跳箱

跳び箱でも飛箱でも飛び箱でもとびばこでもいいけどそこはそれ跳箱なんです。体育日和のお供にどうぞ。

再編の第一幕を見逃したらしい。

2006-08-17 17:47:31 | 通信
NRIの北氏が去年の一月にぶち上げて今年の一月に自己否定した(しかし、今、字面だけ見るとはっきりそうとは解らないように書いてあるところがプロだなぁ)MNP不発当確の件について、いまさらながら儚い希望を託したいと未練たらたらな森氏のこちらのエントリ

ちなみに森氏のエントリ自体は北氏の主張をなぞっているだけなので、きちんと議論を追いかけたい向きにはNRIの北氏が発表したレポート類を漁ることをお勧めします。(北氏のレポートは風向きに敏感なので、ある意味役に立つんじゃないかと)

MNP導入はツーカーの退出(auによる吸収)という形で市場再編(整理)を実現したのでとりあえず十分でしょ、第二幕は新規周波数割り当てを受けた新参事業者のS-inからやねぇ、という結論に持っていかなかったところから見て森氏は実はMNPの効果うんぬん、とか、移動体通信市場の再編動向を含む競争政策そのものには興味がなかった模様。

結局のところいいたいのは、

長期的には利用形態がより自由になって、モバイルという独自のサービス領域が「消滅」するきっかけになればと思う

の一点でしかないらしいところが何なんですが...。

で、どうも「モバイルという独自のサービス領域」という言い回しをしている点から無意識に(旧式化しつつある)今日的な意味でのInternet的なモノ(とか価値観)を自明な標準と考えているらしいのですが、この方はいつまで米西部開拓時代的なInternet観を振り回すつもりなんでしょか?

森氏が愛してやまないらしいgoogleだって知的財産権と折り合いをつける必要性を感じ始めている(どこまでわがままが通るのか実験中とも)し、移動体通信事業者と契約して国内外のキャリア公式検索エンジンの地位を手順を踏んで手に入れたりして、徐々に現実世界の制約条件を学び始めているのにね。

確かに森氏が渇望して止まないように、"なにやってもいい新天地"が、9000万からの一意に特定できる課金可能なユーザー込みでいきなり公開されたらそりゃ面白いだろうけど、その市場を形成するためにこれまでキャリアが何兆円つっこんだかまるで考慮されていない点に無邪気さを通り越して盗人猛々しいとすら感じる跳箱は変人でしょうか?


あ、ウチ、代々曹洞宗なんで。

2006-08-10 03:47:04 | 連絡帳
それってどこのウチよ?なのは市村氏がアナタハ「ロングテール」ヲ信ジマスカ?なんて聞くんだもん。

今のちょっとかわいい?

さて、跳箱は筋金入りのLong Tail嫌いでありますので大変面白おかしく拝読した次第。梅田氏とか渡辺氏とか森氏のような重症な方々は市村氏のエントリ読んだくらいでは洗脳解除されないんでしょうが、身近な方が最近「尻尾」とか口走り始めて心配な際などプリントアウトもしくはメールにリンク添付するなどして処方されてはいかがかと。

ちなみに、跳箱で度々引用している音楽市場のTWAなんだか20:80の法則なんだか現象について、

Ecastは10%の曲がストリーム配信の約90%、ラプソディーの月次統計では上位10%の曲がストリームの86%を占める

と面白い数字が紹介されております。

持論の繰り返しで申し訳ないけど要するに、コストが低下して損益分岐点が下がると取り扱い可能商材が増える(増やせる)ぞ、ってだけの話なのに名前付けると流行するんだからbuzzwordって怖いわん。

仕入れは仕入れでもローデータ購入費だったのかも。

2006-08-10 03:01:07 | コミュニケーション
さっきのエントリで中島氏をからかって(いや申し訳ない、でも中島氏はかつての近藤氏に匹敵するエンターテイナーに化ける可能性があるような無いような...。)からちょっと気になったんですが、MySpaseの件ってのはgoogleが苦手なSNS分野(そういえばこんなんも)を補完するための手なんじゃないかと。

SNSの強さってのは単純化して考えるなら、ノード(ユーザー)数とノードあたりの平均リンク数が大きければ大きいほど強い、でもって持続可能な範囲内でユーザーのアクセス頻度(要するにノードのアクティブ率)が高ければ高いほどよい、ってことになるんではないかと考えるので(ああ、ハカセ、やっぱ忘れる前に書いとくことにしたよ)競争条件が一緒ならWTAが働いて勝者が全部もってくタイプのサービスなんじゃないかと。(サービスとしてどこそこが最強、は割りと早く確定する、ってだけでカネ稼げるかどうかは別)

で、googleがやりたいパーソナライズされたオントロジーでハッピー、てシナリオを実現するためにはSNS由来の情報は非常においすぃ、から金出してでも買いたい、ってことだったのかも。

