跳箱

跳び箱でも飛箱でも飛び箱でもとびばこでもいいけどそこはそれ跳箱なんです。体育日和のお供にどうぞ。

言いえて妙、なんだけど....。

2007-08-28 00:06:00 | コミュニケーション
ひさしぶりに脳みそのどこかが発火するコトバです。

「メディア利用の変化さえも認識できない消費者」(海老根氏が湯川氏のコトバに言及)

あー、なるほどね。出典は例によってCNET経由で、

次世代広告テクノロジー
織田 浩一,高広 伯彦,須田 伸
ソフトバンク クリエイティブ

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さて、跳箱は頭悪いのであまり象限数(レーダーチャートってさ、隣接する軸を同組み立てるか悩まない?そこんとこどう相関しているかちゃんと分析してから配置してる?してなくてもいいっちゃいいんだけど...。)が多くなるとこんがらがってしまうので四象限で考えることが多いんですが、よく使うのが、消費軸(義務的消費と裁量的消費)と関与軸(高関与な財と低関与な財)で、海老根氏言うところの消費像は、低関与で裁量的な消費に位置するんだろうなぁ、と、ふと思った。

たしかに、こういう無意識的な行動が支配していそうな部分って定量的に把握するのが難しそうです。総市場規模なり総家計支出なり、母数を把握して、意識的な支出をさっぴいていって最後に残ったこれなんだ?が答えになるんだろうと思います。と、思うゆえに、海老根氏がその後に続けるように、"メディア利用の変化さえも認識できない消費者"が"既存4マスメディアを殆ど見ない若年層に近い"といきなり紐づけてしまってもよいものか?とブレーキを踏みたくなってしまったので、以下いつもの調子。

ネットコマースを含む通信販売市場は1999年に底を打ってから毎年数千億円単位で成長している素敵分野で小売事業所数減少と好対照となっていますから、たとえ"若い女性"がネット通販で服をじゃんじゃん買っている事実があっても、そのことと"メディア利用の変化さえも認識できない消費"を相関しているとしてしまうと間違えてしまうんじゃないかと。

さらに海老根氏は電子コミックについても言及されていますが、読書行動の変化について有意の調査を跳箱は見つけられていません。少なくとも、インプレスの電子コミックビジネス調査報告書などから現在の電子コミックの出版状況(出版というべきかは疑問だけど)を推測しつつ各販売サイトにおける旧作比率の高さを眺め、日本人の情報行動調査やら国民生活時間調査などをつまみにコンテンツ消費行動を行っている年齢層を個別のデータから見る限り"移動中や就寝前に書籍や雑誌などを読む習慣の無かった人達"とまでは言えないんじゃないかと力なく反論しておきたいです。(念のため:海老根氏は決めつけてはいないそうなのでその点留意のこと)

直観的な言い方で跳箱らしくなくって申し訳ないですが"メディア利用の変化さえも認識できない消費"ってのは、コンビニで買い物しててお会計の寸前にレジ脇に置いてあるチロルチョコをふとついで買いして10円よけい支払ったら〆て588.3円也だった、(ってことは支出シェア2%弱?)てな程度の消費を指すんじゃないだろうかと素朴に思う次第。

とすると、一回数十円で別段登録とか面倒な手続きが発生しなくて数十円なりのバリューが提供されるようなモノ(というよりコト、だろうなぁ)を提供してそれでも成立しうる"サービス"事業者が"メディア利用の変化さえも認識できない消費"を獲得することになるんじゃないかと想像します。

今あるところだと電話による時報とか天気予報とか番号案内とか?かな。

決済(コスト)がネックだよねぇ...。であるがゆえに、ネットにおいてはgoogleなどの広告媒体によってしか開拓されえていない消費領域なんじゃないかと思う次第。

もうちょっと考えてみる。

すごい教科書

2007-08-10 21:13:00 | メディア
毎度おなじみサンフランシスコはユニオンスクエアのBorders工学書コーナーで立ち読みして、あまりの網羅っぷりとそれに伴う詰め込みっぷり、なにより全体像理解の高度さに絶句した、

