跳箱

跳び箱でも飛箱でも飛び箱でもとびばこでもいいけどそこはそれ跳箱なんです。体育日和のお供にどうぞ。

愚痴と備忘録

2011-03-20 23:03:04 | ひやかし
本業がうんざりするほど忙しいところに地震が来るわ原発事故るわ電力供給ヘタるわ交通機関混乱するわでBCP計画策定中だったのにリアルにBCP計画実行(いや、それ無理だし)状態に突入している今日この頃、皆様いかがお過ごしか?

世間じゃ自由報道協会たらいう団体?の人が枝野官房長官の記者会見に週一回しか入れないのは差別だとか騒いでいるわ、上杉某とかいう人がデータの裏付けも出さずに陰謀論ぶち上げてるわ、小池さんが電力規制は統制経済だとかトンチンカンなエントリ書いて炎上しているわ、池田センセが相変わらず突き放した口調で子守してるわ忙しいことこの上ないようですが跳箱的には、池田センセの子守唄以外はあんまりおもしろくなかったですねぇ。

ほんとなら、先月ほっつき歩いてきたマレーシアでiPhone掏られた話とか書こうかと思ってたんだけど予定を変更してお送りします。

さて、3/14/14:46に電車で移動中のところ地震に遭遇して運転台脇のドアから線路に降りて徒歩移動という得難い経験(軽く鉄入ってるなぁ)をしつつ、はれ?増設するサーバの搬入今日だっけ明日だっけ?とひとしきり記憶をたどり、現場に確認入れたら設置は昨日だったのギリギリセーフ、でもスイッチの取り付け中だったの、必死で押さえてたの偉いでしょ、と手下から報告。ほっとしながら次に気になったのは電源問題。本番向けに組んでるDCはTier3なんで自家発電24h以上持つからなんとかなんべぇ、と思いつつテストシステム組んでるDCはけちってTier2にしたんで8hで落ちるなぁ、まずいなぁ、給油ダイジョブかしら?そもそも震源地どこよ?被災規模わからんと手当の範囲が決められんぞと、ぶつくさ考えながら帰宅困難対策その他に忙殺されてたのは、あの日の都内ならどこでも見かけた風景でありました。

先週一週間は冒頭書いたとおりリアルタイムBCPしながら開発中のブツのリリースタイミングを図るために電力供給の復旧スケジュール予測したり市場が落ち着くタイミング予測したり地震原発ネタに埋没しないリリースタイミング予測したりでどたばた。なんだかな。

ちなみに電力消費の時間帯別分布が公開されてないとかググれカスな話がごろごろ転がっていたのを見かけたのでエネルギー白書2010のリンクと、電気事業連合会が公表している電力データを挙げておく。特にINFOBASEはド素人向けに丁寧に書かれているので初心者向き。ついでに跳箱読みに来るスキものには常識だろうけどMonrealセンセの福島原発の放射能を理解する(これよく書けてるよね、めっちゃおもしろい)とSpiegelの塵拡散シミュ、元ネタ文科省の放射線グラフもリンク。

もひとつおまけに論文(PDFだよ)だけど三浦氏のこれこれを踏まえて、伊香賀氏のこれを読むとなかなかにソーシャルでおもしろいです。

ついでに業務上どうでもよくないですが、海底ケーブルぶった切れて困ってます。北米向けがなんともかんとも。

Sagrada FamiliaがAgileな件

2011-02-14 06:42:04 | ひやかし
やあ、ごぶさた。

つうかあれからまたも1年以上経っちゃったのね、どんだけ書く気ないんか?って自問自答にそんな暇あるなら仕事しろ、と即答する自分がいるのね。ぐったり。

さて、久しぶりにMWC2011見に来る時間が取れた(いや、取れてない、仕事から逃げてるだけかも)んで毎度おなじみバルセロナに滞在中であります。で、明日からMWC本番なんですが、本日はバッジ取りに行くほかは用事がない(いや、あるけど、それはそれ)んで、ちらっとお気に入りのSagrada Familia見ながら昼飯食って、ついでにチケット買って中の見学してきましたぜ。

以前見に来た時はまだ中央ホールの工事終わってなかったんですが、今回はとりあえず使える程度にはホールの工事も終わっていて、見学者が地上65mのむやみやたらと高い天井を見上げてました。もちろん跳箱も見上げて涎垂らしてましたよ。

諸々は端折ってしまうと、要するにSagrada Familia Projectは世界最初(?)のAgile Projectなんだな、たぶん。念のためgoogleセンセイにSagrada FamiliaはAgileなんか?と聞いてみたところ、日本語で言及している記事は皆無の模様ではありますが、やっぱりあったよ、そういう記事。うん、とても同感。

もうちょっと付け加えておくと、Sagrada Familia Projectはfractaleでもある。Project全体の構造からなにからなにまで。恐るべし、アントニオ ガウディ。

やっぱりP4P大事なんです。もっと頑張ろうよ。

とりあえず忘れる前にメモっといた、程度な感じですまんが明日早いんでもう寝る。

Previous Vaulting.Box

2009-12-11 03:30:24 | ひやかし
気が付いたらあれから2年が経ったのね、な今日この頃、皆様お元気でありますか?跳箱は相変わらず体育倉庫で埃かぶっております。なんのこっちゃ?

さて、この2年間になにがあったか早速おさらいしておきませう。そういや2009年もそろそろ終わるしな、ってなことで。

SAML大好きな跳箱的にはKantara Initiative発足とその活発な活動はいの一番に挙げなければならないトピックであります。Identity Assurance Framework、ID-WSF、Identity Governance Framework、Information Card、OAuth、OpenID、SAML 2.0、WS-*、XACML、XDIの各種標準を組み立てて一貫性のあるソリューションに仕立て上げる足場ができたのは喜ばしい限りでありました。

この前(つうても2007/09)書いた最後のエントリでMSがKerberos consortiumに出資しとらんのはけしからんのであると噛みついた件、きっちり2008/04に出資したとの報道があったのも結構、結構。満足でありました。

老いたネグポンが$399でGive1 Get1とバーゲンしていたOLPCは2年たった今でも$199でGive1しています。新製品が出る気配は....、ないなぁ。

スタバのキャンペーンのその後、ふらっとあっちに行った折にチェックしてみたらmohno氏予言の通り、ガチでばらまいておりました。mohno氏、すまん。

iPhoneあれこれ、やっぱ3G出るまではでっかいiPodだったの巻。つうか3GS出たけどiPhoneが市場を席捲するなどと妄想電波を撒き散らしていた人々は猛省すべきです。跳箱的には小一時間ばかり(以下略)であります。

IPv4アドレス枯渇問題のその後、いやー、順調に枯渇しております。やばいです。どうしましょ?まじでオオカミ来ちゃったよ、おい、であります。

PayPalさんあれこれ、Adaptive Payments、発表されましたねぇ。おもしろいですねぇ。

YouTube関係、権利団体とカネで決着付けたり、コンテンツID制度ぶちあげたりしてますが、所詮キレイな落とし所が無い畑ですから力任せにやるんであるということですね。そうですか。

大きなお友達のその後、少しは大人になったんかねぇ。ねぇ?

