はい。安い古本で、京都本が少しづつたまると、
これはこれは、豊かな気持ちになります。
その豊かさは、伝えられるものなのか?
山田俊雄・柳瀬尚紀の対談
『ことば談義 寝てもさめても』(岩波書店・2003年)
が古本で送料共312円。以前買って本棚にありました。
はい。対談なので読みやすい。そこに
柳瀬】・・・・英語で全部通じるんだからと、
ケンブリッジ大学で第二外国語をやめようじゃないか
という意見まで出たというんですね。さすがにそれは
廃案になったといいますが。だから、そういうふうになると、
わざわざフランス語をやるとか、ギリシャ語、ラテン語を
やるという必要がなくなって・・・・・結局、残る英語は
ユネスコ英語とコンピュータ英語と、いわゆる商取引の
英語だけになってしまうんじゃないでしょうか。
山田】 日本語の場合もそうなんだね。
柳瀬】 そうです。
山田】 だって、高等学校で漢文もやらない、古典もやらない。
柳瀬】 そうなんです。
山田】 どこに戻ってゆくべき古里をもつのか
というと、何もないわけですね。
柳瀬】 ぼくらが、漢文がなくなった世代ですから、
もうほんとに徹底的に駄目ですね。
山田】 無駄かもしれないけれど、やる必要があるんだね。
何が有用かということになってくるけれども。
(p61)
はい。ここに
『どこに戻ってゆくべき古里をもつか』とありました。
うん。65歳になって、出かけた京都。
そして少しづつ、古本の京都本がたまってゆくと、
安い本でも、だんだんと豊かな気分になってくる。
はい。ここに、古里と古典と漢文とがありました。
本と栄養という指摘もありました。
山田】 ただ、考えてみると、自分の身辺に本を
置いてない若い世代の人って、勉強のしようがないですね。
図書館に行けばいいなんていっても、本はそういうものでもない
んだ。やっぱり自分の身の回りに置いてあって、
本に埋もれてなくては、好きなときに好きなものが
自分の栄養にならないですね。(p59)
ちなみに、
山田俊雄氏は1922年生れ。
柳瀬尚紀氏は1943年生れ。
はい。古里と本と栄養と。安物ですが、
だんだんと、本棚にできる京都本コーナー。
はい。その豊かさと、味わいのある楽しさ。