跳箱

跳び箱でも飛箱でも飛び箱でもとびばこでもいいけどそこはそれ跳箱なんです。体育日和のお供にどうぞ。

PTA推奨

2006-07-24 16:06:47 | 連絡帳
変態さん相手に、正攻法のインセンティブを提供しても変態さんは変態さんゆえ喜んじゃうだけかも?と、ややこしいことにならなきゃいいけど一児の父としては、やんないよかましだよねぇ...、でも、表現と思想信条の自由と単なる変態さんをどこで一線引くのさ?というよりそれって一線引けるものなのか?等々ぶつぶついいながらも、ため息混じりに賛成なのは、Child Protection and Safety Act(あ、跳箱は米国在住じゃないんであんまり関係ないすけど)で、紹介している例によってCNETの記事はこちら

同法案によると、例えば、ウェブサイト上で「Barbie」や「Furby」といった一見無害な言葉を使用しながら、実際には性的コンテンツを掲載していた場合、そのサイトの管理者は重罪となる。

ということなんですが、記事にもあるとおり、運用次第で難ありの法律になりかねない代物です。(成立したわけじゃないか、まあいっか)

跳箱だったら実効性を伴う解決策として一定の法規制は用意しつつ、映倫よろしく、ネット倫作ってデジタル証明書にレーティング情報つけてサイトに掲載させたら?とか思うんだけど。(ブラウザにプラグイン入れる必要あるなぁ)

それだとR15とか、R18とか人手でレーティングするの大変じゃん、となるんで、とりあえず、InternetSecurityとかのソフトにペアレンタルマネジメント機能あるんで、アシスタント機能として、ガイドラインの定規となるタクソノミーとフォークソノミーな親御さんフィードバックを付け加えて、いっちょあがりでどうすかね?

もちろん、サイト管理者にも不服審査請求権認めるの。レーティング未決定サイトの表示可否についてはペアレンタルマネジメント機能の揺らぎ許容パラメータを親が制御して判定するとか、個別認可するとか。

Symantecさんどうよ?

9/7-9

2006-07-22 06:40:25 | メディア
去年、Ozzie氏が出るから行こっかなぁ、どうしよっかなぁと決めかねているうちに行きそびれたWeb2.0Conferenceが今年も9月7日から9日まで開催されるから来るなら来れば?なメールが届いていたのは七夕のことでした。(いまさら)

何度も言うけど跳箱はWeb2.0ってbuzzwordキライだけど池田センセ

「Web1.0と2.0の違いは何か」という話が出たが、これはやはりよくわからない

とのたまっておられたので食いついてみる。

ティム・オライリー氏のWhat is Web2.0(原文和訳)読めば判るとおり、実態(と若干の予想)に名前をつけただけのもんなんだから良くわかんなくてあたりまえじゃん。

Web2.0への道

インプレスR&D

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で、オライリー氏自身が

何かが起こり始めていることにわれわれが名前を与え、それが「そうか、そういうことだったのか」と共感を呼びます

って言っている通りの意味しかないと跳箱は理解しているのでこの言葉キライなんだよね。マーケティング上の意味しかないはずなのに、一人歩きしてる。なんかやな感じ。(ちなみにこの本は友達のハカセ氏に借りた)

話は変りますが池田センセは同じエントリで、跳箱の好物セマンティックWebについて、CNETの記事を引用して

HTMLも書けないウェブマスターが何百万人もいるのに、どうやって彼らにXMLのメタデータを書いてもらうのか、という疑問はもっとも

とか肯定して、もひとつおまけに、

自動的にメタデータを生成するオーサリング・ツールを無料でばらまく

といいんでないかとも仰っておられますが、どうもセンセはあまり新製品には関心お持ちでないらしいです。

たとえば、跳箱の大好きな総務省統計局にはExcelのファイルがうなっているんですがこれをOLAPに食べられるように加工するのが結構大変だったりして難儀してます。ところが、今ベータテスト中のMicrosoft Office2007からはファイルフォーマットがOXF化されるんで、今までどおりのやり方で統計局の皆さんがOfficeを2007にバージョンアップしてくれればウプされるファイルはOXF化されると。するってぇと、手っ取り早いところでDB2Viperあたりにちょちょっと食わせてタクソノミーするとか素敵なことが簡単にできるようになるじゃん。普通に準備進んでますがなにか?って感じです。(ちなみにこのネタ某メーカーの研究所と一年位前にディスカッションしたときにタクソノミーの作り方の例として、もうちょっと原始的な形で説明したことあるんですが、あの人たち、猛烈な勢いでメモった挙句まるっきり連絡くれません...。ぷんすか。NDA巻いてるからいいけどさ。)