Wireless Communications

Cambridge University Press

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の日本語版が発刊した

ゴールドスミス ワイヤレス通信工学 基礎理論からMIMO、OFDM、アドホックネットワークまで
Andrea Goldsmith
丸善

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ので早速取り寄せてざっと読みしてみた。うーん、濃厚であります。

本書一冊で携帯電話どころか無線通信に関する技術知識の基礎が網羅的に得られることを請合います。が、索引込みで850ページにすべてを突っ込むという荒業を実現しているために個々の項目についての説明は非常にさっぱりしています。記述内容が良くわからん、という事態に陥った時は章毎に纏められた参考文献を当たっていく必要があるでしょう。(ただし参考文献が英文論文中心なので初心者はここで挫折する可能性高いです)

読めば読むほど味の出る本です。翻訳に当たった各位の力量もすばらしいと思います。いやー、久しぶりにベタボメです。

さて、この教科書を使って勉強を進めるに当たって確率過程(ランダムプロセス)とフーリエ解析の基礎知識が必要だろうと著者は指摘しています。

跳箱としては現在入手可能な範囲で、

統計学のための数学入門30講 (科学のことばとしての数学)
永田 靖
朝倉書店

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ウェーブレット解析の基礎理論
新井 康平
森北出版

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を推薦しておきます。フーリエ解析は目的じゃなくて手段なんで、ウェーブレットを勉強しておいたほうが実用的でしょう。

ちなみに実用的じゃない方面に関心がある方には、

虚数の情緒―中学生からの全方位独学法
吉田 武
東海大学出版会

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指数・対数のはなし―異世界数学への旅案内
森 毅
東京図書

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をお奨めしておきます。単純に楽しいです。

ところで、本書はその名の通り、狭義のワイヤレス通信工学を取り扱っているので、当然のことですが、通信網サービスの全体像を本書によって学ぶことはできません。

構成要素としては、

情報通信網 (電子・情報通信基礎シリーズ)
五嶋 一彦,北見 憲一
朝倉書店

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の章建てなんかが手頃でしょう。が、この本も初学者向けに構成要素を網羅的に取り扱っている上に180ページしかないので各項目の記載内容が凄まじく薄いです。この本一冊で完結させるのではなくとっかかりの一冊として取り扱うといいでしょう。

少なくともワイヤレス通信工学がスルーに近い取り扱いをしている部分で跳箱が実務上重視する範囲を取り扱っている教科書として、以前にも紹介している、

最新コンピュータネットワーク技術の基礎
川島 幸之助,増田 悦夫,宮保 憲治
電気通信協会

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トラヒック理論(に基礎を置いたシステムサイジング)を勉強しておいた方が良いと思います。(強烈に推奨)ここが解っていないと網サービスの事業計画などは書くことができません。

なにはともあれ、良い本が訳されたもんです。まずはメデタイ。

夏の(それ以外も入ってしまったが)定番

2007-08-09 23:13:25 | 収集品
夏休みは脳みそとデータのたな卸しをするのに、良いタイミングです。丁度この時期に出回る白書を眺めつつのんびりするのも良いかも。(家族持ちには夢みたいな夏休みスタイルではありますが...。)

定番編:

モバイル社会白書〈2007〉
NTTドコモモバイル社会研究所
NTT出版

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3年目を迎え、なんとなく定着してきた感のある(かなぁ)モバイル社会白書。発行元のNTT DoCoMoモバイル社会研究所では9/7にモバイル社会フォーラムを開催するとのコトなので近在の各位は覗いてみては?