だとすると$900M払っても、MySpaseのデータを3年間(外部企業としては)独占できるなら比較競争優位を確立するための時間は十分確保できるはず。社会環境がごっそり変わりでもしない限り人間の行動はそんなに変わるものじゃないから基本的なモデルはこの3年間で確立できるだろうなぁ。

googleはこの費用を仕入原価に計上しない予感が...。

さて、次回カテゴリー:コミュニケーションは、SNSはネットにおけるSocial Capitalなアレの萌芽か?で書こう。忘れなかったら...。

中島氏、近視の疑いあり。

2006-08-10 02:24:18 | メディア
早い、早すぎるよ、中島さんかい?とは、

GoogleとMySpaceの提携、これで「Web2.0もビジネスになる」と結論付けるのは早急すぎるか?

との問いかけに対して。

中島氏は、

GoogleがMySpaceに対して払う額(2007年から2010年にかけて$900M=約1000億円)は破格である。これでNews CorpがMySpaceの買収に使った$580M(600億円強)が無駄ではなかったことを証明できただけでなく、「広告スペースを売る」ことに長けたメディア会社が真剣に取り組めばWeb2.0的なビジネスからもきちんと収入を上げられることを証明したことは価値がある

と主張しているんですが、MySpaseがgoogleから$900M受け取る契約ができたからといってイコールWeb2.0的ビジネスから収益を上げられることが証明されたことにはならないでしょ。単にgoogleがMySpaseから$900M分仕入することにしただけだもん。

googleのこれまでの利益率から考えて、今回仕入れた「モノ」googleの顧客に対して$1400Mくらいで売りさばけたら初めて今回の取引をケースとした、"Web2.0的ビジネスから収益を上げられることが証明"が完了するんでしょうに。

それにしても中島氏、「価値がある」と断じた次の段落では「かも知れない」と濁して、最後は「まだ少し早急かも知れない」とだんだん弱気になるのってどーよ?

挙句、締めは、

下手に動けば「最後のババを掴まされる」可能性も十分にある

だと...。ぶれすぎだよ。

YOUTUBE居直る

2006-08-10 02:08:32 | 知的財産権
YOUTUBEが開き直っていた件、中島氏の怪エントリで大量のトラバが釣り(てゆうか跳箱モナ)あげられたのに気を良くしたのか続報がCNETに載ってたので例によってご紹介。

YOUTUBEは予想通りというか、予定通りというかな反応なので特段コメントはないんですが、記事中に見つけた、

Revverでは、広告収入を動画作成者に分配している

の一文に、よよ?と惹かれるものを感じた次第。おおう、超流通の萌芽な感じ。Revver、しばらくヲチしておくべし。

それにしてもYOUTUBEってライツマネジメント技術の成熟と普及(それ以前に認証技術の普及が必要かぁ...。)が実現していない(いなかった)草創期に一時流行したあだ花(だったね)に終わる気がしてきたなぁ。

まねきTVとクリコモなClipfileと。

2006-08-08 05:14:21 | 知的財産権
録画ネットの件ではアウトだったのに、まねきTVはセーフ。決定全文はこちら。(日曜日はウプされてなかったけど...。)

今回の決定を下した高部真規子氏は東京地裁民事47部総括判事にして、つい先日、パラマウント社のローマの休日激安DVD販売差し止め仮処分の要求を却下した御仁(決定全文はこちら)です。(パラマウントはその後、知財高裁に抗告したんだろか?)

松下アイコン訴訟で松下勝訴の判決を出したのも同氏(あれはびっくりしたなぁ)。ちなみにご存知のとおり、知財高裁でジャストシステム逆転勝訴で松下上告断念。

その他、味の素アスパルテームの件やらなんやらおもしろい判決(後に和解)を量産している模様。

さらに某所ではまねきTVに関する決定そのものより高部氏個人に関心が向けられる始末。なんのこっちゃ?

話をまねきTVの件に戻すと、原告たるTVキー各局は抗告する方針とのことなので、また逆転判決出る可能性はある(可能性たかいんでないかい?)けれども、一定の範囲で中島氏の云うような権利保護と利用の新しいバランス探しが始まっているのかとも思う、かなぁ...。ちがうんじゃないの?

テレビ局とか、既存の"プロ"の権利者が保有している著作物をパブリックドメイン化推進、というムシのよい主張にはあまり耳を傾ける気ないんす。

むしろ、NTTが始めるぞとアナウンスしたclipfileのようなものから出てくる(かもしれない)ものに力があれば、そこでパブリックドメインでもなんでもやって、生活時間シェア獲得しておくんなまし、と思う次第。(収益モデル、というかシステム維持コストの獲得モデルが見えてこないとなぁ、とも思う次第)

それにしてもNTTのリリースにクリエイティブコモンズなんて単語が載るとは...。林先生~、びっくりしたよ~。