このエントリで他にもセンセはAJAXを持ち上げようとするあまり、

グーグルの限界は、それが静的なデータベースだということである。マウンテンビューの本社には、30万個以上のCPUで並列処理する巨大コンピュータがあるというが、そういう「超分散計算環境」は、インターネット全体では実現していない。これも、かつてJavaの初期に実現が試みられたが、失敗した(NetscapeをJavaで書き直すプロジェクトは放棄された)。しかし今、同様のシステムがAJAXと名前を変えて普及し始めている

と、なんだか良くわからない話をされておられますが、

Google誕生 ?ガレージで生まれたサーチ・モンスター

イースト・プレス

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で拾ったネタすか?(跳箱はこの本、決してお奨めしない...。)グリッドの話がしたいんすか?ブレード使って同一架収容するようなシステムだったらそこらじゅうで使われてる(googleは安上がりに作ったのがえらい:未確認)けど、インターネット全体で(狭義の)グリッドやろうとすると伝送遅延とかじゃまだよね。ユビキタスっぽい、UAAのアプローチが有効なんじゃないかと。

もう一つの限界は、ユーザー・インターフェイスである。今のキーボードで入力する検索エンジンは、パソコンでいうと、コマンドラインで入力していたMS-DOSの世界だ。日本では、まだキーボードを使えない(使わない)人も多い。

そのためのセマンティックwebでOWLでセンサーネットでしょうに...。

で、哲学論争にはまらないための利用者識別であり個人別(多分もっと粒度は粗い)のオントロジーなんじゃないの?

もひとつおまけに

一度、失敗したビジネスモデルは、普通の世界では二度とものにはならない

のくだりも引っかかるものがありますがまあどうでもいいや...。

P.S.
西さんは5年くらい前にわけわからんことしてくれたのであんまり好きくないです。

ところで、

2006-07-22 05:02:55 | 収集品
先日から腹減り減り腹な感じでお待ちしていた、

モバイル社会白書2006

NTT出版

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発売になりました。おもしろいです、おひとつどうぞ。
ついでに、まだ入手されていない方は、

インターネット白書 2006

インプレスR&D

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こちらもぜひ。

あと、ワールドICTビジュアルデータブック2006も面白いです。(これはAmazon扱ってない...。)

天秤

2006-07-22 04:47:10 | コマース
Yahooが新曲をはだかんぼう(DRMフリー)で放流するらしい。詳細はこちら

いわく、

Jessica Simpsonの最新シングル「A Public Affair」をMP3フォーマットで販売することを発表した。通常のオンライン音楽には、著作権保護のためのコーディングが施されているが、この楽曲にはこの処理がなされていない

んだそうな。わお。
コンセプトは、

。「DRMはコストがかかる。Yahooのような企業にとって、これを実装するのは非常に高価だ。われわれのエンジニアには、複雑なプロビジョニングシステムよりもパーソナライズ、推薦、プレイリストなどのアプリケーションや、コミュニティリストアプリケーションの改善に時間を割いてほしい。複雑なシステムを開発・実装したところで、最終的にはユーザーはCDに焼き、DRMを解除してしまうのだ」(Rogers氏)

なんだそうで、DRMフリーで出荷することによって違法コピーされるリスクをテイクする代わりにDRMコストをリダクションできるから損益分岐点が下がるはず、という理屈なんですが、果たしてそれだけを狙っているんでしょか?

日本の例でしかも以前にも紹介した話を蒸し返してなんなんですが、文化庁によると、音楽市場って

タイトル数ベースで1%に満たない作品群により、総売上枚数や総売上金額ベースの約40%

という恐ろしくWTA(太田センセご無沙汰してます)な市場なので、たいして売れていない大多数の曲にとっては違法流通の本山のように言われているWinny(田中先生によると流通データの40%程度らしい)を介してでも潜在顧客の視聴機会を獲得してアーティストを売り込んだほうが得策になる場合(要するに機会損失を宣伝費に換算する)もあるんじゃないかと。P2PトランザクションはNTTの亀井・森・大井の三氏によると某ISPトラヒックの46%を占める(2003年)らしいので、露出機会獲得媒体としては結構有効かもしれないし。