江島氏のその後、転職先はめでたいニュースもあるようで、なにより。とはいえ、iPhoneに相変わらずお熱なところがなんともはや。

Fonのその後、しぶとくソフトバンクショップで売ってますな。あれはT君の仕掛けかな?頭痛いです。

とりあえず、こんなもんか?こんなもんだろ。うん。


つまらないのでボツ

2007-09-26 19:39:49 | ひやかし
金融系アナリストの指摘を"脆弱"と切って捨てる森氏自身の指摘が相当脆弱でしかも見当違いである点について金融アナリスト諸氏はまずバカバカしくて指摘もしないでしょう。合掌。

そもそも「業界再編」という量の問題と「イノベーション」という質の問題をごっちゃにしているところからしてこの方の支離滅裂っぷりがうかがえます。こんな人に絡まれた金融系アナリストもいい迷惑です。

根拠の不明瞭な森氏的脳内理論の数々についていちいち指摘するのは面倒なので仮説提案するならせめてサンプルとなる適応事例を定量的に検証可能な形で添付するように、と学部一年生のレポート再提出指示かよそれ?な指摘をするにとどめておきます。

多分、森氏が論じたいテーマを取り扱っていると思うので、

戦略的イノベーション 新事業成功への条件 (ハーバード・ビジネススクール・プレス)
ビジャイ・ゴビンダラジャン,クリス・トリンブル
ランダムハウス講談社

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なぞ一読してからチャレンジしなおしてはどうでしょう?

ところで来月かの名著の改訂版が刊行されます。コレクターズアイテムであります。

イノベーションの普及
エベレット・ロジャーズ,Everett M.Rogers
翔泳社

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予約すべし。

ナニイッテンデスカ?

2007-09-12 03:58:22 | ひやかし
バカバカしいのでポイントだけ。わかる人だけ分かればいいっす。

米国キャリアは発信者単方向課金も満足にできない(つうかする気がない)ですが、本来ならその国ごとの商習慣の問題なんでとやかく言いたくはないところ。とはいえ、通信って世界中相互接続しているのでちゃんと標準に合わせてほしいよね。

とか、

IT化とレイヤー分業をごっちゃにするのはどんなもんよ?

とか、

ROI至上主義社会なのでノンコア事業にリソース割り付けしにくいからレイヤー間分業に対する敷居が低いんだと思うんだけどROI至上主義経営で内臓ごっそり抜いて自分ひとりじゃふらふらしちゃう企業ってどうなんだろうか?と自問してみたり。市場を早期立ち上げするには垂直統合の方が無駄が少ないケースも多いし。

とか、

統計データ探す&組み立てる腕がないのを人のせいにするのやめといたら?

とか、

SSNはあるけど戸籍も住民票もない(SSNできる前の米国社会の身分証明制度って調べると面白いよ)国と寺社の過去帳を背景にもつ戸籍制度の国を比較したってしょうがないじゃん。というよりNational ID導入で揉めている件とか無視しないように。

とか、

農業従事者数を意図的な不作為をウン十年続けてようやく5%に押し込んで、商店・流通関係にも今後はまきいれて(別名なんにもしない)いこう、という国と社会の不安定化リスクをテイクしてでも低コスト労働者導入して人口これからも増え続けるもんねな国を比較してどうするんか?

とか、

そもそも、世界的に見てレアな米国の一人当たり広告費(要するにコミュニケーションコストが猛烈に高い)を基準に議論を進めたってしょうがないだろう。

とか、

それ以前に、" 米国での広告費総額と潜在販売促進費を用いれば、Googleが提供すると言われる無料携帯電話の提供は不可能ではないという試算ができる " って無理矢理にもほどがあるだろう。バカげた前提に基づく試算なんて試算じゃないです。

等々、ほぼ全編に渡ってナニイッテンデスカこの人状態であります。合掌。

販売台数占い その2

2007-09-11 15:02:11 | ひやかし
大本営発表的に発売最初の二日間で27万台を売りさばいたとされるがAT&Tでアクティベーションされたのは14.6万契約にすぎず、それってどーなってるの?と関係(無い人も含め)各方面からの突っ込みの嵐に翻弄されたiPhoneは発売後2ヶ月を待たず$100とそれなりに思い切ったプライスアクションの練習を通して、かーなーり思い切らないとどうにもならない現実を突きつけられたらしく、発売2ヶ月を5日ほど経過したタイミングで33%(8GBモデル)$200におよぶ価格切り下げを発表、裏切られた感たっぷりの初期購入者(跳箱もだよ...。経費だけど)への$100キャッシュバックならぬクーポン配布(詳細はいまだ不明だけど2Q決算を修正したくなかったんだろうね)という中途半端なフォローでお茶を濁すことになったとのこと。

で、その5日後に大本営発表的に100万台販売したと言い出していますが、CNETも指摘している通り、それってどういうエビゾリカーブ?とナゾがナゾを呼んでいる今日この頃。

跳箱的には通信業界の伝統に従い、AT&Tの3Q決算発表を待っていぢくりまわしたいところ。

ところでこのテーマで前回触れたAT&Tの2Q発表の数字読みに間違いがあったのでこの点、別途報告したい(誰に?)ってことで続報を待つよろし。

追伸、Levitt氏のコメントがらしくてステキ。和文はCNETで、原全文はこちら

Sure, they gave them back a $100 coupon each, but it is only for Apple merchandise and many of these coupons will go unused, so the real cost of the coupon to Apple is much less than $100.

