Appleと提携して自社店舗でiTuneの曲を大盤振る舞いすると報道されている米Starbucksですがリリースによると配布されるのは、
Starbucks will also offer the Starbucks Card Plus Two, a limited edition re-loadable Starbucks card with added bonus value. When a Starbucks Card Plus Two is registered online the cardholder will receive two complimentary song downloads of their choice on the U.S. iTunes Store.
で、限定版のStarbusks CARD(スタバのプリペイドカード)にiTunes Storeで2曲落とせるプレミアが付く、ということなのですが、落とせる曲はiTunes Storeの全取り扱い曲ではなく、
“Song of the Day” will offer hand-picked songs from top artists including Bob Dylan, Joss Stone, Dave Matthews, Bebel Gilberto, John Mayer, KT Tunstall, John Legend, Annie Lennox, Joni Mitchell, Keith Urban and Paul McCartney plus great music from up-and-coming artists such as Sia, Band of Horses, Hilary McRae, Frederico Aubele and Sara Bareilles.
ってことで、Starbucks傘下のHEAR Musicが権利を保有している(もしくは利用許諾を得ている?)調達ライツコストの安い曲に絞られる模様。(ま、プロモですから)
米Starbucksはコーヒーチェーンとしてはバカげた大きさの企業ですが、ご他聞にもれず北米での店舗展開は飽和しつつあり、既存店舗あたりの売上成長率は低下しているので、顧客来店頻度と単価向上はぜひ図りたいところでしょうし副商材として手がけ始め、自前レーベルを立ち上げるまでになった音楽販売事業も軌道にも乗せたいでしょう。(他社経営の実店舗への商材=CD展開をしたのでは本末転倒ですがWiFiを配備したStarbucks店舗ならiTunesの店舗を自社店舗内に併設しているに等しいとマーケティング担当者なら屁理屈こねられそうですし)おまけに、さして利用が増えているように見えない(IR的にはシカトな)T-mobile HotSpotの利用が伸びればなおハッピーってことで。いやー、見事な皮算用であります。
どうも一見ウマい手のようですが、ほんとにStarbucks CARDが150万曲/日ということは75万枚/日も捌けるもんなんでしょうか?Starbucks的には失敗してもさしたるリスクの無いプロモ計画なのでAppleと組んでも失うものは無い、ということなのでしょうけど、10000店舗を動員して一日一店舗あたり75枚捌かなくちゃいけません。
ちょっと計算してみませう。
2006年度の米国内におけるNet revenuesは$5,097,515Kでここに直営とライセンス営業の合計8,896店による売上が計上されている。ここから、すべてひっくるめて1店舗あたりの売上は$573,012/年で$1,569/日と判る。Tall Rate(今日のお勧めなんかが売れ線だともっと安いが)の値段がたしか普通は(グランドキャニオン界隈などありえない場所にあるスタバはそれなりに値段が高いので)$2.95だったと記憶しているので、これを客単価と仮定すると来店客数は532人/日。つまり毎日の来店客というか正確には購入客の14%に新規にStarbucks CARDを買ってもらわないとこれだけの曲数をさばくことはできない計算になる。ちなみにキャンペーン期間は一ヶ月ちょっと続くのでこの間ずっと...。売り場の苦労が偲ばれます。
来店頻度、という単語を持ち出すまでもなくかなり難しい目標らしいことが判りますが、これ、カードを無料配布(つまりデポジット$0にして、カードコストもスタバ持ちにする)すれば一瞬でクリアできそうな目標とも思えますが、これをやると
1:来店促進
2-1:自社ライツ副商材認知向上
2-2:自社ライツ副商材がiTunesで販売されていること、つまり販路認知の向上
3:客単価向上
3-1:デポジットによる売上の前積み
3-2:T-mobile Hot利用促進による顧客滞留時間延長とコーヒー販売上積み(T-mobileからのキックバック収入期待?)
くらいと考えられるキャンペーン目標の内、一番大事な部分がカード発行コストの持ち出しという追加コストも担ぐことになっ他挙句、将来実現できるかもしれない利益という逃げ水化してしまいますから、よっぽどの近眼な担当者でなければやらないはずです。(つうか、このキャンペーン設計者は結構優秀そうなので十中八九やらないでしょう)やったところでカード稼働率低下に悩むのが関の山ですから。
要するに、プリペイドカードを$15.00で売って、$2.95のラテとおまけの自社ライツ(つまりコスト安い)楽曲を2曲提供して差し引き$12.05残高の残高のあるカードは財布の肥やしにしてもらえたらラッキー、という企画なんでしょう。
ここまで見てくれば、容易に想像が付くところですが実際のところ、ぶち上げた規模の1/10の実績で落着したら妥当なところ、1/5なら大成功といったところじゃないでしょうか?