トラヒックの中身が表の流通市場と同じような売れ筋に偏っていたりするとアレですが...。

ちなみに、前出の田中先生はP2P(データ)流通はCD販売に影響を与えない、とされていますし、シードプランニングのレポート(中身は買って読んでね)やその他の調査(これは非公開)によると有体物であるCD販売と無体物であるデータダウンロード販売は代替関係に無いといえそうな気配濃厚なので、CD(とかの有体物)販売が狙いなら、データを無料でばら撒く(もしくはばら撒かれやすい状況を暗黙のうちに作り出す)のは有効な販促手段になりえるかもしれません。

とはいえ、今回のように、無体物であるデータを販売する商売をしているYahooが、データを裸のままDRMフリーで販売する場合、いくらDRMコストがリダクションできたとしてもP2P違法流通の規模を考えると機会損失を賄えるほどの費用逓減効果が得られるか疑問が残るんじゃないかと。

なので、跳箱的にはおそらく複数のシナリオが用意されているんだろうとは思うけど、Jessica Simpson今回の曲をDRMフリーで流通させることによって結果的に違法コピーの流通量が増えたとしてもアーティストの知名度獲得ができて潜在顧客を発掘できれば、次の曲をDRM付きで販売したときに販売量増加して元が取れる(かも)と考えているのかもしれないなぁと。

いや、単純に実験なのかもしれないけどね。(データ欲しいなぁ>K氏)

NGNフィールドトライアル、申し込むなら今っ。

2006-07-21 20:11:55 | 通信
NTTからNGNフィールドトライアルのインターフェース条件が開示されやした。参加受付も。

業務連絡だけだとさびすぃので突然池田センセに噛み付いてみる。

池田センセはNGNの採算性に疑問符をつけておられますが、網間接続の実務をやったことのある人ならだれでもすぐにピンと来る通り、n個のネットワークをn'次のPOIでもってつなげてきちんと動作させるのは非常に大変なので、相接したいです~、と突如申し込んでくる(たいてい素人の)お客さんに、あ、NTTさんに接続申し込まれたらいっかーすか?全部いっぺんにつながるし便利っすよ?とスルーパスするのは自分のためである以上にお客さんのためでもあると思ったり。

これ、同じことがSAML2.0でフェデレーションするときどーすんの?とか、いろいろなところでおんなじ問題があったりするので、上下分離してきっちり動かさなきゃなインフラはひとまとめに管理しよう、という考え方に賛成したくなることがあるのは秘密です...。でも、上下分離して自然独占の局地な状況が現出した際に、インフラ事業体をどうコントロールするのか?と問い直すとやっぱそれダメだよなぁ、となって以下ループなんでなんなんですが。

セマンティックでオントロジーな網と社会を実現するためのインフラとしてツールかルールかっつうとツールで解決なNGNに魅力を感じるのは事実です。インターネット的な解決を図るのもいいすけど、802.16eできちんと置局計画組んで置ききれるんすか?無理っすよねぇ、とも。となるとやっぱ餅は餅屋で、と考える次第。

ちなみに、池田センセは音声通話収入減少の話もされてますが、いまのNTTに音声通話収入維持を主張している人なんてもういないじゃないすか(まだいるんすか?跳箱は最近そーゆう人って絶滅危惧種と認定しているので保護すべきとまで思っているっすよ)。

これからの通信インフラ投資は、限りなく無料に近づいてゆく電話料金との戦い

なんて何時の時代の話すか?とっくの昔(かれこれ5年以上)続いて、いまや(従量通話料をめぐる第一ラウンドは)終局に近づいている戦いっすよ、それ。

センセご自身が、これまでNTTは、需要におかまいなしに10年計画で設備投資を行い、総務省はそれに甘えて投資のインセンティヴを考えないで非対称規制を続けてきた

要するにNTTは経済合理性の無い判断をするキチガイである、と論評されておりますが、ほんとにそうなんすか?恐ろしく早い速度で技術革新が進む分野で巨大なインフラ敷設をやらなくちゃいけない事業者が10年単位でロードマップを予測して人やモノを突っ込むのって、そんなにおかしなことっすか?

