僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

愛の象徴 月桂樹

2009-06-29 20:51:23 | Weblog
 


ある日のこと、愛の神エロスに会ったアポロンは自分の弓の腕前を自慢し、エロスの事をを揶揄しました。
そのことに怒ったエロスはアポロンに復讐しようと考えます。

 そして、アポロンに恋心を駆り立てる金の鏃の矢を河神の娘のダプネには嫌いになる鉛の鏃の矢をうちはなちました。


金の鏃の矢にうたれたアポロンはたちまちダプネが恋しくて仕方がなくなってしまいます。
アポロンは恋しいダプネを追いかけますが、鉛の鏃の矢でうたれたダプネはアポロンが嫌いで嫌いで仕方ありません。
「まっておくれ」とアポロンが追いかけても、ダプネは捕まってなるものかと必死で逃げます。

いよいよアポロンがダプネに追いつこうとしたとき、ダプネは叫びました。

「お父様、助けてください!」

この娘の叫びを聞いた河神は直ぐに娘を月桂樹の木にかえてしまいます。

アポロンの腕の中で月桂樹に変わってしまったダプネ。
アポロンは嘆き悲しみます。

「お前が私のことをそんなに嫌っていても、私はお前が好きだったよ。私は貴女を妻にすることはできなかったけれど、私の王冠として貴女を被りましょう。私の竪琴と弓で貴女を飾ってあげましょう。」

これ以来、アポロンは月桂樹を自分の聖木としました。そこから月桂樹(ローリエ)の花言葉は「変わらぬ愛」といわれるようになりました。またアポロが恋した少女ダフネ(daphne)はギリシャ語で「月桂樹」という意味になります。

 Kさんに頂いた月桂樹です。シチューに使えるように乾燥してあります。
古代ギリシャでは葉の付いた若枝を編んで、月桂冠とし、勝利と栄光のシンボルとして勝者や大詩人の頭に被せました。またローマ時代から空気を浄化し、疫病の予防になると信じられていて、今でもギリシャの教会では床にローリエの葉をまく習慣があります。

中世のヨーロッパでは、聖バレンタインは愛の守護神とみなされるようになり、2月14日の夜、まくらの下に月桂樹(ローリエ)の小枝を敷いて
「バレンタイン様、夢で恋人に会わせて下さい」と願いながら眠り、恋人同士がお互い夢で会えれば、一年以内に結婚できるという愛を占う日だったそうです。

またイギリスでは、少女たちがバレンタインの前夜、枕の四隅と中央に一枚ずつローリエの葉をピンで刺し、眠る前に「親切なバレンタインよ、優しくしておくれ」と呪文を唱えると、将来の恋人の夢を見ることが出来ると信じられていました。

それとハワイでは、挙式するとき必ず花嫁さんがローリエの冠を被るそうです。

このように、月桂樹(ローリエ)には様々な愛にまつわるエピソードが絶えません。勝利者にも大詩人にもなれない自分ですが、せめて変わらぬ愛だけは抱きつづけていきたいと思います。

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2 コメント

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愛の象徴 月桂樹 (魔女)
2009-06-29 22:32:57
月桂樹には 色んなパワーと愛に纏わる云われがあるのですね。私もいつか 愛する人の隣でローリエの王冠をつけ 愛を誓いたいと思います。
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魔女さんへ (僕の感性)
2009-06-29 22:52:56
エロスの矢は恋をそそる矢だけではないのですね。ダフネはアポロンの執拗で激しい愛に怯え戦いていても、心のどこかでアポロンを受け入れてしまおうという許容と諦念が感じられます。
ローリエを抱き、愛を誓う魔女さんの想い人が少し羨ましい気がします。
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