誰か知らない人が勝手に署名して離婚届を出しそう!どうすればいい?
1. 勝手に離婚届をだされることを防ぐ防止手段として、なにがあるの?
防止手段
防止手段として最も効果的なものとして、離婚届不受理の申立をするという方法があります。この離婚届不受理は、ご夫婦の戸籍の筆頭者の本籍地にある役所の窓口で申立します。離婚不受理の申し立て用紙は、戸籍を担当する窓口に備え付けられています。
そして、離婚届けの不受理を申し立てたい本人自身が役所に出頭して運転免許証などで本人確認をした上で申立が受理されます。
お持ちいただくもとしては、
・本人確認のための証明(運転免許証やパスポート、年金手帳など)
・印鑑(実印でなくても大丈夫です)
・できれば戸籍謄本(婚姻を確認するためのものです)
といったところです。
ただし、代理人の出頭では離婚届不受理の申立を受理していただけません。たとえ本人が作成した委任状を携えた弁護士が代理人として役所に出向いても、役所は代理人による離婚届不受理の申し立てを受理しません。ご注意ください。
離婚届不受理の申し立てが効力をもつ期間
離婚届不受理の申立が役所によって受理されれば、その効力は無期限です。
つまり、いったん受理されれば、申立人が取り下げない限り、離婚届けを受理しない状態が無期限に続きます。
かつては、離婚届不受理が受理された日を起算日として6ヶ月が効力をもつ限度でした。申請後6ヶ月が経過してもなお不受理を希望する場合は、あらためて本人が役所に出頭する必要があったわけですが、現在は法制度の改正により、無期限となっています。
協議離婚したい場合
協議離婚の諸条件について両配偶者間で合意が形成され、協議離婚をする意思で離婚届を提出するときは、この離婚届不受理を取り下げなくてはなりません。
この離婚届不受理の取り下げもまた、本人の出頭が必要となります。離婚届不受理の申し立ての際と同様、たとえ離婚届不受理の申立人が作成した委任状を持参したとしても、代理人による取り下げは認められません。
2.勝手に署名を記入した離婚届をだされてしまった!どうすればいい?
本人の同意に基づいた委任も追認もなく勝手に署名された離婚届は偽造の文書です。このような偽造の離婚届によって生じた離婚という状態から元の夫婦の状態に戻す手段としては、現行法制度上、離婚無効確認の訴えを提起して勝訴判決を得た上で戸籍の訂正を行うほか方法がないようです。
無効判決が下れば、その判決謄本を本籍地のある役所に持参して訂正を求めます。役所は確定判決に基づき職権で戸籍から離婚の記載を抹消により訂正します。この時点で夫婦関係が元通りに復活することになります。
なお、この離婚無効確認の訴えでは、本人しかなしえない署名に本人以外の第三者が署名した離婚届の効力をめぐって争うわけですから、多くの場合訴訟の場に筆跡鑑定書が顕出するのが大半なのではないでしょうか。
なお、訴訟については、弁護士などにご相談することをお奨めします。
弊事務所は訴訟代理権が認められえない行政書士事務所ですのでこのようなご要望にはお答えできません。あしからずご了承ください。
3.勝手に離婚届に署名するのは犯罪でしょ?どんな罪になるの?
役所に提出する目的で離婚届を偽造するのは有印私文書偽造罪です。作成した時点でこの犯罪が既遂になります。たとえ偽造した離婚届を書斎に隠し持っていただけであっても犯罪が成立する点に留意していただきたいところです。
そのうえで、その偽造離婚届を実際に役所に提出するのは偽造有印私文書行使罪が成立します。
同時に、戸籍に虚偽の記録をさせるのは電磁的公正証書原本不実記録罪になります。
ちなみに「偽造」というのは,作成権限のない者が,本人の同意なく書類に署名して書類を作成する行為をいいます。署名が権限のある者によってなされ、記載内容に虚偽ある場合のことは「変造」といいます。刑法は基本的に偽造だけを処罰対象としており、記載内容に虚偽ある場合は民事による債務不履行責任に基づく賠償責任にとどめ、刑法罰の対象外としています。
そうしますと,配偶者から同意を得て署名押印を代行(代筆)する行為、または同意なく作成する行為をしたのち権限を持つ者による追認があれば、「作成権限のない者」による署名にはなりませんので、この場合は、偽造行為にあてはまりません。
さて、お話しを離婚届の偽造に戻します。
既述のとおり、偽造は犯罪ですから,警察に逮捕され,起訴されれば刑事罰を受けることになります。
起訴されれば、日本の司法ではほぼ間違いなく有罪判決がくだります。前科のない場合には執行猶予が付くことが多いとは思われますが,懲役刑が宣告されるのがほとんどだとおもいます。
4.勝手に離婚届を出されて深く傷ついた!慰謝料を請求したいけど、請求は認められるの?
このケースにおける慰謝料とは、勝手に偽造離婚届をだされ、気がつかないうちに配偶者の身分を失ったことによって受けた精神的苦痛を慰謝するための金銭賠償。
精神的苦痛という、目に見えない損害に対する賠償ですので、具体的にいくら請求できるかはケースバイケースです。賠償金額を決める際に斟酌される事情として、婚姻期間や夫婦関係が破綻していたか、養育が必要となる未成年の子がいるかどうかなどの事情が挙げられると思います。
参考になる判例として、原告の200万円の慰謝料請求に対して、100万円の慰謝料の支払を認めた例がありますのでご参考になさってください。
「被告が離婚届を偽造して届け出たことにより、原告は、その後家事調停申立、刑事告訴、本訴の提起等をやむなくされ、勤務先も離婚の3か月後に退職している。原告は、帰宅してみると、家財道具が運び出され置き手紙が残されていた自宅の状況に突然直面しており、その受けた精神的苦痛は大きい。かかる原告の精神的苦痛を慰謝するためには、100万円をもってするのが相当である。」と判示しています(東京地裁平成17年5月26日)。
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