NTTは「計画経済」的な設備投資計画にこだわらず、キャッシュフローを重視して「開放規制が行われるのなら、NGNはやめる」と宣言

なんてして、あっちへふらふら、こっちへふらふらするようになったら通信技術面で亡国の道を歩むことにならないかと少々不安です。むしろ、きっちり投資計画を組んで国内消費で無理なく回収する計画を立てると同時に国際標準化の場で営業し切れていない政府筋とか、そっちの方が問題なんじゃないすか?海外市場でのシェア獲得が読めるなら、電電ファミリーからの調達単価をひっぱたいてNTTの負担を軽くすることだってできるじゃん?

話を戻すとWeb2.0(しつこいようだけど跳箱はこの言葉キライ)というよりセマンティックな網とサービスと経済を実装するためのインフラとしてNGNにはがんばれ(はあと)と黄色い声援を送りたくなる次第。(あ、結論出た)

ということで跳箱的には今日からNGN推進派っつうことで。(だから?)


7/24、CNETにFuji Sankei Business iからの借り物記事が掲載される。なんかこの件について不自然に扱いが小さいのなんで?

中島氏、薪をくべる

2006-07-21 16:22:28 | 知的財産権
YOUTUBEのやりようってどうよ?な議論も裁判沙汰になるに至って、まあ、結審するなり、和解に至るなりするまで様子見するべか?な状況になり鎮火の方向に進んでいるのかと思いきや、CNETで中島氏が薪くべております。

いわく、

YouTubeにテレビ番組の一部をアップロードする行動に関しては、「ある程度までは許容範囲として認めるべきではないか、必要であれば著作権法の方を変更すべき」と感じている

なんだそうで。

著作権の在り方について跳箱はインセンティブ論派なので、中島氏の主張に基づいて、私的利用の範囲を拡大することによって、知財をタダで消費しやすくすることによって、

1:知財を創造する側のインセンティブも高まり
2:結果として知財の量、質の向上が見込め

るとのコンセンサスがオフィシャルに成立させられるならできるんじゃない?

とはいえ、この件で、従前の知財権利者の私権を制限してもおつりがくるほどの経済的利得の向上が得られるか?と問われると非常に疑問が残ります。YOUTUBEのトラヒックデータとか、財務資料とか全部見られればもうちょっと判断できるんだけどね。

ついでに中島氏は、

そこで私が問いたいのは、「YouTubeは今までテキストでしか可能でなかった『引用』を単にビデオにまで広げたもの」と考えることは出来ないだろうか

と大胆な提言していますが、中島氏、引用の定義(ちなみにWikipedia自身の引用ガイドラインはこちら)を拡大解釈しすぎです。てゆうか、それ、もう引用じゃないから。いうなれば、「作品に対するリスペクトの表明(とかなんとか)として作品の部分を自由に公開する権利」とでも言うんでしょうか?そんな感じの新しい権利すね。

まとめとして中島氏は再び、

法律というものは人々のためにあるものなのだから、それが社会の常識に合わなくなってきた時には法律の方を変えるべき

と主張していますが、"人々"って誰を指してるのかあいまいでずるい書き方だと思うよ。コンテクストから邪推させてもらうなら、中島氏が人々と称しているのは、新たな知財の生産にはまったく関与せず、他者が創造したり、財産権を保有していたりする知財をタダで使えるようになったらいいなぁ(はあと)な人たちを指して人々と言ってませんかね?

どうでもいいですが、中島氏、法律を条文だけ抜き出してコンテクストから切り離した上で(意図的かどうかわかりませんが)誤用してみせてまでこの話題に薪をくべる、という姿勢はどんなもんでしょうか?御社の社会的信用にも響くと思うんだけど。たとえば、「奥さん、聞いた?」「なになに?」「UIEvolutionsの中島CEOのは・な・し」「スクウェア・エニックスの子会社の?」「そうそう」「どうしたの?」「ブログで著作権法引用しておいて引用の意味わかってなかったらしいわよ」「えー?そんなんで大丈夫なの?スクウェア・エニックスって著作権をメシの種にしている会社じゃなかった?株持ってて大丈夫かしら?」とか。

中島氏の主張を敷衍していくと、スクエニのゲームとかもどこかの誰かに勝手にリバースされて部分を再編集されてリスペクト~とかいってればYOUTUBE(じゃないか)にウプしてヨシ、ってことになったりするんじゃないの?YOUTUBEに映像作品の一部を切り出して勝手に公表してヨシなんだから、同一性保持権は制限されるんだろうし。(それ以前にここだろな不法行為の話とかはおいとくとして)