どうお茶を濁しているのかはっきり言う人です。にやり。

まさか跳箱までチェックしにきているような数寄者が読んでないはずは無いと思いますが念の為、

ヤバい経済学 [増補改訂版]
スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー
東洋経済新報社

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新しい方貼っとく。

大きなお友達のその後

2007-07-30 15:08:08 | ひやかし
3月にA氏からリクエストされてひさびさに存在を思い出した大きなお友達こと近藤氏が、久方ぶりにCNETでインタビューに答えていたのを発見。

相変わらず、やってみたかったからやってみた系の突撃厨っぷりを発揮しているのがほほえましいです。が、

アメリカならではという話は、他の場所にも行ってみないとわからないんですけど、プラスには働いてると思うんですよ。それはやっぱり普通にシリコンバレーの新聞読んでたら、「マウンテンビュー市のGoogleが…」って書いてあるんですよね。YouTubeが買われたっていう話だって、「サンマテオのYouTubeがマウンテンビューのGoogleに買われました」って朝刊に書いてあるんです。

サンノゼマーキュリーは95年ころからネットで読めるけどなにか?(当時、コンテンツアグリゲーター(なんて単語はまだなかった)を企画してたんで徹底的に調べたもんです)素朴でいいんだけど、そんなん別に住むまでもなく、二、三日もぷらつけば気がつきそうなもんだろうに...。(わざわざニューススタンド行かなくてもCALTrainの駅とかでも売ってるよ)

どれだけ周りとコンタクトを増やしていくことに活かしていくかは、これからかなという感じ

おいおい、住んで一年にもなるのにこれからって、引きこもりしてたのか?と突っ込みたい気持ちでいっぱいになります。つうか、米国に住んで日本の仕事してるという段階で本末転倒ですし、これならまだ江島氏の方が見込みあります。江島氏は江島氏でイタいエントリ起こしてますが...。まあ心が病んでいるらしいからそっとしておこう。

近藤氏もそうだし、江島氏もそうなんだけど、なんか、ベイエリアつうかサンノゼ界隈に幻想を抱いてないか?なんか、見ていてお坊ちゃまの遊学の延長線上の行動な気がしてしかたない。(別にいいんだけどね、よそんちの親(会社)のカネだし)北米市場で本当に成功したいなら北米市場に根を張った人間に任せたほうがいいんじゃない?その任せた人をマネジメントする能力は要るけど。

販売台数占い

2007-07-30 14:24:09 | ひやかし
発売直後に一部のアナリストが最初の週末だけで50万台売れたんじゃないか?と景気のよい煽りを入れていたものですが、AT&Tの発表した第二四半期契約実績では14.6万台、もう一方の当事者であるAppleの四半期開示では27万台と、どっちにしても期待はずれな結果に終わって(ここまで半年間市場を煽りに煽って右肩上がりまくっていたApple株価急落したとのこと。合掌。(もともと歴史的高値域だったんだから仕方ないとも)

たった二日間の販売実績数値であるにもかかわらずAT&TとAppleの発表が倍近く乖離しているトホホな問題についてCNETのTom Krazit氏がいい仕事をしているので一読されたい。

Krazit氏が指摘されている諸点について跳箱も同様の検討を行ったが、あまりに思考の取っ掛かりが少ないため、ある程度以上の確信を持って書けることがない状態だと白状しておく。

なにはともあれ、初期販売台数について市場の期待を(裏切った場合に自身に跳ね返ってくるリスクを受容して)膨らませてきたAppleは消費者がランニング支出(しかも期間縛り付き)を伴う消費行動に対してスポット支出のみの消費行動と比較してどの程度慎重になるかという点について経験不足を露呈したといえるのではないだろうか?端末売っておしまい、じゃないってことで。

さて、糞意地の悪さを身上としている跳箱であるからして発売前後の熱狂というか騒乱状態もおさまりハイプ曲線がはやくも幻滅期にさしかかろうとしているらしい(正月からこっちこのネタだけで引っ張り続けてきたんだから、情報としては消費されつくしているわけだし)、このタイミングでiPhoneに塩を摺りこんでみよう。

毎度おなじみCTIAによると米国の携帯電話契約件数は2006年末時点で233,040,781件、対して2005年末は207,896,198件なので、年間純増は25,144,583件となる。素敵です。

この国はここ数年の契約件数成長率が安定している上に、人口は3億人を超えていまだ増加中(つまり限界市場規模までまだまだ余裕あり)なので限界市場規模までまだまだ余裕あり、しかも一人当たり国民所得もさほど変化していないので、今年も前年同様2500万件前後の市場拡大は期待できるでしょう。

さらに、これまたおなじみNPDによると2006年の米国端末販売は143millionと新規加入者の購入分を差っぴいても1億1800万台の買い替え需要(もちろん、二台目需要等々含まれているはずですがめんどくさいから考慮しない)があったとのこと。これまた素敵です。大雑把に言って月間1,000万台が販売されていることになります。(以前と比べて買い替えサイクルが短縮されていている模様。だいたい2年に一度買い換える感じか。)

ちなみに、これまたNPDによると金額ベースでは全体が$8.8 billion($1=126として)平均販売単価は7700円弱となるので総販売台数中かなりの数がPay as you goなどの安価なプリペイド携帯($30-50程度)で占められていることが想像でき、高性能(高額)端末市場がさほど大きくないことが推察されます。

もひとつおまけにAT&TのInvestor Briefingを読むと、2007Q2の総合ARPUは$50.63、内データARPUは$25.92(Wireless Data Revenuesが$1651MでSubscribersが63.7Mと公表しているんだから、ついでに内数もつけておいてほしいものです)とデータの稼ぎが良いことったらありません。データ通信カード様々でありましょう。もっと言うとデータ通信モジュール内蔵ノートパソコン様々なのでありましょう。ビジネスユーザー依存率高そうです。(まるでちょっと前のWillcomみたいです)米国の携帯電話利用者は他国と比較して伝統的にMOUが突出して高いので、このデータARPUの急上昇は注目に値すると考えます。(いや、なに、ビジネスユーザーがものすごい勢いでカネ払っているだけなんでコンシューマーに即波及するとは思えないですが)

要するに、低単価端末にプリペイドSIMを組み合わせた低ARPU顧客層がすごい勢いで増えつつあると同時にデータ通信カード内蔵ノートPCやBlackberryなどのスマートフォンを経費でじゃぶじゃぶ使う社用族層の二つのセグメントが伸びている状態のようです。(このエントリで引用している公開情報だけだと、これ以上突っ込んだことは言えないけど、某社や某社のデータを引用するともうちょっと詳しいことが判る。が、さすがに経費で買ってるン百万円のデータをここで引用するのは憚られる...。)

もう一方、年初に発表されたCEAのState of the Industryにおいても指摘されている通り、デジタルポータブルオーディオの販売は成長期を脱し安定期に突入していますので、2005年末の20%から数ポイントしか所有率は伸びていないと見られますから、iPodはすでに新規購入ではなく買い替え需要が中心の市場に遷移(米国市場の話だよ)してしまっていると推測できそうです。

