和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

ワープロ(パソコン)のおかげ

2023-11-05 | 本棚並べ
松田哲夫著「縁もたけなわ」(小学館・2014年)に
小沢信男さんが登場する場面がありました。

読んだこともない方なのですが、
何だか小沢さんの本が読みたくなり気になるのでした。

「自他ともに許す『筋金入りの怠け者』である小沢さん・・」(p157)

とあります。松田さんとの付き合いがはじまる場面では

「小沢さんとつきあうようになってわかったのだが、
 この人は視点がいい、文章がいい、その上、人柄がいい、
 まさに三拍子揃った作家なのだ。・・」(p156)

松田さんは、小沢さんに本を書かせたいと面とむかっていうのでした。

「ぼくは、そういう小沢さんが歯がゆくてならなかった。
 彼が70歳になったころに、酔った勢いで、

『 小沢さん、もういい年なんだから、
  いつまでも命があると思っちゃあダメ。
  ライフワークを書くべきです 』

 などと失礼なことを口走ってしまった。
 小沢さんは、ニコニコ笑いながら、盃をなめていた。 」(p156~157)


こうして、「評伝『 裸の大将一代記  山下清の見た夢 』が
2000年に完成し刊行された。72歳にして、初の書き下ろしとなった。」(p157)

「82歳になった小沢さんは、さらに『東京骨灰紀行』を書き下ろす。」

はい。わたしはそのどちらも未読。
そもそも小沢信男さんというのを知らない癖して、
最後の箇所を読むと、何だか同時代性を感じます。
それは、この箇所。

「ますます元気な小沢さんを訪ねてみた。
 すると、若い頃は、
『 ・・・親のスネをかじっていたので、どこかで
  ≪おりてる≫という感覚だった 』という。

 では、老年の旺盛な執筆の理由はと聞くと、
『 60代後半に出会ったワープロ(パソコン)のおかげ。
  原稿用紙に向かうプレッシャーがないし、いくらでも
  書き直せるので、書くのが楽になった 』という。・・ 」(p158)


お歳はだいぶ違うのですが、そうそう
『 原稿用紙に向かうプレッシャー 』という感じを、
このところ、学校以来ですが久しく忘れておりました。

ということで、松田さん「縁もたけなわ」をひらけば、
いろいろと本の紹介にもなっていて、選べるのですが、
ここは一番、『裸の大将一代記』を読むことにします。


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