い主を待っている。

飼育放棄された犬や猫を収容する旭川市動物愛護センター「あにまある」の昨年度の殺処分数(速報値)は、犬が2013年度から3年連続でゼロとなり、猫は前年度比6割減の49匹だった。
全国的な猫ブームや動物愛護に対する市民意識の高まりで、新しい飼い主への譲渡が進んでいるほか、飼い主のいない「地域猫」に不妊や去勢の手術することで繁殖を抑え、収容数を減らす取り組みが効果を上げている。

道などによると、犬の殺処分ゼロが3年続くのは、道内の保健所や関連施設では最長。
猫の殺処分は11年度の403匹に比べ、昨年度は10分の1に減った。
殺処分が減った背景には、センターが犬や猫の譲渡を進めてきたことがある。
自治体が収容した犬や猫は、狂犬病予防法と環境省の告示により、原則3日間の抑留が決められており、その後、殺処分できる。
センターは12年9月に市郊外から中心部に移転。
移転前は施設が狭く、3日を過ぎると犬や猫を殺処分するケースが多かった。
移転後は収容スペースが6倍に広がったことで、多い時で100匹以上の収容が可能になり、時間をかけて譲渡先を探せるようになった。
交通の便が良い中心部に移転したことで、動物愛護に関心のある市民の見学が増え、新しい飼い主が見つかりやすくなったほか、「最近の猫ブームで札幌や稚内など遠方からの引き取り手も増えている」という。
13年度からは、飼い主のいない猫の繁殖を抑えるため、住民がえさを与えている「地域猫」に不妊去勢手術を行い、元いた場所に返す取り組みもしている。
手術したのは3年間で590匹に上り、収容数はここ3年で200匹以上減った。
それでも飼育放棄で持ち込まれる犬や猫は後を絶たない。
センターを管理する市保健所の水上敏昭・衛生検査課長は「センターが最後のとりでではない。飼い主自身が飼育モラルを守り、動物愛護に協力してほしい」と話している。


猫「殺処分ゼロ」 5年連続(千代田区)

2016-03-12 05:57:09 | 頑張る行政

猫「殺処分ゼロ」 5年連続(千代田区)

2016年02月16日 読売新聞

◆千代田区見通し
飼い主のいない猫の保護活動を続けている千代田区は、2015年度末で、猫の殺処分ゼロを5年連続で達成する見通しだ。
区では、野良猫の去勢不妊手術にかかる費用を助成するとともに、飼い主が見つかるまで猫を預かる活動を支援している。
20、21日には、「ちよだ猫まつり」を区役所で開催し、収益金を猫の医療費などに充てる。
区では、猫の去勢や不妊手術にかかる費用の助成を00年度から実施している。
区民から「庭で野良猫が子供を産んでしまったので、どうにかしてほしい」といった相談が増えたことが背景にある。
自宅周辺にいる野良猫を見つけて区に報告する役割は、動物愛護に賛同してくれる区民たちが担う。
区が「普及員」として認定しており、現在は86人にまで増えたという。
主に離乳前の子猫や負傷した猫については、地域の保健所などを通じて都動物愛護相談センターが引き取るが、その多くは殺処分されるという。
区ではボランティア団体と連携し、こうした猫を同センターには送らず、引き取り手を探す譲渡会を随時開催。
すぐに引き取り手が見つからなければ、ボランティアや動物病院に一時的に保護してもらっている。
15年度からは、動物病院に預ける費用の一部を助成する事業も始めた。

◇医療費確保にイベント開催
一方、譲渡会に出す猫は、事前に感染症の有無などを確認する必要があるが、検査の費用が不足しているという。
このため区は、猫の愛好家が楽しめるチャリティーイベント「ちよだ猫まつり」を20、21の両日、区役所で開催することにした。
売り上げの全額が寄付金になる。
イベントでは、愛猫を撮影する際のコツを伝授する写真教室や、猫の健康に関する相談会、猫の雑貨やアクセサリーの販売などを予定している。
21日は猫の譲渡会も行う。
区地域保健課の担当者は、「人と動物が共生する社会の実現に協力してもらえれば」と話している。
問い合わせは、ちよだ猫まつり実行委員会(070・1493・2828)へ。

