僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

風立ちぬ

2013-08-12 23:43:04 | 映画
日曜日に「風立ちぬ」を観た。



天才飛行機設計技師の堀越二郎に堀辰雄のモチーフを付加し、二人の生涯が交じり合った物語と見ていい。

宮崎駿監督は「戦争は嫌いだが飛行機は大好きだ」と言う。

自分は飛行機には関心がないが、文学としての「風立ちぬ」は大好きだ。

特に小説の中で「私」が発するヴァレリーの詩の一節が大好きだった。

“ Le vent se leve,il faut tenter de vivre”風立ちぬ いざ生きめやも!

堀辰雄の婚約者「矢野綾子」は軽井沢の富士見高原病院で25歳の若さで死んでしまう。
堀辰雄自身も彼女と同じ肺結核で48歳でこの世を去る。

小説「風立ちぬ」の中の「私」の婚約者「節子」もやはり「私」の必死の看病も空しく息を引き取ってしまう。

けれどはじめ節子は看病する「私」に引け目を感じ臆病になっていたが、一緒にサナトリウムで過ごすうちに生きたくなり、生きられるだけ生きようと誓い合う。

堀辰雄が節子のモデル矢野綾子と初めて出会ったのは、昭和8年、滞在先の軽井沢でのことだった。やがて二人は恋に落ち、翌9年9月に婚約した。


前置きが長くなったが、映画の中で、二郎と菜穂子が出会うのも軽井沢の高原。
キャンバスを立て、絵を描く菜穂子の周りの風景が、ゆうすげ(カンゾウ)の花...
(たぶんニッコウキスゲ)で覆われ、心地よい風が吹いていた。

二郎の尊敬するカプロー二が夢に現れ、夢を共有するシーンがたくさん見られる。

宮崎駿監督にとってのカプロー二は東映アニメーション(東映動画)の先輩、高畑勲。
宮崎駿の夢には、いつも高畑勲しか出てこないそうである。

風立ちぬのチラシのタイトルの文字は宮崎が書いた。
けれど「生きねば」という強い文字は、スタジオジブリ事業本部長、鈴木敏夫氏が手がけたものである。

何となく味のある文字でもある。


二郎と菜穂子は、小説「風立ちぬ」にも出てくる透明感のある愛を見せてくれる。
エンドロールに松任谷由実の「ひこうき雲」が流れた。

やはり堀越プラス堀は計算通りにはいかない。





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1 コメント

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Unknown (がく)
2016-04-15 15:21:09
私は、ジブリの大ファンで、ジブリの「熱風」という小冊子を
毎月取り寄せています。風立ちぬは、美しい雲の記憶がありますね。
私は飛行機が大好きですが、恩師が特攻隊の関係者なので、桜が嫌いでした。年々、桜が好きになっていく、
自分が不思議です。
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