人々、といった漠然とした言葉を使うときは自分自身や、自分自身のステークホルダー(やシェアホルダー)にも跳ね返ってくる可能性を考慮に入れないとね。

著作権初めて物語

2006-07-21 00:40:06 | 知的財産権
念のためおさらいしとこう。

簡単なおさらい:著作権法の成立過程からおさらいしてくれる上にタダで読める素敵な資料が藤本弁護士が1997年に発表したWebコンテンツと知的財産-ネット環境下の著作権と公正利用-20ページ程度の資料なのできっちりよく読む。

がっつりおさらい:するなら、

本の歴史

創元社

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で、パピルスの時代からまずは"著作物"がどう時代に位置づけられてきたのか把握するべし。

中学か高校の世界史で活版印刷の普及がルターの宗教改革成立を後押しした、なんて囲み記事は読んだことあると思うけど、跳箱はこのあたり、

新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く

NHK出版

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ペテロをルターに置き換えても良いかなぁと。

話を戻すと、印刷革命による情報流動性の拡大を契機とした社会統治コストの増大をおさえたい統治者と市場独占機会の獲得による事業安定性を獲得したい当時の印刷-出版-流通複合事業者(出版者)の利害の一致が出版特許制度を生んだあたりはかんたんなおさらいで紹介した藤本弁護士のレポートにも記載の通り。

時代はさらに下って血みどろのフランス革命がフランス人権宣言をもたらしたところで、ようやく近代的な意味における著作権が生まれたらしいけどその辺は、

著作権の誕生―フランス著作権史

日本ユニ著作権センター

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よく読む。19世紀も後半になってベルヌ条約が成立して現在に続く国際的著作権保護体制の原型が現れるけど日本じゃ、

ニッポン著作権物語―プラーゲ博士の摘発録

青山社

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プラーゲ旋風(跳箱的にはブラーゲショック、の方が適切な気も)が巻き起こるまで条約加盟してはいるけど著作権て何?な状態が続く(というか今も続いている気が)内務省を動かし、JASRAC誕生に続くのでした、べけべんべんべん。(弁士風)

続く20世紀後半をなにげにスルーしたり、輸入版CD非合法化の件とかもすっとばして、今年の1月、文部科学省文化審議会著作権分科会報告書が発表されるもネットワーク時代における著作権の在り方についてはいまだ方向性見えずな昨今に至る。

ちなみに、ラテン的自然権論はロマンチックではありますが、アングロ的インセンティブ論の方がなにかと説明しやすくってレヴィット博士も大満足なんじゃないでしょか?

YOUTUBE開き直る

2006-07-19 19:30:55 | 知的財産権
昨今、一部で熱く(?)盛り上がっていたYOUTUBEと著作権の話題(実のところ、ホントに著作権の話題なのかは疑問)に薪をくべるかのように放り込まれてきたのがこちらのエントリ

ナイスタイミング。

いわく、

「われわれを提訴してもメリットはない」--YouTube、著作権侵害訴訟でコメント

んだそうな。表向きのタイトルは、

「デジタルミレニアム著作権法を遵守している」--YouTube、著作権侵害訴訟でコメント

だったんですが、トラックバック入れようとしたらトラックバック一覧に出てきたCNETの記事タイトルは件の「われわれを~」いやー、こっちのほうが面白いと思うんだけどなぁ。どうもこのタイトルは刺激的過ぎると判断されたのか、無難な「デジタル~」に収まった模様(と跳箱は邪推)。

さて、

今回提訴したRobert Tur氏によると、同氏は1992年に発生したロサンゼルス暴動の最中にトラック運転手のReginald Denny氏が激しい暴行を受けた現場の様子を撮影したが、その映像が同氏の許可なくYouTubeに投稿され、すでに1000回以上も視聴されたという。Tur氏は米国時間7月14日に米地方裁判所に提出した訴状の中で、YouTubeはTur氏が撮影した映像で利益を上げる一方で、同氏の持つその映像の使用許諾権を侵害していると主張

している原告に対してYOUTUBEは

「YouTubeは、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)の全規定を遵守するサービスプロバイダーだ。したがって、当社はDMCAのセーフハーバー条項によって完全に保護されている」

と開き直ったとのこと。

YouTubeは声明の中で、Tur氏の提訴を受け、同氏のクリップを全て削除した

んだそうで、以前のLazy Sunday無断掲載騒ぎの際もサックり削除に応じているので某西村氏とはずいぶん対応が違うなぁ。(比較の対象が間違っている?)