ワールドICTビジュアルデータブック2007は今年もひっそりと発表されていました。なんせ世界中の統計を纏めているのでデータが古くていまいち注目が集まらない資料ですが、付録のCD-ROMのデータが最高に使いやすいので、最新データでなくてもまあいいか、な案件には大変便利です。跳箱的には世界中を網羅的に押さえているところが萌えであります。

デジタルコンテンツ白書2007ITUのアレがAmazon的に取り扱いが無い(なぜか2004だけ掲載アリ)のはしかたないにしてもデジタルコンテンツ白書まで2007の掲載が無いのはいまいち納得いかないところであります。そして総務省のサイトで無料で見れるしPDFもダウンロードできるんでさして紙に需要があるとは思えない情報通信白書の平成19年版はきっちり売っているってのはどういうことなんでしょうか?ロングテールしてるんじゃないんかいっ。

あとは、日経マーケットアクセス契約していると必要ないとも言いますが、

デジタル家電市場総覧〈2007〉

日経BPコンサルティング

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なんか定番として良いんではないかと。

そうそう、紙資料じゃないですが、NEDOの技術戦略マップ2007も3年目突入しています。今年は検索サービスも装備していい感じに熟成が進んでいます。こういうプロジェクトは継続はチカラなり、と申しますのでこれからもぜひがむばっていただきたいものです。

ちなみに情報通信白書とかインターネット白書とかケータイ白書とかは定番じゃなくて鉄板だと思うんで持ってない人(素人さん除く)がいるなんてシンジラレナイであります。


番外編:
日本情報システム・ユーザー協会のソフトウェアメトリックス調査2007、跳箱的にはセットにするなら要求仕様定義ガイドラインと組み合わせるのがお奨めであります。この辺に関心あるなら、

民間向けITシステムのSLAガイドライン―導入・契約方法、改善点、最新事例を網羅
電子情報技術産業協会,ソリューションサービス事業委員会
日経BP社

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も併読されたい。で、ここまで読む人なら、

中小企業の財務指標〈平成18年発行〉

中小企業診断協会

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なんかも面白いと思う。(どんどんネタが古くなってるなぁ)JUASの企業IT動向調査2007の母集団が相当恵まれた部類であることが良くわかります。(とほほ)

Information Visualization

2007-08-09 22:18:02 | メディア
いったいどういう基準でUIデザインしているのか、どうもよくわからないSiteSneaker2007 betaは、

ウェブをぶらぶら見る“ぶら”ウザが作りたかった

ためにこうなったらしい。うーむ。

跳箱も情報を視覚化して表現するのが大好きなクチ(なのでMathematicaが大好きです。6欲しいです。5.1のまんまだよ...。)なので情報視覚化と訳されるInformation Visualizationは関心分野の一つであります。(適当な入門書など挙げたいところですが和書にいいのがないのでxightあたりをリンクしとく)

なので、編集工学研究所のCRONOSは結構面白いと思ってたし、その翌年あたりにGrokkerが発表(当時はデスクトップアプリだった)された頃は結構注目してたんですが、モノにおけるユニバーサルデザインのように身体性に還元しにくいコト(情報含む)における普遍性を持ったデザインの実現ってやったことある人ならすぐ気付くとおり、民俗というか社会習慣の制約を受けつつ、一種の社会関係資本を形成していく、くらいの勢いの要るテーマだったりするので、なかなか普及に至らないんですが、ゆえにオモシロイとも思ってたりするので、まったりフォローしていきたいところです。

今回のSiteSneakerについてはgoo Labの3D検索実験っぽさを感じるのですが、跳箱的にはCone Treesのような構造が見える系が好み(とはいえ、構造図系って文字情報も含めてきれいに表現することに成功している(と感じられる)事例が少ないのでなんとかならんかなぁ。ワーマン先生再びでありますよ。

理解の秘密―マジカル・インストラクション (BOOKS IN・FORM Special)
リチャード・ソウル ワーマン
NTT出版

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SWIMあたりに頑張ってもらわないとなぁ。ガムバレ~。

オオカミが来てる

2007-08-09 20:56:30 | 通信
6月のJPNICによるIPv4アドレス枯渇予測の発表を受けて総務省はインターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会を立ち上げるとのこと。相変わらずナイス連携プレーであります。

本来なら関心項目毎の経緯把握のためだけにメモを残しておしまい、のはずだったんですが、研究会メンバーに二木さんが入っててちょっとびっくり。あとで話を聞きに行かなければ。ついでに晩飯たからなければ。てゆうか役員就任おめでとうございますっていつの話だよ...。(遅い)

