僕の感性

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羅生門 葛藤

2017-09-12 20:33:17 | 無念なこと
高校の教科書に頻出する、芥川龍之介の名作「羅生門」。
自分は大正6年発行当時の再版本を持っている。




よーく見ると、題簽は芥川の恩師、菅虎雄が揮毫して
くれたものだが、虫が嘗めた跡が見られる。

これも時代が感じられて、また喜ばしからずや。

作中の下人は雇い主に首を言い渡されて
窮地に陥ってしまう。

羅生門の楼閣で死んだ女性の髪の毛を抜いている老婆を発見する。

下人は正義感からその老婆に刃物を突き付け

その行為を非難し理由を質す。

老婆が言うことには、
この死んだ女は生前、蛇を干したものを干し魚と偽って売っていたので、自分には罪はないと正当化する。

その言い訳を聞き、吹っ切れた下人は
その老婆の着物を剥いで逃げるのだった。

貧乏で野垂れんでしまうので強盗を働く下人。

正義感と悪魔の囁きとの葛藤で迷いはするが
背に腹は代えられぬと盗人に墜ちてしまうのだ。

人は絶体絶命のピンチに何を思うのか?

清廉潔白のまま死んでいけるのか。
それとも悪魔に魂を売り渡してしまうのか?

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