そもそも今回、YOUTUBEが盾に使ったデジタルミレニアム著作権法(DMCA=Digital Millenium Copyright Act)はウルサ方にあまり評判のよくない法律なんですが、今回はうまいこと活用しているので参考にしたいところです。(ちなみに日本の著作権法はこちら、まじめに勉強したい人は判例とか、ちゃんとぐぐって(それだけで済むとはいわないが)ね。もひとつおまけにDMCA原文はこちら、ちゃんと理解しようと思うと制定経緯とか著作権条約とか、背景を理解する必要があるのはもちろんのこと)

日本でYOUTUBEと同種のサービス実現を考えた場合、スカパー社のように事前審査(Tools, not rules、という観点から考えると一番ルールよりな解決策)を導入するなり何なりする必要があるでせう。これはどうも以前から記事が出ていたあれのことらしいけど。(当時はY崎氏が担当していたけどいまどーなってんのかな?)

YOUTUBEに興奮している衆の中には自身がライツを持つコンテンツの発表(流通)方法や課金方法としてYOUTUBEは有効(ほんとか?)を主張される向きもあるようなので、スカパー社に期待してみてもいいんでない?

もっとも、レヴィット氏の

ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する

東洋経済新報社

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にもヤクの売人で儲かっているのはアタマだけ(最近、この本特にお気に入りなんでしつこく宣伝)って話が載ってるくらいで、YOUTUBE(別にスカパーでも)みたいな他人が集めたトラヒックに乗って商売しても大して儲からないし、たまさか儲かったとしても黒字化できるのはごく一握り(演出された成功とかね)に限られる(いや、始めたころは自分もその一握りに入れる、と思うんだよねぇ)のが関の山だから覚悟がある方と趣味と割り切れる方にしかお勧めできません。(金銭面もそうだけど、コンテンツ(とくくってよいものか?)を消費するために充てることができる時間という名の資源はいろんな意味でゼロサムゲームの渦中にあるわけで。

そして例によって話は拡散し続ける。

2006/07/20/02:54加筆訂正(めずらし)

ネット(地球)が持たん時が来ているのだよ。

2006-07-17 00:51:00 | 通信
ありとあらゆるフリーライダーに呪いを振りまく跳箱が度々言及(この辺とかこの辺とか)してきた「IP化の進展に対応した競争ルールの在り方に関する懇談会」が報告書(案)を発表したのが7月14日。この間、NikkeiBP関係とか、Impress関係とかはこれとかこれとかこれとか、きっちりサポートしてくれていた(跳箱最近忙しくて傍聴行くヒマ無かったし助かった)んですが、CNETはまるっきりシカトかましてくれてました。永井美智子に藤本京子、弾幕薄いよ、なにやってんの?夏休みか?

7/13には早速先制攻撃で和田御大がけん制しています(多分、こっち読んだほうが判りやすいはず)が、総務省的にはNGN導入とFMC提供開始のタイミングをきっかけに上下分離を進めたいんでせう。

上限分離進めるのはいいんですが、本件報告書(案)が描き出したモジュレートされた(言ってみればSOAな)事業環境をきちんと理解してプレーできる事業者がいったいどれだけありえるのか、はなはだ疑問ではあります。よくわかんないけどとりあえず踊ってみる(みろ)、ってところなんでしょうけど。

総務省はNTTを泣かす気満々ではありますが、もう一方で自称Web2.0なフリーライダー達にもきっちり責任を持たすつもりらしいです。(当人たちが理解しているかどうか非常に疑問が残りますが...。)結局、資本の論理で生き残ったのは北米企業ばかり、なぞという結果にならないように、そうとう補習授業やらないとマズそうな気がしてなりません。

さて、本件報告書(案)自体は、総務省が以前から唱えていた念仏(ユビキタスネットワーク社会ってやつ)を費用分担モデルまで踏み込んで記述したある種エポックメイクなものに仕上がっていると感じます。ええ、べた褒めです。ぜひ一読あれ。

P.S.
ちなみに、この辺の議論が、一部で話題のYOUTUBEの件とか、WinnyをはじめとするP2Pの件とかに絡む(つまり、普通の人たちの生活にとっても密接に関係している)ってことをきちんと判りやすく全体像を取りまとめないといかんと思うのですがめんどくさいです。