注:写真はそーゆうややこしいこと一切関係ないもんねとばかりロゴまで古式ゆかしいPike Place Marketの片隅にて今も営業中なスタバ1号店。もうちょっと買う気をそそる一号店オリジナルグッズくらい作っててもよさそうなもんですが...。
Starbucks will also offer the Starbucks Card Plus Two, a limited edition re-loadable Starbucks card with added bonus value. When a Starbucks Card Plus Two is registered online the cardholder will receive two complimentary song downloads of their choice on the U.S. iTunes Store.
で、限定版のStarbusks CARD(スタバのプリペイドカード)にiTunes Storeで2曲落とせるプレミアが付く、ということなのですが、落とせる曲はiTunes Storeの全取り扱い曲ではなく、
“Song of the Day” will offer hand-picked songs from top artists including Bob Dylan, Joss Stone, Dave Matthews, Bebel Gilberto, John Mayer, KT Tunstall, John Legend, Annie Lennox, Joni Mitchell, Keith Urban and Paul McCartney plus great music from up-and-coming artists such as Sia, Band of Horses, Hilary McRae, Frederico Aubele and Sara Bareilles.
ってことで、Starbucks傘下のHEAR Musicが権利を保有している(もしくは利用許諾を得ている?)調達ライツコストの安い曲に絞られる模様。(ま、プロモですから)
米Starbucksはコーヒーチェーンとしてはバカげた大きさの企業ですが、ご他聞にもれず北米での店舗展開は飽和しつつあり、既存店舗あたりの売上成長率は低下しているので、顧客来店頻度と単価向上はぜひ図りたいところでしょうし副商材として手がけ始め、自前レーベルを立ち上げるまでになった音楽販売事業も軌道にも乗せたいでしょう。(他社経営の実店舗への商材=CD展開をしたのでは本末転倒ですがWiFiを配備したStarbucks店舗ならiTunesの店舗を自社店舗内に併設しているに等しいとマーケティング担当者なら屁理屈こねられそうですし)おまけに、さして利用が増えているように見えない(IR的にはシカトな)T-mobile HotSpotの利用が伸びればなおハッピーってことで。いやー、見事な皮算用であります。
どうも一見ウマい手のようですが、ほんとにStarbucks CARDが150万曲/日ということは75万枚/日も捌けるもんなんでしょうか?Starbucks的には失敗してもさしたるリスクの無いプロモ計画なのでAppleと組んでも失うものは無い、ということなのでしょうけど、10000店舗を動員して一日一店舗あたり75枚捌かなくちゃいけません。
ちょっと計算してみませう。
2006年度の米国内におけるNet revenuesは$5,097,515Kでここに直営とライセンス営業の合計8,896店による売上が計上されている。ここから、すべてひっくるめて1店舗あたりの売上は$573,012/年で$1,569/日と判る。Tall Rate(今日のお勧めなんかが売れ線だともっと安いが)の値段がたしか普通は(グランドキャニオン界隈などありえない場所にあるスタバはそれなりに値段が高いので)$2.95だったと記憶しているので、これを客単価と仮定すると来店客数は532人/日。つまり毎日の来店客というか正確には購入客の14%に新規にStarbucks CARDを買ってもらわないとこれだけの曲数をさばくことはできない計算になる。ちなみにキャンペーン期間は一ヶ月ちょっと続くのでこの間ずっと...。売り場の苦労が偲ばれます。
来店頻度、という単語を持ち出すまでもなくかなり難しい目標らしいことが判りますが、これ、カードを無料配布(つまりデポジット$0にして、カードコストもスタバ持ちにする)すれば一瞬でクリアできそうな目標とも思えますが、これをやると
1:来店促進
2-1:自社ライツ副商材認知向上
2-2:自社ライツ副商材がiTunesで販売されていること、つまり販路認知の向上
3:客単価向上
3-1:デポジットによる売上の前積み
3-2:T-mobile Hot利用促進による顧客滞留時間延長とコーヒー販売上積み(T-mobileからのキックバック収入期待?)
くらいと考えられるキャンペーン目標の内、一番大事な部分がカード発行コストの持ち出しという追加コストも担ぐことになっ他挙句、将来実現できるかもしれない利益という逃げ水化してしまいますから、よっぽどの近眼な担当者でなければやらないはずです。(つうか、このキャンペーン設計者は結構優秀そうなので十中八九やらないでしょう)やったところでカード稼働率低下に悩むのが関の山ですから。
要するに、プリペイドカードを$15.00で売って、$2.95のラテとおまけの自社ライツ(つまりコスト安い)楽曲を2曲提供して差し引き$12.05残高の残高のあるカードは財布の肥やしにしてもらえたらラッキー、という企画なんでしょう。
ここまで見てくれば、容易に想像が付くところですが実際のところ、ぶち上げた規模の1/10の実績で落着したら妥当なところ、1/5なら大成功といったところじゃないでしょうか?
注:写真はそーゆうややこしいこと一切関係ないもんねとばかりロゴまで古式ゆかしいPike Place Marketの片隅にて今も営業中なスタバ1号店。もうちょっと買う気をそそる一号店オリジナルグッズくらい作っててもよさそうなもんですが...。