跳箱

跳び箱でも飛箱でも飛び箱でもとびばこでもいいけどそこはそれ跳箱なんです。体育日和のお供にどうぞ。

すごい教科書

2007-08-10 21:13:00 | メディア
毎度おなじみサンフランシスコはユニオンスクエアのBorders工学書コーナーで立ち読みして、あまりの網羅っぷりとそれに伴う詰め込みっぷり、なにより全体像理解の高度さに絶句した、

Wireless Communications

Cambridge University Press

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の日本語版が発刊した

ゴールドスミス ワイヤレス通信工学 基礎理論からMIMO、OFDM、アドホックネットワークまで
Andrea Goldsmith
丸善

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ので早速取り寄せてざっと読みしてみた。うーん、濃厚であります。

本書一冊で携帯電話どころか無線通信に関する技術知識の基礎が網羅的に得られることを請合います。が、索引込みで850ページにすべてを突っ込むという荒業を実現しているために個々の項目についての説明は非常にさっぱりしています。記述内容が良くわからん、という事態に陥った時は章毎に纏められた参考文献を当たっていく必要があるでしょう。(ただし参考文献が英文論文中心なので初心者はここで挫折する可能性高いです)

読めば読むほど味の出る本です。翻訳に当たった各位の力量もすばらしいと思います。いやー、久しぶりにベタボメです。

さて、この教科書を使って勉強を進めるに当たって確率過程(ランダムプロセス)とフーリエ解析の基礎知識が必要だろうと著者は指摘しています。

跳箱としては現在入手可能な範囲で、

統計学のための数学入門30講 (科学のことばとしての数学)
永田 靖
朝倉書店

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ウェーブレット解析の基礎理論
新井 康平
森北出版

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を推薦しておきます。フーリエ解析は目的じゃなくて手段なんで、ウェーブレットを勉強しておいたほうが実用的でしょう。

ちなみに実用的じゃない方面に関心がある方には、

虚数の情緒―中学生からの全方位独学法
吉田 武
東海大学出版会

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指数・対数のはなし―異世界数学への旅案内
森 毅
東京図書

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をお奨めしておきます。単純に楽しいです。

ところで、本書はその名の通り、狭義のワイヤレス通信工学を取り扱っているので、当然のことですが、通信網サービスの全体像を本書によって学ぶことはできません。

構成要素としては、

情報通信網 (電子・情報通信基礎シリーズ)
五嶋 一彦,北見 憲一
朝倉書店

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の章建てなんかが手頃でしょう。が、この本も初学者向けに構成要素を網羅的に取り扱っている上に180ページしかないので各項目の記載内容が凄まじく薄いです。この本一冊で完結させるのではなくとっかかりの一冊として取り扱うといいでしょう。

少なくともワイヤレス通信工学がスルーに近い取り扱いをしている部分で跳箱が実務上重視する範囲を取り扱っている教科書として、以前にも紹介している、

最新コンピュータネットワーク技術の基礎
川島 幸之助,増田 悦夫,宮保 憲治
電気通信協会

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トラヒック理論(に基礎を置いたシステムサイジング)を勉強しておいた方が良いと思います。(強烈に推奨)ここが解っていないと網サービスの事業計画などは書くことができません。

なにはともあれ、良い本が訳されたもんです。まずはメデタイ。

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