小ネタ

2007-08-08 01:18:56 | 位置情報
跳箱はガキの頃から地図ってやつが大好きでして、ヒマさえあれば世界地図など広げてどこ行こうか(それは地図が好きなんじゃなくて旅行が好きなだけとも言う)妄想にふけっていたものでありました。

なのでWorldWind(最近影が薄いですが最新版は1.4、きっちりダウンロードするべし)をはじめとする各種オンライン地図データサービスの類(要するにGISの類)は大好物だったりしまして、

江戸明治東京重ね地図

エーピーピーカンパニー

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などもバッチリ持ってたりします。(渋谷のBookファーストではじめて見かけた瞬間に一目ぼれだったぜ)

剣客商売 (新潮文庫―剣客商売)
池波 正太郎
新潮社

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見てて飽きないんだよね。これ買ってから池波正太郎とか読み始めた、ってくらい入口と出口がさかさまなことになっているくらいだったりします。ベケベンベン。

神保町の古地図屋さんは値段が凄いことになっていそうなのでビビって入れないんですが、手ごろな値段で複製の古地図(ばかりじゃなくてNational Geographicの南北アメリカ渡り鳥地図とか)を入手できるMetsker Mapsは、そのお隣のDragon's Toy Box(趣味良し、子供の土産はここで決まりです)共々、Seattle訪問時に跳箱が必ず立ち寄る一軒(つうか二軒)だったりします。

玩具といえば跳箱は1:50建機模型集めをはじめとして欧州方面では鉄道模型からミニカーまでより取り見取りで至福の物欲タイムが過ごせるのですが米国というところはどうも玩具が大味(とは言え1:18のF18ってすげー迫力ではあります。が、ウサギ小屋でどうやって展示しろと?)でいまいちの感があったのですが、Hoganwingsの1:200旅客機模型集めにいそしんでいた際にふと出会ったDanbury Mint(商用車のミニカーは知ってたんですが...。)のApollo着陸船&軌道船模型(しかも1:50、萌え)のクオリティに一発ノックアウトされたのでありました。やっぱアメリカって感じ出すならこれだろー。このあいだ行ったAMESのみやげ物屋はしょぼかったしなぁー。やっぱHouston行きたい(空港でも宇宙玩具が鈴なり)なぁ、でも最近南部に用事無いんだよなぁ、と愚痴っていたらMicrosoft Photosynthで発射前のエンデバーが見られると。おおぅ。

この技術、要するに位置情報でソートしたアルバムなんですが、座標情報を基にしてソートするのではなく、それぞれの写真に写ったオブジェクトの輪郭をマッチングして位置関係を推定するところがミソだったりします。去年のSIGGRAPHで発表された技術であります。ちなみにSIGGRAPHはただいまSanDiegoで熱烈開催中でありますが、今年は地味だけど大事なitSMFが先約だったので有楽町でぶーらぶら、しておりました。天賞堂を覗きにいったのはもちろん秘密です。

うーむ、無理やり膨らませたぜ。

カネの匂い

2007-08-06 23:57:46 | コマース
OpenIDのようなおもちゃについては食欲わかないので好事家な方々で好きにいぢってくださいですが、決済プラットフォームに関わるネタとなると俄然食いつきが良くなるのは跳箱がオカネ大好きな俗物だからであります。俗物で悪いか?

さて、つい先日、Privacy Internationalとgoogleが小競り合いしている件で決済市場にgoogleがちょっかい(google checkout)を出しているからであろうと見ていたんですが、ふと気づいたらJupitorResearchがJupiterResearch Finds Younger Consumers Driving Demand for Online Payment Optionsと題して、

According to the study, 48 percent of consumers ages 25 to 34 prefer debit cards for Internet transactions, as compared to only 39 percent of all online consumers. Thirty-four percent of online consumers ages 18 to 24 prefer PayPal or similar services versus 27 percent of all online consumers.

