vagabond の 徒然なるままに in ネリヤカナヤ

エメラルドグリーンの海,溢れる太陽の光,緑の森に包まれた奄美大島から,乾いた心を瘉す写真をお届けします。

カルロ・ドルチと松方コレクション

2004-10-11 02:32:25 | 美術
 TakさんのHPで,カルロ・ドルチという画家の「悲しみの聖母」という作品があると知って,マティス展に引き続いて,西洋美術館の常設展にはじめて行った。「悲しみの聖母」は,Takさんご紹介のとおり素晴らしい作品。ビロード様の濃い青のベールを被り,深く澄んだ悲しげな表情を見せている。神秘的ですらある。今まで,なぜこの作品と出会わなかったのだろう,なぜこの画家の存在を知らなかったのだろうと思った。と同時に,Blogを通じて,こういった作品を知ることができて幸せにも思った。
 同時に,常設展の全容とその設立の経緯を知り,またまた感動してしまった。常設展は,行かれた方はご存知のとおり,ヴァザーリ,ヴェロネーゼ,ティントレットといった17世紀以前のイタリアの画家から,ブリューゲル,ルーベンス,それから,マネ,モネ(10点以上!),クールベ,それからそれから,ピカソ,ルオー,ミロまで網羅している。要するに,それぞれの画家の最良の一品が展示されているかどうかはともかくとして,常設展さえ見れば,美術史が一通り把握できるという優れたラインナップになっているのである。
 そして,これを構成する大半があの松方財閥の関係者 松方幸次郎のコレクション(いわゆる松方コレクション)である(昔,教科書で習った気がするがすっかり忘却の彼方であった。)。松方は,「日本の若者に本物の西洋美術を見せたい」との一心で,破格の大金を投じて欧州で美術品を収集したという。その後,経済恐慌による松方の本業(川崎造船)の不振,第二次世界大戦の勃発等で,収集した美術品が日本に来るのは戦後になるわけだが,この心意気は見上げたものだ。あの時代だからできたというのは簡単だろう。しかし,今の日本に,これだけの心意気を持った実業家が果たしてどれぐらい居るのだろうか。後進の育成を真剣に考え,そして実行した松方の行動に心から敬意を払う。
 松方コレクションと出会えたこと,それは,今日の大きな喜びであった。まだまだ世の中凄いものがありますね。もっと勉強しなくっちゃ!

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2 コメント

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Unknown (Tak)
2004-10-11 14:14:38
こんにちは。

ドルチの「悲しみの聖母」はいつ観ても飽きません。

これ一枚観に行くだけでも西洋美術館に出かける価値あると自分では思っています。



また、ラトゥールが一枚所蔵作品として加わり展示されています。

これはもう、世界的な驚き!!です。



追記:

貴ブログリンクさせていただきました。

今後とも宜しくお願い致します。

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ラ・トゥール展 (vagabond67)
2004-10-11 16:41:43
常設展には,ラ・トゥールの「聖トマス」がありましたね。これも奥深い作品だと思いました。来年3月には,西洋美術館でラ・トゥール展が開かれますね。こちらも楽しみです。
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