和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

茶道と非常時

2024-01-09 | 道しるべ
昨年読んで興味を持った臼井史朗の本を
数冊古本で買ってあり、そのままだった。

臼井史朗著「昭和の茶道 忘れ得ぬ人」(淡交社・平成5年)。
とりあえず、途中からパラリとひらくと

「昭和20年8月、日本全土が焦土と化し飢餓のどん底で敗戦。
 しかし、20年11月には『茶道月報』は復刊する。・・ 」(p26)

このあとに、昭和23年頃の手紙が引用されておりました。

「まったくの廃墟の中で、風雅の道を、ともにもとめる心境に、
 悲しいまで情感がにじみ出ている。

 ・・・名古屋の友人伊藤幸楽主人ハ今様ニ
 水ツケの焼ケ跡から茶器類をホリ出シ
 小生ニモ珍らしき事ナル旨通知ありたるニ
 蕨の絵をかき
   春山ニやけ太りたるわらびかな
 と申送り候処 それらを取繕ふて 木曽川町の仮寓で
 名古屋より疎開中の茶友を招き 一会致度由
 楽げニ茶会記を添へ申来りて候

 又左近君ハ爆風ニて散々ニ家ヲ崩サレナガラ
 之を自分にて幾分修理シ 道具類ヲ纏メツツアル旨申来り

 到処此喜劇のみ承わり居候
 茶道ニハ非常時無ク 平常心是道
 茲ニ御喜ヒ申上候           


・・・・これも年次はさだかでないが敗戦直後の、松永耳庵より、
三昧宛の書信と思われるものであるが、
『 茶道ニハ非常時は無く、平常心あるのみ 』とあるあたりに、
茶友の心情がうかがわれる。

松永耳庵からの手紙は、まだまだある。紙一枚が貴重な時代である。
まともな便箋など一枚もなく、細字で毛筆、句読点、改行の余裕などは
まったくない。飢餓時代であるが、茶を通じての心は、
筆跡ににじみ出て心なごむようである。  」(~p29)


はい。この数ページの箇所を読んで
私は満腹。先を読む気がしなくなる。



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