ま、今後の展開に注目です。

WebOSの夢よ再び その2

2006-07-15 03:10:28 | メディア
二月ほど前にかつてのWebOSみたいなサービスが再び出てきているでよ?と書いたらまだまだいっぱいあった。

CNETで紹介されてたYouOSとか、本来、カレンダーサイトらしいんだけどCostom "Webtop"なる機能も提供しているらしい30 BOXとか、これ以外にもまだぞろぞろ出てきそうな雰囲気。

やっぱり、昔と違って環境が整ってきたんだろうねぇ...。

とはいえ、ブラウザ上で"デスクトップ"が動かせる、というデモンストレーションが見るものに与えるインパクトは大きいかも知れませんが、ほんとのところデスクトップメタファーそのものはもう要らないんでないかと。

google spreadsheetsみたいな確信犯は別にして...。

祭りの後

2006-07-15 02:50:27 | メディア
日経BPでビル・ゲイツはネット時代のアーキテクトにはなれなかったというセンセーショナルなタイトルで掲載されたSamfこと古川御大のインタビュー記事は原稿修正した上で元原稿も欄外記載するという形で落ち着いた模様。

Information at your fingertips

懐かしいなぁ...。

フォークソノミーは犯罪すか?

2006-07-15 02:25:56 | 知的財産権
ここんとこファインダビリティがどうとか書いたりオントロジーがこうとか考えたりしてたところにCNETで佐々木氏のこちらのエントリを読んだら仰天するような記述発見。

Winny裁判で検察側は、

 「Winnyは機能に注目しても、著作権侵害を助長させるソフトである。匿名のまま送受信させる機能を持ち、送信者の特定を困難にする機能を有し、無限かつ加速度的に著作権侵害を拡散させている」

と指摘して"侵害助長機能"として

1:中継者が自分が何のファイルを中継しているのかわからないなど、暗号化による高度な匿名性がある
2:アップロードすればするほど同時にダウンロードできる数が増える機能によって、意識的にアップロードを増やさせた
3:ノード同士の趣味嗜好が近ければつながりやすくなるというクラスター機能
4:著作権侵害のファイル名を調べられる検索機能

が実装されているからけしからんとのたまっているそうな。元の文脈が判らないのでホントかどうかわかりませんがホントだとすると、

1:セキュアな(P2P)伝送は罪である
2:なんらかのインセンティブを働かせるデザインを組み込んだ対象が違法と(疑われると)インセンティブデザインは侵害助長機能とみなされる(まあしかたないか?)
3:分散ハッシュテーブルのルーティング効率を最適化するのも罪になる可能性がある?
4:著作権侵害しているデータを検索結果から排除するフィルタを実装しないとサーチエンジンは著作権侵害助長していると指摘されても仕方ない?

ってことになったりしないすか?

金子被告の思想がけしからん、というのが争点のようではあるのですが...。(それもどうよ?)

林先生あたりのコメントが欲しいっすねぇ。

アンビエント・ファインダビリティとか読んでみた。

2006-07-15 01:31:05 | 収集品
つい先日、かれこれ15年くらい購読しているAXIS誌(いや、最近、ほとんど読んでなかったりするんだけど、コレばっかりは習慣なんで...。)Vol122

AXIS (アクシス) 2006年 08月号 [雑誌]

アクシス

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のP80にAmbient Findabilityなる書籍の紹介記事(というかInformation Designの記事)が載ってて、「情報の見つけやすさ」を論じていたんでおお、それは好物でありますとばかり脊髄反射して購入したのが、

アンビエント・ファインダビリティ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅

オライリージャパン

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なんですが、

情報学でいうところの「アバウトネス(何についての情報なのかということ)」という性質は観察者の見方次第で決まる

という序章の一文とP163の囲み記事(セマンティックウェブ病ってやつ)は面白かったけどオントロジーとタクソノミーとフォークソノミーを扱った6章はメインディッシュのはずなのにやたら薄味でいただけなかった...。国際特許分類の話とかUNSPSCの話とかいろいろサンプルつけてくれたら面白くなりそうなのにね。この本の中身をきちんと知りたい人はDESIGN IT! w/LOVEさんとこのこのエントリ参照の事。ここんち、なんかおしゃれ。