やれやれ、ここまで整理すれば(しなくたってホントは判りそうなもんだけど)お分かりいただけるでありましょう(誰に?)。iPhoneはiPod利用者でかつスマートフォン利用者(所有者とはしない)で且つ、平均的端末価格の10倍にもなる高価なイニシャルコストを支払え、さらに最大で平均ARPUの2倍のランニングコストを2年間に渡って支払い続ける意思と能力のある顧客層にしか手の届かない商材であり、さらにAppleという会社とその製品に対して好感を持っている層でなければ購入してくれそうも無い商材でもあります。

跳箱は年末までに(提携キャリアが増えるとか、プライスアクションするとか、新製品出すとか)なんらかのてこ入れ策が実施されない限りiPhoneは100万台以下の販売実績に終わってもしかたないんではないかと考えています。(もっと言うと50万台以下でもおかしくないとも思ってます)

歴史に学べ

2007-07-23 20:12:04 | ひやかし
というほど大昔の話を引っ張り出したいわけじゃないですが久方ぶりに、

アップルがマッキントッシュを生み出して、それが模倣されてウィンドウズが生まれ

などという寝言を目にしたのでつまらないとわかりきった指摘をすることにする。(とはいえ、こういう寝言が見受けられるようになってきたということは、このあたりのことは最近だれも教えてくれなくなったってことなんだろうか?)

ちょっとは元気が出てきたらしい江島氏はApple Macintoshを模倣してMicrosoft Windowsが生まれたと本気で信じ込んでいる(そうでないなら悪質な歴史歪曲と指弾せざるを得ない)ようですが、PARCにおけるAltoおよびSmalltalkすなわち暫定Dynabookについてちょっとおさらいしておいたほうがいいでしょう。

なにがなにやらな向きは、

SMALLTALK‐80―言語詳解
Adele Goldberg,David Robson
オーム社

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ほぼ入手不可能とは思うけど、この辺とかあさってみるべし。(いつごろ書かれた本なのかに留意のこと)

どうも江島氏は躁状態に入っているらしいんで言っていることがいちいち大げさなのはご愛嬌としてもiPhoneを見て初めて

ネットへの常時接続が保証されているモバイル端末

のもつ可能性が理解できた模様。末期的なまでに想像力不足と評さざるを得ません。で、そんな視界の狭さと底の浅さでは

iPhone的なものを使った新しいライフスタイルについてのアイデアが、どんどん出てきます

と言われても出てくるのはalternative志向(嗜好かなぁ)なfollowerプロダクト乃至サービス止まりっぽいと眉に唾付けたい気持ちでいっぱいいっぱいです。

iPhoneが発売されるまで米国市場にデータ定額サービスがなかったとでも言うんかい?(ああ、知らなかっただけか...。)つうか、一介の開発者ならいざしらず、江島氏も経営者のハシクレではあるわけなんだから、AT&TがなぜこのタイミングでAppleと(一説には契約獲得インセンティブ以外にも月次通話料収入からもインセンティブを得ている)今回のような契約を締結したのか、とか、googleはこのタイミングでプロダクトビルトインしたマッシュアップサービスを提供することによってどのようなビジネスを狙っているのか、とか少しはマシなこと考察して書いたらどうなんだ?と説教調になってしまうのは跳箱の悪いところですがどうせ、こんなクソブログ誰も読んでないからまあいいか。

さらに江島氏は、

ユーザインターフェースのアドバンテージは、決して定量的に評価できない

などとこれまた妄言を吐いていますが、Universal Designはテキトーに自称するだけで成立するとでも?ISO13407(というかHDC全般)勉強しておいてほしいところ。

基礎をきちんと押さえた上で、

戦略的ブランド・マネジメント
ケビン・レーン ケラー
東急エージェンシー

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知的財産権としてのブランドとデザイン (21世紀COE知的財産研究叢書)
青木 博通
有斐閣

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リーディングス ネットワーク論―家族・コミュニティ・社会関係資本

勁草書房

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あたり読んでおくと通り一遍の議論には耐えられるだけの基礎ができるでしょう。

最後のネットワーク論はなんでここで関係あるのかナゾがナゾを呼ぶかもしれないけどネットワーク外部性についてきちんと考察し始めたらものすごい勢いで必要になる概念が山ほど取り扱われているので必修扱いです。

江島氏が本気でこの分野に関心を持ったのなら、同じCNETでブログ書いている黒坂氏あたりに相談してみたらどうかと。黒坂氏のパートナーであるらしい渡辺氏はまったく評価しないが、黒坂氏は江島氏ほどのドが付く素人が最初に師事するには適切な教師だろうと思うよ。余計なお世話だけどどうせ誰も読んでないからまあいいか。


ところでまったく関係ないけど跳箱はアンリ・カルティエ=ブレッソンを崇拝しContaxT2をこよなく愛用(つうかブレッソン崇拝しているならM3にSummicron 50mm付けやがれです)しているにもかかわらずデジカメ便利すぎるのでこのところPowerShotS80を常用しているんですがIXY900ISの方が便利なのに気が付いてガックリな今日この頃。S2手放してからはレンジファインダー一本道であります。レンジファインダーといえばG1もいいカメラだったなぁ。マコナルが持ってたっけ。そういやなつかしのFM2はどこへやったんだろ?

テスト

2007-03-27 02:15:16 | ひやかし


商品モニターブログじゃねぇ、とかいいつつ、gooブログにそんな広告載ってたので試しにやってみる。これってどんなもんよ?

2007/04/24/23:31追記

ほぼ一ヶ月間(28日とちょっと)様子を見てみたところ、16通の、[リリース]【謝礼XXX円】キャッチコピー形式のタイトルが付いたメールが届いた。大体2日に一遍ペース。内、10件は謝礼は100~10000円という表記で先着順もしくは抽選、さもなければ両方組み合わせて1000~2000名に100円で依頼を出し、最優秀の数名に10000円支払う、といった形式が主流の模様。掲載募集期間は1週間程度が主流の模様。

一つのエントリに一日あたり50PV程度はあるとして1000エントリで5000PV/Day、35000PV/Weekがコミッション等含めて20万円程度?で獲得できるとするとPVコストは6円程度。これって高いか安いかよくわからんなぁ。純広より記事広の方が効果高いと昔のアンケートデータなどは示していたけど...。原稿の質がねぇ?担保されないし。跳箱的には高いんじゃないかと思う。

こういった媒体がどれほど生き残れるのか観察は続けてみよう。(って、単に原稿依頼メールをカウントし続けるだけだけど)


跳箱の独白

2005-09-19 06:53:27 | ひやかし
このところいろんなところでWeb2.0がどーとかオープンソースがどーとか、googleのビジネスモデルがどーとかな話題が花盛り(ほんとか?)なんですが、なんかいまいち面白くないと思ってたらやっぱりウチの本棚に原因がありました。

