和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

もうおそい ということは。

2023-03-04 | 道しるべ
「大村はま国語教室」の資料篇4の、函の中には冊子が4冊。
中学校時代に、学校からのプリントを配布されているままに、
そのプリントを読んでいる気分になってきます。

はい。配布されたプリントを、おざなりに見ていた中学生でしたから、
今回もそんな感じでパラリ。『読書生活通信』という冊子を開きます。

『読書生活通信』No.1には日付があり「42.10.15」とあります。
一面の左上『指針』とあり、本居宣長の『うい山ぶみ』の言葉がある。
その引用は、佐々木治綱訳となっています。

うん。岩波文庫の本居宣長「うひ山ふみ・鈴屋答問録」は
短くって「うひ山ふみ」だけでも58ページほどですから、
短いので読んだことがありました。古典に触れた箇所など分からない。
それでも、短いし、易しそうな箇所を摘まみ読みしたことがあります。

そういうことで、ここはひとつ引用箇所を、原文にあたってみる。
だいたいの脈絡から、ここじゃないかなという箇所。
当時の本居宣長の謦咳に接しているような感じになります。
では引用。

「  初心のほどは、かたはしより文義を云々、 」

はい。この箇所は新書でいえば小見出しにあたるようです。
そのあとにこうつづきます。

「 文義の心得がたきところを、はじめより、
  一々に解せんとしては、とどこほりて、すまぬこともあれば、

  聞こえぬところは、まづそのままにて過すぞよき。

  殊に世に難き事にしたるふしぶしを、まずしらんとするは、
  いといとわろし、ただよく聞えたる所に、心をつけて、深く味ふべき也。

  こはよく聞えたる事也と思ひて、なほざりに見過せば、
  すべてこまかなる意味もしられず、

  又おほく心得たがひの有て、いつまでも其誤りをえさとらざる事有也。」

 ( p39~40  岩波文庫 )


はい。大村はま先生は『読書生活通信』をはじめるにあたって、
本居宣長の『うい山ぶみ』を指針とし、掲げてあったのでした。
実際の通信は、佐々木治綱訳です。そちらも引用しておきます。

「どの書物を読むといっても、学び初めのころは、
 片っぱしから文章の意味を理解しようとしないほうがよい。

 まずだいたいにざっと見て、他の書物を見、あれやこれやと読んでは、
 また以前読んだ書物に返りながら、何べんも読むうちには、

 始めにわからなかったことが、少しずつわかるようになってゆくものである。
 
 これらの書物を何べんも読むうちには、その他の読むべき書物のことも、
 研究法についても、だんだん自分の考えができてくるものであるから、
 それからあとのことは、いちいちさとし教えるに及ばない。     」


はい。私は中学生となって、大村はま先生の国語教室に、
今は、はじめからやり直し通おうと思っているのでした。
ということで、思う浮ぶ詩を引用しておわることに。



       いま    杉山平一


    もうおそい ということは
    人生にはないのだ

    おくれて
    行列のうしろに立ったのに
    ふと 気がつくと
    うしろにもう行列が続いている

    終りはいつも はじまりである
    人生にあるのは
    いつも 今である
    今だ



そういえば、『うひ山ふみ』のはじめの方には
こんな箇所もありましたね。

「・・又晩学の人も、つとめはげめば、思ひの外功をなすことあり。
   又暇(いとま)のなき人も、思ひの外、
   いとま多き人よりも、功をなすもの也。

   されば才のともしきや、学ぶ事の晩(おそ)きや、
   暇(いとま)のなきやによりて、
   思ひくづをれて、止(やむ)ることなかれ。・・・  」

           ( p15 岩波文庫 )





コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ペロッとした一枚の紙切れ。 | トップ | 傍らに・・幼い小学生が。 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんばんは(^^♪ (のり)
2023-03-04 21:05:35
何だか元気が出てきたような気がします。

終わりはいつも はじまりである
人生にあるのは
いつも 今である
今だ

今日から座右の銘にしたいくらいです(^-^)
返信する
おはようございます。 (和田浦海岸)
2023-03-05 08:02:53
おはようございます。のりさん。
コメントありがとうございます。

こんなコメントを頂くと、
gooブログ冥利感じます。

この機会に調子づいて今日も、
杉山平一を取り上げることに。
返信する

コメントを投稿

道しるべ」カテゴリの最新記事