きょうはネコの日・・・殺処分ゼロの町
動画 http://www.tv-tokyo.co.jp/mv/newsanswer/newsl/post_106691/


犬猫の殺処分ゼロへ、秋田に新施設

2016-02-29 06:11:22 | 頑張る行政

犬猫の殺処分ゼロへ、秋田に新施設 「猫好き知事」後押し

2016年2月9日 福井新聞


秋田県の佐竹敬久知事が飼っているシベリア猫「ミール」。
ロシアのプーチン大統領から贈られた。(秋田県提供)

犬猫の殺処分ゼロを目標に掲げる秋田県が、新たな動物愛護センターを計画している。
市民が猫と触れ合えるキャットタワーや、犬猫の譲渡会場といった設備を充実させ、新たな飼い主に引き取られる件数を増やすことで、殺処分の減少につなげる狙い。

猫好きで知られ、ロシアのプーチン大統領から贈られたシベリア猫「ミール」を含め8匹を飼う佐竹敬久知事が後押しする事業で、2019年度のオープンを目指している。
県によると、秋田市の公園内に約6200平方メートルの敷地を用意。
施設は木造平屋で、猫が自由に動き回れる空間を設けたり、犬や猫の譲渡会を開くボランティア団体にホールを貸したりする予定で、整備費は8億4千万円。
16年度当初予算案に必要経費を盛り込む方針だ。
(共同通信)


生後8週まで犬猫は親元に(札幌市)

2016-02-04 06:26:24 | 頑張る行政

生後8週まで犬猫は親元に 札幌市「飼い主の努力義務」全国初の条例化へ

2016年2月2日 sippo(朝日新聞)

日本の法律では現在、生後45日をすぎた子犬や子猫なら販売できる。
一方、欧米先進国の多くで「8週齢規制」が常識だ(本文と写真は関係ありません)

幼い子犬や子猫の適切な社会化を促すため、札幌市は、生後8週間までは親と子を一緒に飼育することを飼い主の努力義務と定める方針を固めた。
条文を盛り込んだ市動物愛護管理条例案を2月17日に始まる市議会に提案し、10月からの施行を目指す。
「8週間」と明記して規定する、いわゆる「8週齢規制」の条例化は全国初とみられる。
幼すぎる子犬、子猫を産まれた環境から引き離すと適切な社会化がなされず、問題行動を起こしやすくなる。
また生後40日過ぎくらいから母親からの移行抗体が減り始め、免疫力が低下するとされる。
このため米、英、フランス、ドイツなど欧米先進国の多くでは、8週齢(生後56~62日)まで、子犬や子猫(国によっては子犬のみ)を生まれた環境から引き離すことなどを禁じる「8週齢規制」を法令で定めている。

札幌市の条例案は「動物の福祉の向上」を目的に掲げ、犬と猫の飼い主に対して「生後8週間は、親子を共に飼養するよう努めること」を義務付ける。
すべての犬猫の飼い主に適用され、繁殖業者やペットショップも例外ではない。
「動物が動物らしく暮らせ、飼養されるような条例案にしたいと考えた。施行後は、8週齢規制の努力義務化について、犬猫等販売業者に通知、指導していく」(向井猛・市動物管理センター所長)
札幌市では現在、犬猫等の販売業者に対して動物愛護法で提出と順守が義務付けられている「犬猫等健康安全計画」に、生後何日まで自分のところで育てているのか、具体的に記入するよう指導している。
条例施行後は、その日数を「8週間以上」に書き直すよう、指導する予定だという。
札幌市議会では、主要会派の自民党が「動物たちの福祉を向上させることが大切。地域のためになる条例案でもある」などとし、民主党・市民連合、公明党も賛成の意向だ。

