和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

のり子さん のり子さん。

2022-08-27 | 本棚並べ
気になって、文芸別冊KAWADE夢ムック『茨木のり子』(2016年)を
古本で購入。ひらくとはじまりのエッセイが工藤直子さんでした。
題が『のり子さんのり子さん』。

うん。そのはじまりだけを引用してみます。

「 昔、友人が一冊の詩集を抱いてやってきた。
 『 あなた読んだ? この詩集、まだ? まだなら貸す。
   いや、あげる。とにかく読んで。今すぐ読んで   』

 それは、出たばかりの『見えない配達夫』、
 茨木のり子さんの第二詩集だった。

 1958年(昭和33年)。初めての就職でジタバタしているときのことだ。
 詩集をもらって『今すぐ(!)』読むうちに
 ( ああこれですこれです。会いたかった詩だよぉ~ )と思った。
 特に『怒るときと許すとき』の

   油断すればぽたぽた垂れる涙を
   水道栓のように きっちり締め

 の詩句が沁み入り、気がつくと私も、
 ぽたぽたぽたぽた涙を垂らしていた。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・       」

はい。エッセイですから、これからが本題なのでしょうが、
私はこれだけで満腹。


さてつぎは、詩集『見えない配達夫』をひらいて、
『怒るときと許すとき』を読まなきゃ。

詩を直接読むより、ボンクラな私は語っているのを、
間接的に聞いている方がより思わぬ発見があります。

そういえば、永瀬清子の詩なんて知らずに読む気にもならなかったのですが、
茨木のり子著「詩のこころを読む」(岩波ジュニア新書)にでてきた
永瀬清子の『悲しめる友よ』で、はじめて腑に落ちた感じでした。
女性が女性の詩を取り上げ、掬い上げる。
そういえば、
皇后陛下美智子さまの英訳とご朗読『降りつむ』(毎日新聞出版社・2019年)
に、永瀬清子の詩「降りつむ」がありました。
私はボンクラ男ですから、こんな女性の詩は、
なにか、別世界にまぎれこんだ気になります。

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