アンビエント~を読んでてふと思い出したのは、数週間前に読んだ

ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する

東洋経済新報社

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レヴィット氏のこれ。1990年代に米国の暴力犯罪が減少したのはロー対ウェイド裁判の結果である、っていうやつ。レヴィット氏そのものをエージェント化したらさぞ面白かろうと。

そういえば佐世保事件とかWinnyとか2chとかの日本の事例を題材にした、

インターネットと“世論”形成―間メディア的言説の連鎖と抗争

東京電機大学出版局

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なんてのもあったなぁ。いまとなってはアレですが17章の遠藤薫氏x西村博之氏(一応敬称つけておこう。)の対談は無くてもよかったような...。

全然関係ないけど今年の情報通信白書出たネ。コレが無いと夏が迎えられません。(ナゼ)

それから7月25日にモバイル社会研究所から

きみがつなぐみらい モバイルビジョン2030

NTT出版

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が出ます。てゆうかモバイル社会白書2006はまだか?まだなのか?腹減らして待ってます。

google Checkoutあれこれ

2006-07-13 22:45:43 | コマース
それってgmailなどをエサにしてgoogle Accountsにかき集めたアカウントでシングルドメイン・シングルサインオン環境作ってエスクローサービス始めました、とそんな話ですか?なgoogle Checkoutは早速eBayから肘鉄を食らったとのこと。

eBayは大枚はたいてPayPalを買収して小額決済市場に参入してるんだから、とんびに油揚なgoogle Checkoutは排除したいでしょう、やっぱり。

google Checkout自体はそれなりの数の参加企業を集めて船出したばかりのサービスなので、どの程度普及していくのか生暖かく見守りたいところですが、例によって跳箱的にはApplied Semanticsの買収効果を高めるためにオントロジーな了解可能性の問題を回避するためにしかたなく導入したgoogle Accountsの費用回収するために仕方なくgoogle Checkoutを始めた、という泥縄式シナリオでサービス化が決定されたのか、いや、広告市場なんて実体経済の影に過ぎないから時価総額を正当化し続けるためには国際展開によるパイ拡大も去ることながら実体経済でのトランザクションシェア獲得がどーしても必要であるから決済に絡む手口をじっくり考えた上で算段してきたんだ、ってことなのかがとっても気になります。

どっちにしろ、戦略と戦術が入れ子構造になっていて面白いなぁとは思うんですが、googleが決済(というかエスクロー)参入するにあたって若干不安視している点がありまする。

googleという会社は以前から著作権や個人情報やセキュリティを「指摘を受けたら仕方なく対応せざるを得ないもの」と考えているんじゃないかと跳箱は邪推しているんですが、クレジットカード情報といった決済に関わる情報を取り扱うに当たってその発想法がかなり仇になるんではないでしょか?

ほぼ1年前のカードシステムズソリューションズ社の事件を思い出すまでも無くクレジットカード情報を取り扱うなら、PCI Data Security Standardには対応していて欲しいし、できればISO/IEC15408準拠(Lev3くらい)して欲しいと思うのは人情でしょう。

ゆえに、CNETがeBayによるgoogle Checkout排除手段を非難する役回りを与えたChannelAdvisor社のScot Wingo氏云うところの、

Google Checkoutが新しいから不正が起こりやすいとでも言いたいのだろう。しかし、実際のところ、Google Checkoutはクレジットカード決済のためのゲートウェイの1つにすぎない(また、Google Adwordsの最大の顧客であるeBayにしても、膨大な資金をこれに費やしている)。そしてクレジットカードは(VerisignやCybersource、Authorize.Netなど第3機関の)ゲートウェイを通るものなのである

などという言説にはまったく同意できません。

実際の決済が実行される際にはgoogleではない"どこかの誰か"がそのカード情報が正当なものなのかどうか確認する(はずだ)からどーでもいい、と云わんばかりなわけですが、カードシステムズ社の事件の際も情報漏洩と事件(不正使用)化と問題の顕在化には時間差があって事実混乱も起きているわけです。そういった混乱自体も問題だ、と考える跳箱の立場からすると、google自身がScot Wingo氏と同じような見解でこのサービスを始めたのだとしたら、相当痛い目見るかもよ?と思いますが、跳箱はgoogleの株主じゃないのでどうでもいいんですけどね。

P.S.
google Checkoutの紹介記事
PCI Data Security Standardは更新されるらしい、というか2年後には必須仕様化するらしいとも。