何で、こんなに泣けるのか考えてみた。
くどいようだが、後悔はしてない。
何度考えても、あの状況であればこの結果は
いたしかたないとしか思えない。
消防や救急車のサイレンを聞くと、尚更だ。
未だに身がすくむ。
彼の起こしたあれこれのエピソードで私と娘は
完全にトラウマになってしまっている。
あのまま、何も変えずに行ったなら私たちは
一生あの音におびえながら生きていく羽目になった。
私はともかく、娘が不憫でならない。
だったらなぜ…?
と、考えて思い至った。
この半端ない喪失感だ。
このぽっかり空いた穴こそ、彼の私の中の存在跡
なんだと思い至った。
まるまる10年以上、彼のためにとまでは言わないが
自分の思考や行動の基準になったものや、心の内の
娘のことを除いたほんと全てを占めていたものが
すっぽり抜け落ちたのだ。
そりゃ~収まりが悪いわけだ。
私は心の中の再置換をしないといけない。
彼のことでおざなりになっていたものを復活させることで
心の穴を埋めないと。
例えば、自分自身の楽しみとか実家とのつきあいとか。
それなりに長い年月を生きているので、こういう場合
時間が解決することしかできないことを知っている。
独りであれば、遊びに行く飲みに行くなどそれなりの無理も
しようがあるが、私の場合そうもいかない。
それでも、以前に比べたら多少の自由は手に戻ったし。
彼のそれと違って、私の自由には責任はあっても、孤独はない。
だって、娘がいてくれるもの。
彼は私に娘を残してくれた。
だから、私がこんな喪失感に打ちのめされている場合じゃないのだ。
だって、無くしたものは彼の方がデカいのだから。
ここが正念場と思って、時間に身をゆだねてみる。
大丈夫、塞がらない傷はない。
徐々にでも、確実に自分の人生取り戻して見せる。