たとえば、江島氏がXMLでアフォーダンスだぜとシャウトしてたエントリ読んで、そーいや1999年ころのHBRでエージェントがゲームしてパレート最適でまたーりってレポート載ってたなぁと思い出して本棚ひっくり返し始めたら、お目当てのエージェントがゲームしてたレポートは見つからなかったんですが(てゆうか1999年以前のHBR捨てちゃってたぜ、マイガッ)2000年の4-5月号(あのころはまだHBR隔月刊だった)の特集がeビジネスの競争優位戦略でアフィリエイトを活用した事業モデルの分類と進化シナリオ論じられてたし、2001年の4月号の特集がプライシングの戦略メカニズムだったのを発見してしまって、ありゃ、先週のCNETにそれ使って売り上げ伸ばした話(あ、渡辺氏にコメントねだっちゃったよ)とかが載ってたね。

個別事例はともかくとして、状況整理というかフレームワーク自体はこのころ(つまり4~5年前もしくはそれ以前)になされていて、これで今読み返しても十分利用可能です。この辺ベースにして、もっといまどきの課題について語ってくれたりすると面白くてありがたいんですが、跳箱的には5年前、10年前(ビジョナリーカンパニーなんかそう)に読んだ本(とか雑誌の記事)の輪読会もどきに強制参加させられるのは苦痛です...。

どーでもいいですがネットバブル崩壊で反省したのかHBRって最近特集にITっぽいの持ってこなくなったけど前は結構特集してたよなぁとつい読み返してしまった。(いや、HBRなんてファッション誌だ、なんて食わず嫌いしないでいっぺん読んでみてよ、結構面白いよ)

ちなみにネットにおけるインテグラルな事業モデルが競争優位を獲得できそうな分野ってどこよ、とか、ベイジアンなエージェントがオントロジーにゲームするとミンナモーカラネーとかそーゆう話だったら楽しそーなんですけどね。

ストックホルム症候群?

2005-09-07 16:56:23 | ひやかし
使えないサービスに腹立てたユーザーが怒りをぶちまけ、それに対して対応状況を逐一連絡していたら腹立ててたユーザー達が応援してくれるようになったと自己申告しているのはいつもの大きなお友達なはてなCEOこと近藤氏。

さて、どうもはてな内部では大規模なストックホルム症候群が発症している模様。

もちろん全部が全部ってわけじゃないでしょうが、一定以上の比率で一方の意見が優勢になると多数派同調バイアス(傾向)がかかるってこともあるんでもろもろの影響を考慮してあげる必要はあるでしょう。とはいえ、読んだ限りじゃトリガーはストックホルム症候群っぽいなぁ。

オープンソースソフトウェアはソースコードが公開されているため、システムの信頼性が高い、といったようなことがよく言われます。しかし、この信頼性を獲得している一番の要因はソースコードが公開されていること自体ではなく、不具合が発生した際に修正されるプロセスが公開されていることではないかと思います

これもおんなじことじゃないかと。

不具合が発覚すれば世界中のプログラマが修正パッチを作成して早期に穴は塞がれ、そのプロセスはメーリングリストのアーカイブとして公開されている、という安心感

実際にメーリングリストチェックしているLinuxユーザーって全体の何パーセントいるんかね?これはブランディングと同じで信頼できると相手に思わせるための手口の議論でしかないと思うよ。

「不具合をゼロにする」事と同時に、「不具合対処のプロセスをオープンにする」事の重要性が増している気がします

なんで結論じゃ落第です。そもそも不具合ゼロにするってえとコスト高くつきすぎるし。

続、君は東京BBSを知っているか?

2005-09-07 04:46:32 | ひやかし
さて、初の1万文字制限に引っかかって二部構成となった今回のエントリ。めんどくさいが続きが続くぜ

一応げんなりしながらも突っ込んでおく。(近藤氏に突っ込むより張り合いが無くてつまらんです。いやいや書くとこんなにも書くという事がめんどくせーことなのかと思い知らされます)

10年前には、インターネットがうまくいかないと思っていた人たちがたくさんいました。それが今の若い人たちは、インターネットがなかったことを知らない人さえいるのです。10年前には想像できないことがたくさんありましたが、今の若い人たちはきっと10年後がかなり想像できているのではないでしょうか。インターネットや携帯電話が発展し、普及するにつれて、生活もどんどん便利になっていくことを実感していますから。

すんませんが"若い人"けしかけてなにしたいんすかね?単純に考えて、ひとつの技術体系が社会に一定以上受容されて高度化、複雑化し始めると個々人になせることは減っていくもんです。アーキテクチャの切り替え期なら個人に活躍の機会もあったわけだけど。今からLinuxと置き換えるOSSなOSプロジェクト始めてだれが乗ってくる?一番でかいチャンスは新しい親亀市場が生まれるときにころがってるの。小亀や孫亀は親亀より大きくならないの。

「クリエイティブクラス」といって、ネットを完全に理解して使っている人たちと、使っていない人たちのギャップが発生し、デジタルデバイドが世代間で起きているのです。これは、今後どうすべきか考えていかないといけないでしょうね。

クリエイティブクラス?なんじゃそら。なんつうか自称ヤンエグっつうのと同じくらい恥ずかしいセンスです。セマンテックWebしかり、ユビキタス社会しかり、ユニバーサルデザインしかり、デバイドしない社会を作る技術がいま、いちばん面白れぇ、と考えている跳箱からすると自分が知ってること、できることがスゲーことでなくなりつつあるのが悲しい人々の集まりとしか思えません。

しかし、現時点で法律やビジネスモデルを考えている人たちは、どちらかというとあまり若くない。年功序列型の企業がイノベーションに取り組もうとして、とことん失敗しています。

市場環境の変化を梃子に新興企業がのし上がって既存企業のシェアを奪うといったような新陳代謝は市場が健全に機能していることの表れであり、跳箱はそれはいいことだと考えます。従来の市場に適合していた会社で新しい市場に適応できなかった会社がすべからく年功序列であったと伊藤氏が主張するならばかなり特殊な主張なのでぜひ根拠となる定量的観測データの開示を願いたいところです。

例えば携帯電話などは、一番面白い使い方ができるのは日本なんです。そして、それを使いこなしているのは若い人たちです。ポケットベルも、あれだけ使い勝手の悪いサービスであったにも関わらず、若者の間で爆発的に流行しましたよね。きっと利用者である若者がサービスを考えていたら、もっと面白いものになったのではないかと思いますね。