と、若い衆が統計的に有意な規模で新手のオンライン決済に食いつきだしていると発表しています。おおぅ。

道理でYahooがPayPalと組んでYahoo PayPal checkout始める訳だ。自前で決済サービスを立ち上げて垂直統合を狙うgoogleと対照的でこれはこれで面白いと思っていたところ、AmazonもFPSで追いかけるとのことweb2expoでAmazon Web Servicesをプレゼンしていた頃は商品DBの開放に焦点を当てていたけどドロップシッパーと組むより一種のアクワイアラになったほうが手っ取り早く収益源化できると踏んだ、ってことでしょうか?

大手ポータル事業者が軒並み参入してきて一気に騒がしくなってきた感がありますが、これはロジャース大先生(どうでもいいですがMITSUEさん、ちゃんとフルネームで紹介してます、えらいです)言うところのオピニオンリーダー層普及に突入してキャズム越えにチャレンジする段階に達しつつあるって理解してもいいかもしれません。実に面白い。

こうなってくると、googleもPrivacy Internationalにいやらしいちょっかい出してる場合じゃなくなってきそうです。ええ、競合他社とガチでサービス品質を競う必要が出てくるんじゃないかと。となれば以前も触れたように社会インフラとしての利用(というか、利用にあたって顧客が寄せる信頼)に耐えられるきっちりとした実装を整備していかざるを得なくなるんじゃないかと期待する次第。

この辺を乗り越えないとその次のアライアンスの経済(あ、YahooとPay Palはこの次元に突入しつつあるかもしれませんが)に進めないし。

ああ、念の為下らないけど言及しておくとCNETで渡辺氏が言及しているケースはバカバカしいんで、ここで言っているアライアンスの経済とごっちゃにしてほしくないんでそこんとこよろしく。

既成事実化に余念のないYOUTUBE

2007-08-03 00:11:02 | メディア
米国版において昨年末に実装するはずだった "New Content Identification Architecture"を今年9月に提供開始と証言するも舌の根も乾かぬうちに、それって難しいかも?と手のひらを返し、相手があきらめるのをひたすら待っているだけなんじゃないか?と、ふとYouTubeに偉大なる首領サマ級の不気味さを感じたのですが跳箱主観でありますからほっといてください。

日本語版YouTubeがまだ存在しなかった今年2月に日本の権利者団体とYouTube創業者は協議していたが、権利者団体と合意形成を図ることなく日本語版の投入に踏み切り、日本法を尊重することもなく、日本語版の投入から一ヶ月以上経ってから日本の権利者団体との二回目の協議の場を(ようやく)持ったところで、

「究極的には、サーバ内にあるすべての日本発コンテンツ(正確には著作権を侵害している内容)を一度、すべて削除する」(松武氏)ことを差しており、JASRAC・菅原氏も同様の意思が24団体の総意であることを暗に認めた

と強硬論が噴出しても当然とも思えます。

それにしても、

YouTube上に無断掲載されるコンテンツの多くがテレビ番組であるにもかかわらず、放送事業関係者(放送局、日本民間放送連盟など)が当日の会見で登壇しなかったことについては「単にスケジュール上の問題」(菅原氏)と説明した

どっちつかずの態度に終始する関係者の決断力の無さにはゲンナリします。こんな人々を担い手として想定しなければならないコンテンツグローバル戦略ってほんとに実現できるんだろうか?この点、かなり強く疑問符を付けたい。

老いたネグポンのその後

2007-08-02 02:53:09 | 収集品
発展途上国に暮らす子供たちに教育を!という主張自体については、100%の同意を捧げるものではありますが、その手段として$100ノートPCの配布を!となると、どうにも首を傾げざるを得ない、老害なんじゃないか、なネグポンことニコラス・ネグロポンテ教授率いるOLPCの近況(そういや前回取り上げたのは昨年の暮れだったね)をふとチェックしてみたので書き留めておく。

Linux Insiderによると結局Beta版の製造コストは、

Although widely referred to as the "(US)$100 laptop," the actual price at last mention was $176 per unit in quantities of 250,000, Vota said.