大屋雄裕・慶応義塾大教授(法哲学)はこう話す。
「動愛法の規定の仕方から、生後56日以下の犬猫を販売する自由を積極的に保障しているとは判断できない。札幌市の条例案は、法律の目的を率先して実現しようとするものであり、地方自治体の工夫ある取り組みとして、評価できる。今後は、こうした動きが他の自治体に広がっていくかどうかがポイントになる」

2013年9月に施行された改正動物愛護法には、「出生後56日を経過しないものについて、販売のため又(また)は販売の用に供するために引渡し又は展示をしてはならない」という条項が新設された。
だが、これに動物取扱業者らが作る業界団体や一部国会議員が強く反対した結果、付則がつけられた。
付則によって、本則にある「56日」が16年8月までは「45日」、それ以降は「別に法律に定める日」まで「49日」と読み替えられてしまった。
付則は自治体の取り組みの足かせにもなっている。
東京都の動物愛護管理審議会では、一部都議や動物愛護団体が13年から14年にかけて、国に先んじて都条例による「56日(8週)齢規制」を実現する提案をした。
だが、都は「地方自治体は法律を上回る条例は作れない。規制を条例に盛り込むことは検討しない」という姿勢だ。
大阪府では15年から条例化を模索しているが、「府として8週齢規制を早期に実現したいと考えているのに、法律の付則にいつ実現するかわからない『経過措置』が書かれていることが、大きな壁になっている」(大阪維新の会の中野稔子府議)としている。

「8週齢規制」の主な導入例
【日本】
<動物愛護法> 出生後45日(※)を経過しない犬猫は、販売のため又は販売の用に供するために引き渡し又は展示をしてはならない
(※2016年9月から「別に法律に定める日」までは出生後49日)
【札幌市】
<市動物愛護管理条例案> 犬及び猫については生後8週間は、親子を共に飼養するよう努めること
【アメリカ】
<連邦動物福祉法> 最低8週齢以上および離乳済みの犬猫でない限り商業目的のために輸送または仲介業者に渡されてはならない
【イギリス】
<犬の飼養及び販売に関する1999年法> 生後8週間に達していない犬を販売してはならない
【ドイツ】
<動物保護法 犬に関する政令> 8週齢未満の子犬は、母犬から引き離してはならない
【フランス】
<農事法典> 犬猫については8週齢を超えた動物のみが有償譲渡できる
(諸外国の事例は環境省調べ)

(太田匡彦)


2016年1月31日 札幌新聞

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救い続ける 殺処分ゼロへ努力 川崎市動物愛護センター

2015-12-02 06:08:58 | 頑張る行政

救い続ける 殺処分ゼロへ努力 川崎市動物愛護センター

2015年11月28日 朝日新聞


【動画】犬の殺処分ゼロを達成した川崎市動物愛護センターの取り組み=杉本康弘撮影
http://www.asahi.com/articles/ASHCV0212HCTUQIP04F.html




夕方、散歩に出かけるミックと獣医師の池田史朗さん。
ミックは昨年8月に保護されて以来、川崎市動物愛護センターで、もらい手を待つ。食欲を失うなどの症状が出るアジソン病を患うが、薬で治療を続け元気を取り戻している。
「数年前なら処分されていましたね」と池田さん。
年内にいい家族との出会いがあればと願う=川崎市高津区


川崎市動物愛護センターでの譲渡会を訪れた家族。
引っ越しを機に犬を探しに来た。
父親は「子どもたちも大きくなり、飼う責任も持てる」


神奈川県動物保護センターの譲渡会で生後5カ月の雌の子猫を引き取った鈴木キヨ江さん。
東京から故郷の神奈川県平塚市に戻ったのを機に、飼うことにした。
「猫と暮らすのは久しぶりで本当にうれしい」。
木葉(このは)と名付けた=平塚市