端末でいろいろなことができる(いまや過去形になりつつあるけど)は確かに日本(だった)ね。けど、網も含めて面白いこと、となると断然、欧州の方がおもしろいよ。北米にも欧州にちかいサービスがあって結構流行ってるけどね?ご存じないようで。

米国は若い世代をサポートしています。Mark Andreessenが20代の頃にNetscapeを創業することも自然でしたから

特撮キチガイをカネモチに仕立て上げたのはSGI創業者のジムクラーク氏だよ。

ITの世界がわかっている人ならば、投資額が多くなればなるほどシステムが複雑になり、壊れる可能性が高くなることを知ってます。実際にはシンプルさを売りにして、いかに投資額が少ないかを自慢すべきなのに、当時の銀行では巨額な投資額だけを自慢していました。

問題は投資額が多いか少ないかじゃない、アーキテクチャが洗練されているかどうか。というかバカを大量に集めて開発したってろくなもんは作れない。それだけのこと。カネ無いよりあったほうがいいのはいつだって事実。できれば時間も。

巨額な投資をして住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)を作ったことも記憶に新しい出来事です。地方や県のレベルで何かイノベーションをして、それがうまくいけば国が認めるというパターンはありえるでしょうが、トップダウンで実行するのは一番良くないと思います。

住基ネットが洗練されているとは思わないが、国民背番号制の根幹を成すシステムがボトムアップデザインでできているなんて想像するのも嫌だ...。地域別のスキーマをXMLDBに全部食わせて力任せに統合するとかするのがステキってことすかね?

インターネットでは通常、ボトムアップモデルが成功して、トップダウンはあまり成功していません。

度々すんませんが定量的根拠データ提示して主張してもらえないすかね?

Amazon.comは、スタートこそトップダウンで始まりましたが、今でも社長自らが20代のハッカーの集まりに出席し、若い人たちが何を開発しているか謙虚に聞いている姿はさすがだと思いました。つまり、生き残るためにはボトムアップをどう取り入れるかがポイントとなるのです

普通に考えてあらゆる方面に対してリサーチをし続けているだけ、とは考えられないのかね?ある一局面を取り上げてそれがすべてであるかのように語るのはいかがなものかと。

e-Japanの内容には反対したでしょう。特に住基ネットなどは、何のためにやっているかはっきりせず、セキュリティ面でのリスクもある。そして、提案した人たちが本当にやりたいと思っている内容を実現させたとしても、コストに見合わないといった結果が見えています

はあ、伊藤氏、なんか唐突に住基ネットの話持ち出すなぁ、おかしいなぁと思っていたら、e-Japanと住基ネットごっちゃにしてたんだ...。

住民基本台帳ネットワークは悪名高い(とは思わんけど)国民総背番号制の流れを汲む由緒正しいお上的発想のシステムです。歴史もe-Japanなんかよりはるかに古い。伊藤氏の育った米国にもSSN(社会保障番号)あるのにね。(まあ、あれも取り扱いが大変だけど)

一方、e-Japanの歴史はこちら。もうなんていうか、某国に遅れをとったのがよほどショックだったみたいなドタバタっぷりなので皆様記憶に新しいところでしょう。伊藤氏はご存じなかったようですが。

1985年に始まったシグマプロジェクト

最初に紹介した日本の情報通信産業黎明期の歴史(伝記か)をちゃんと読んどけばわかることではありますが、シグマ以前に通産省が指導した護送船団式プロジェクトは概ねうまく行ってたんだよね。(というかジイさんたちから聞いた話と本で調べた限り)シグマは確かに痛恨のミス。とはいえ、それ言うなら第五世代や第六世代の話もしたらどーかね?通産省の呪われた歴史だけでけっこう盛り上げられると思うんだけどね。

あの時期はUNIXが登場し、オープンソースへの取り組みが盛り上がろうとしていた頃だったのです。あの時にそのエンジニアたちがUNIXに取り組んでいればと思うと、残念です。

国益、という観点で考えるならトロンの譲歩の方がよほど大問題だろう。

いまだに優秀な技術者が大企業に集まっていますから。大企業は、優秀なエンジニアを吸い上げて、政治的にお金をばらまくプロジェクトに送り込んでいます

すんません、それ、何年前の話ですか?

てゆうか要するに優秀な(給料の安い)若手エンジニアを伊藤氏も獲得したいけど、大手にかっさらわれてしまうと、そういう不満がおありだと?優秀な子は怪しい人とは仕事したがらないもんだと思うけどなぁ。

プロジェクトは人数が増えれば増えるほど進む速度が遅くなります。それが、日本は大きなプロジェクトばかりに取り組んでいるので、賢いことができない。賢いイノベーションは、小さなプロジェクトから生まれることが多いのです。そういう意味では、日本の技術者はイノベーションを起こすチャンスに恵まれていませんね。

すんません、根拠不明です。つまり、伊藤氏といっしょに小さな会社で自称イノベーティブな小さなプロジェクトやるのはカッコイイ!、と主張されてるってことでいいすか?

一応まじめに考えるなら、日本の市場、企業風土にあった開発のやり方ってのはやっぱりあるはずで、その辺、きちんと整理しておいた方がフェアってもんでしょう。なにをもって、どこと比べて伊藤氏が「日本の技術者はイノベーションを起こすチャンスに恵まれていない」と断じているのかナゾなのでわざわざ先回りする必要ないとも言いますが...。

ここを紹介するとまたshibudqn氏あたりがやってきそうですが経済産業研究所の競争力の研究シリーズなんか初学者にも親切な感じです。ほかにもいろいろガンバってるよね、RIETI(活用できてるかどうかはおいとくけど)。

こういうとこ、ちゃんと定量的に押さえた上で日本の技術者がどことくらべて、どのような点において、どのように、恵まれていないと主張しえるのか考えないとねぇ。

以下も同じね。

日本のソフトウェア産業が遅れている

世界全体を見回してどんな分野で、どの程度、どんな風に遅れているのかちゃんと比較検証しないと説得力ゼロ。まさかPCベースのインターネット風味なソフトウェアだけがソフトウェアだと思っているんではあるまいね?