となった模様。よくがんばった部類だとは思うけど、競争原理の働かない企画・製造・流通がいつまでコスト競争力を維持できるのか(というより、現時点でも競争力あるのか?)見ものです。どうもうさんくさい。

一方、ほほえましいというか、逞しいというか、

Evidence of that need may have surfaced in the last few days with reports that downloaded pornographic images have been found on the XO laptops in use by children in Nigeria.

機器を渡されたナイジェリアの子供たちはポルノ画像のダウンロードに精を出していたらしい。わはは。OLPC側は今後の出荷分についてフィルタを仕掛けて"有害"情報アクセスを防ぐ方針らしいけれども、ポルノへのアクセスは子供たちにとってネット利用のインセンティブとして機能しているはずなので永久にイタチゴッコが続くでありましょう。むしろこういったイタチゴッコの中から次代を担う若者が育ってくるかもしれないとさえ思うので、おおいに知恵を絞ってポルノアクセスを実現してほしいと子供たちにエールを贈るものであります。

三毒五欲とはいいますが、完全に解脱しちゃったら心臓止まっちゃうもんね。加減が大事って事で。

モノじゃなくてコト

2007-08-01 16:04:52 | メディア
モノからコトへ、(by 竹内 薫)じゃないですが、エクスペリエンスのデザインが大事なのはいまさら言うまでもありません。

物質をめぐる冒険―万有引力からホーキングまで (NHKブックス)
竹内 薫
日本放送出版協会

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が、

コミュニケーションという本来の目的を忘れるようなものにしたい。『街を育てたいから○○さんにメール打たなきゃ』というようになったら面白い

という猪子氏の企画は本末転倒というか、どこまでも内向きに落ち込んでいく倒錯美とでもいうものでしょう。

もともと2画面端末の企画はかなり前(跳箱が知る範囲でも5年以上)からありましたが、かの2画面特許裁判の影響やらなんやらで公開試作が発表された頃には、だからなに?な物体に成り下がっていた記憶があります。と、いうか画面が複数個あること自体は価値じゃないでしょ?ダブルカセットデッキ(高校生のころ持ってたなぁ)と同じでしょ。良い悪いは置いといて、当時、オリジナルテープ作ったり、友達同士でテープダビングしたりする習俗が広く見られたからこそ、カセットデッキをニコイチした企画は受け入れられたわけであって、ユースケースありきで機器をデザインしないと説得力は生まれないでしょう。せめてデナインジャーになぜ2画面が必要なのかきっちりプロを納得させる力のある説明つけないとねぇ。

KDDIの人にどうしたら商品化されるか聞いてみたがわからなかった

だろうねぇ。KDDIの人も相当困ったと思うよ。

要するに内輪受けは内輪でやってくれ、ということでしょう。事業性に関する考察が欠落したやってみたいからやってみる、系の思考とビジネスの接点は企業をタニマチとしたパトロン経済でしか成立し得ないでしょう。ところが、ネットワークの中立性に関する懇談会通信・放送の総合的な法体系に関する研究会の動きを見ても解るように、世界市場における事業存続と発展か、さもなければ死か?といったくらいの危機感をもってイノベーションを模索しているのが現在の日本のICT産業関係者の立ち位置であろうと思います。趣味に走っている状況じゃないんじゃないかと。

たとえば、ちょっと古い話だけどJeff Han氏がTED2006(ちなみに次のTEDは来年2月、すでにWait listだけど)で発表したマルチタッチ(iPhoneのマルチタッチとはやってることはほぼいっしょだけど別物)面白かったし、最近でも同じ系統でVNC on your iPhoneなんかイケていた。

ハードウェアを作る(もしくは作りたい)のであれば、ネットワーク外部性といった文化的、社会的制約に依存せず、ハードウェア自体が生み出すエクスペリエンスによって幅広い層の需要を喚起する企画を志向してはどうだろう?(まあリアルフリートみたいなスノッブ路線もありっちゃありだけど、オルタナティブでしかないんで、ここは一発、正統イノベーション系を所望したいんであります)