川崎市動物愛護センター内にある、犬や猫を殺処分する部屋に立つ角洋之所長。
「このような施設が必要の無い社会になれば」=川崎市高津区


保護される犬や猫が減り、使われなくなった神奈川県動物保護センターの殺処分機。
いまは獣医師が麻酔薬を使い、一匹一匹の最期をみとる=平塚市

捨てられた犬や猫などの行政による殺処分が全国で年間10万匹を超えるなか、川崎市動物愛護センターでは、2013年度から犬の殺処分ゼロを達成している。
職員たちの努力、飼い主のモラルの向上、そしてボランティアによる譲渡活動の高まりが、小さな命を救っている。
同センターでは今年7月から譲渡会を毎月催すようになった。
施設は市民に開放され、子どもたちに命の大切さを伝える動物愛護教室を、昨年度は51回開いた。
職員たちの一部は獣医師でもあり、犬や猫の去勢・避妊手術も担当。
子猫にミルクを与え、犬との散歩も欠かさない。
現在、職員全員で約60匹の犬や猫の世話をする。
猫については昨年度、犬の約3倍となる437匹が同センターに収容され、うち12匹は獣医師の麻酔薬で処分された。
角洋之所長(54)によると、同センターでは30年ほど前は多いときで年間約8千匹の犬や猫を殺処分した。
「ゼロにできたのは、持ち込まれる数が減ったからに過ぎない。増えれば、また処分せざるを得ない」
(写真・文 杉本康弘)


野良猫を不妊・去勢し返す「TNR」、県が初実施(秋田)

2015-11-23 06:08:03 | 頑張る行政

野良猫を不妊・去勢し返す「TNR」、県が初実施(秋田)

2015年11月5日 朝日新聞


去勢手術を終え、地域住民に引き取られたオス猫=秋田市浜田

野良猫の数を抑制し、殺処分される猫を少しでも減らそうと県は今年度、野良猫の不妊・去勢手術に取り組み始めた。
10月下旬、秋田市の県動物管理センターで1匹目の手術があり、去勢されたオス猫が同23日、地域の住民に返却された。
この日、引き取りに来た秋田市の女性(68)を見つけると、カゴの中でオス猫が「ミャー」と甘く鳴いた。
センターの職員は「センターに来てから威嚇するばかりだったのに、こんな声を出すんだ」と驚いていた。
オス猫の右耳は手術の証しとして、V字にカットされ、首にはマイクロチップが埋め込まれた。
女性は15年ほど、野良猫に自費で不妊・去勢手術をする保護活動を続けており、多くの猫に手術を施すことで野良猫の数は少しずつ減ってきたという。
行政が支援に乗り出してくれたのは、大きな一歩。多くの人に関心を持ってもらえる」と話した。
県生活衛生課によると、野良猫の抑制に効果的なのが、「TNR」と呼ばれる活動だ。
「TRAP(捕獲)」、「NEUTER(不妊・去勢手術)」、「RETURN(戻す)」の頭文字を取った略語で、野良猫に手術を施し、地域のルールで管理する「地域猫」として戻すことを指す。
地域でこれ以上、猫を増やさないようにしながら、命をまっとうさせることが目標だ。
県内の犬猫の殺処分数は徐々に減っているものの、昨年度、犬が150匹だったのに対し、猫は770匹を数えた。
県は猫の殺処分数を減らすため、従来は住民有志が自費で実施していたTNRなどの活動に、今年度初めて予算をつけた。
年度内に、さらに3匹の手術を計画する。
事業初年度の今年度は、以前からボランティア活動が活発だった秋田市内の2地区をモデル地区に選んだが、同課担当者は「来年度は事業規模を拡大し、県内8地区ほどで実施したい」と話している。
(曽田幹東)