米国にも、インターネットを活用する人と活用しない人のギャップはありますが、そのギャップを乗り越えている人が多いのです

もう指摘するのめんどくせぇ...。

世間で騒がれているほどちゃんと書いている人はいない気がします

いやはや、この点だけは御意であります。ちゃんと書いてないです、跳箱。

JavaScriptを使ってユーザーがウェブページの表示を

から、

Microsoftとの戦いは今後のインターネットに重要な影響を与えるでしょう

までについては、跳箱的整理では知財産のコモディタイズであり、そこは比較競争優位の源泉としては枯れてしまったから開放されただけと捉えます。それをありがたがるのもどんなもんすかね?廃品回収は立派なビジネスですがそれが一番儲かる仕事かどうかとは別の話です。

発明の半分以上は米国以外

なにを持って発明の半分としているのか不明ですが、仮に半分だったとしても生み出している富の半分が米国外に蓄積されているわけでないことは確かです。富の蓄積こそが目的である資本主義社会においてはたったひとつの発明でもいいから富の過半を押さえられればそれでいいわけです。

そっちの方が大問題です。

グローバルレベルで人同士のつながりが強くなりつつあるのを感じます。ブロガーやWikipediaに参加している人たちは、仲間意識が強いですしね

ニセブロガーの跳箱はまるきり仲間意識強くないですすいません。

君は東京BBSを知っているか?

2005-09-07 02:32:41 | ひやかし
1987年に誕生し、草の根ネットとして誕生しPC-VANやNIFTY-Serveのように時間課金される料金を気にせず、電電公社から衣替えしたばかりのNTTの電話代だけ気にすればよかった(いや、それもかなりイタかったが)、モデムの先に存在するコミュニティを体感させてくれた、あの東京BBSを君は知っているか?

1971年にエスクワイヤ誌にキャプテンクランチと命名された電話網ハッカー、ジョン・T・ドレイパーを君は知っているか?

1959年の冬のボストンでパンチカードを武器に繰り広げられた冒険劇を君は知っているか?

もちろん、跳箱は知らない。跳箱が直接知っているのは東京BBS時代から先だけ。そもそもBBSってなんじゃっつう世代がいるかもしれないけど...。なんにせよ、いつの時代にもキティガイはいたし、次の時代のための仕込みはされていたらしいってこと。(いやー、こういう感じで恥ずかしげも無く書ける江島氏、えらいよな。跳箱には無理だわ...。)

おお、それおもしろそう、とお考えの向きはこの辺読んでみるよろし。

バークレイ・ハッカーズ

ビレッジセンター出版局

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とか、

ハッカーズ

工学社

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それから、

コンピュータの時代を開いた天才たち―最先端で活躍する型破りな15人の軌跡

日経BP社

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未来をつくった人々―ゼロックス・パロアルト研究所とコンピュータエイジの黎明

毎日コミュニケーションズ

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計算機屋かく戦えり

アスキー

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これなんかプロジェクトXよ。もう遠藤編集長熱いぜ。

パソコン創世記

旺文社

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なんつうか、富田史観なんで跳箱の師匠筋(その当時現場に居合わせた不運な人含む)的には微妙との評ありだけど流れにはそんなにウソがないんだと。この辺読んどくと伊藤氏の言うUNIXやってりゃよかったのに、つう説の問題点が見えてくるはずです。

ついでに江島氏が勉強してなかった日本の通信事業の歴史については、再掲になるけど、

テレコムの経済史―近代日本の電信・電話

勁草書房

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これ読んどくと明治時代の日本がどんな思いで、どんな風に電気通信ネットワークを構築していったのかよくわかります。貧乏だったんだなぁ...。

電話するアメリカ―テレフォンネットワークの社会史

NTT出版

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こっち読むと米国の電話発達史がわかります。これ読むと次には近代郵便制度の歴史なんか知りたくなったりするけど...。

メディアの生成―アメリカ・ラジオの動態史

同文舘出版

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再掲でラジオの歴史なんだなぁ。これも江島氏が誤解していたとこね。

どんな歴史であれ、その現場に立ち会った当人にすらほんとうのところは解らない、というか当人の数だけ、視点の数だけコンテクストが紡がれてしまうといってもいいとは思う。ゆえにすべての歴史家は歴史修正主義者であると呼んでもいいと思う。

とはいえ、そもそも現在の状況を生み出した背景となっている(モールスとバベッジから数えてもたかだか200年に満たない通信と計算機の)歴史をまるで知らずに各種の議論を展開している各種の論客(お笑いだね)の不毛さに跳箱はげんなりしてるのであります。彼らは歴史修正主義者のレベルにすら達していないと断じます。

さて、もう二冊だけ紹介しときます。

古いメディアが新しかった時―19世紀末社会と電気テクノロジー

新曜社

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19世紀当時の最新テクノロジーの普及過程と社会の変容がなかなか面白い。エキサイティングな時代だったようです。現在起こっている変化はかの時代に起こった変化と比してそれほど大騒ぎするほどのことなんだろうか?

絶え間なき交信の時代―ケータイ文化の誕生

NTT出版

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さて、一方現在進行形の携帯電話普及の過程と社会の変容を観察したこちらもなかなかのものです。読み比べてみると面白い。

おおう、gooブログは1エントリ1万文字以内なんだそうな。なんで続きは続く

大きなお友達、ごっちゃごちゃ。

2005-08-30 02:17:43 | ひやかし
要は自社の開発スタイルは優秀なんであると言いたいらしい大きなお友達ことはてな代表取締役な近藤氏、資本主義な時代において"優秀"ならカネ儲かってしょうがないはずという点には一切触れずじまいです。

はてなの開発スタイルがすばらしく優秀であるという仮説が仮に事実であったとすると、今度ははてなの業績が痛々しい実態である点からはてなの経営がはてなの開発スタイルの優位性を帳消しにして余りあるほど問題だらけ、なんではないかという新しい疑惑を生んでしまうのではないかとふと思ったり思わなかったりしたのは例によってCNETのこちらのエントリから。

さて、個別ツッコミ参ります。

コミュニケーションの可能性は、時間や空間の物理的制限を超えて、「いつでもどこでも誰とでも」という世界が実現し始めています

これはPARCのMark Weiser氏が言いだしっぺなUbiCompのヘタクソな引用ですね。日本の政策形成の流れに乗ったところからなら、一昨年に総務省らしからぬえらく趣味に突っ走った研究会運営していたんで有名なユビキタスネットワーク技術の将来展望に関する調査研究会の報告書あたりで言っていることの表面をなぞっただけといえましょう。

総務省の研究会報告書では近藤氏が指摘した空間的・地理的制約からの解放だけでなく、通信対象の制約からの解放、ネットワーク、端末、サービス・コンテンツの選択の制約からの解放、通信能力の制約からの解放、ネットワーク・リスクからの開放といったところまで考慮に入れています。

さて、ここだけなら単に近藤氏の関心のあるところを中心に捨象しただけと考えて見逃してもよかったんですが、続いて、

各個々人が誰とどのようにコミュニケーションを行うかという問題にとどまらず、企業が製品やサービスを開発して提供していくプロセスの中にも影響を及ぼしつつあり、今後その影響はどんどん拡大していくと思います

とコミュニケーション手段における制約が無くなる、もしくは減る、という話と企業の(製品やサービス開発のプロセスの変化という形で)比較競争優位形成手段が変化する(してる)んであると飛躍しているからやっぱ問題です。岩井氏のポスト産業資本主義でも斜め読みしたんでしょうか?

企業とユーザーが直接対話を行いながら製品の改善を行ったり、新製品の企画すら行っていくという事が可能になってきており、実際にそういう事例が出始めています

近藤氏は逆説的にこれまではそうしたプロセスが無かったと主張されたいようですが、マーケティングをかじったことがある人ならだれでも思い浮かぶように、フォーカスグループインタビューやグループデプスインタビュー、各種の市場調査といった手段を駆使して企業は製品やサービスの企画を進めてきたわけです。

インターネットを活用することによってこれらのコミュニケーションコストが低減する、という主張であれば、あー、そーね、で済むのですが、近藤氏が知ってか知らずか、これまではそんなもん無かったといわんばかりの主張を展開するなら非常に誤解を招きやすい表現といえるでしょう。

そしてそういう変化が最も早く訪れているのは、まさにそのインフラそのものであるインターネット産業だと思います

この主張については単純に疑問があります。新しいチャレンジを率先して実行することが出来て、かつその動機があるのは費用負担余力と競争のある産業分野でしょう。たぶん、自動車とか金融・保険といった分野の方が着実かつ迅速に新しい有効な技術を活用していくと思います。(とはいえ、近藤氏の言い分がこれらの業種で通るとは思いませんが...。)

さて、ここまでの流れではユーザーと企業の関わり方は通信技術の発達によって変化するはずであり、事実変化し始めている、と主張しているのですが突然、

一般的な会社が製品を作る方法とは異なり、例えばLinuxの開発者は一箇所に集まって仕事をしたりはしませんし、給料も基本的に貰いません。コストが必要ないために、資金を調達する必要もありません。会社、社員といった概念はなく、一般的な意味での「組織」が存在しているのかどうかも疑問です。しかし、各個人が力を持ち寄って、大きな組織力が生まれていることは確かです

と、OSS開発プロジェクトであるLinuxの開発プロジェクトを持ち出してばらばらの個人がネットワークを介して大きな仕事している例を挙げています。これでなにか前段の主張が補強できると思ったのでしょうか?まず、OSS側の主張の根拠としていまや古典となっている伽藍とバザールくらいは最低限読んであるんでしょうな?そもそも営利事業の運営手法に非営利事業の手法を用いることでなぜ経営効率が向上して業績が従来の営利事業的運営手法より向上するといえるのかその辺、まじめに論じてみたまえ、と論文指導したくなってきますが、めんどくさいんで止めます。

すさまじくどーでもいいですが、おまけに指摘しておくと、OSS開発に参加している個々人について三菱総研の調査報告を見る限り、この分野でも2:8の法則はしっかり働いているらしいので、ほんとに皆がよってたかって、な開発になっているのかと問われるとナゾが多々残りますし、そもそもOSSプロジェクトの中でも有力なプロジェクトには多数の大手IT企業が参加しており、さらには主要な(とまで言える)貢献を果たしている点についてどう整理をつけるつもりなのかひじょーに疑問です。

さらに言うならば、OSSだからカネかからないからカネ集めしないでいい、という主張も眉唾物です。つい最近の話題だけ見てもLinuxの商標権問題のようにカネが直接絡むケースもあれば、Bitkeeperからの移行問題のようにカネで解決しなかったがゆえにややこしくなった問題もあります。

人が複数人絡んでそこに利害(主義主張含む)の衝突ないしは不一致が起こればなんらかの問題解決手段が必要になるわけですが、そこからカネによる解決という一番シンプルな解決手段を最初から排除しておくと非常にややこしいことになりやすいと考える跳箱は古臭い人間なんですかね?

跳箱的にいろいろ書いてみたんですが、肝心の近藤氏は

これはいわば世界中の腕利きの大工が寄ってたかって趣味で建物を作って無償で配布し、その建物を世界中の個人や企業が使っている

といった非常に素朴な認識を示しているので、どーも状況をよく理解しないまま主張しているらしいことが判明。やれやれ。

跳箱的にはOSSについては知的財産のコモディタイズ過程として整理したいとこです。

ところで、OSSプロジェクトで商用プロプライエタリソフトウェアを凌ぐ先端的な機能実装に成功している事例というのはどの程度あるんでしょうかね?そんなに無いと思うんですが...。

まあいいや、話を戻そう。

前半でユビキタスネットワーク社会の到来によってコミュニケーション制約の低減が現実のものとなったので企業はユーザーと対話することが出来るようになったと主張し、行き着くところはOSSプロジェクトのような個々人の力をネットワークによって紡ぐことによって生まれる新しい組織形態に変化していくんじゃないかと寝言をつぶやいて

自社製品のユーザーと対話を積極的に行いながら、社内にある組織力以上の力を発揮

すべきであるとの主張に纏め上げているのですが、やっぱり大きなお友達な近藤氏は、

会社はだれのものか

平凡社

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でも斜め読みしたんじゃないかと疑いたくなります。

企業経営者なら、ユーザーや各種の取引先を含めたステークホルダーの相関全体を踏まえて自社の強み、弱みを把握しているもんです。

情報を社内に閉ざし、自社の能力だけに頼ってサービスを開発している場合は、社員の知識や知恵の合計以上の製品を作ることはできません

そんな会社どこにあんのか?と問い詰めたいもんです。

10人しかスタッフがいなくて資本力もないようなベンチャーでは大した競争力は生まれません。はてな自身必ずしもこうした競争力を得るためにユーザーと対話を行ってきたわけではありませんが、結果として1つの有効な方法となりつつあるのではないかと感じます

社内資源がきわめて限られているために大手との競争において厳しい状況に置かれているからユーザー(厳密には顧客とはちがう意味になる)を戦力化する、という発想自体は割とよく見かけるので別にだからどうということはないですが、OSS的な手法を営利事業において活用する場合、権利義務の整理、いってみればユーザーとの取引条件(権利処理)の整理をきちんとやっておかないと後々大きな事業リスクとなる可能性があるのがイタイ感じです。

なんにせよ、論旨展開するに当って下敷きに使ったらしいネタの処理がいいかげんなのがどーもいただけないですし組み立てもいまいちスムーズといえないです。一番イタイのはもちろん、なにを主張しても儲かる絵に纏め上げられていない点であります。