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在日米軍人の夫と夫婦関係がトラブルになったときの対応

2024年07月15日 20時27分43秒 | 離婚

日本に駐留する米軍基地勤務のアメリカ人軍人と日本人との離婚手続きについてアメリカ基地への実地訪問とリーガルオフィスなどの相談を経て離婚手続きを調査しました。

国際離婚も含め米軍人との離婚や夫婦関係で悩むミリタリー妻の方に有益な情報となれば幸いです。

 

☆ご依頼内容

夫はアメリカ国籍の軍人で現在在日米軍基地に駐留する男性であり、現在の妻との間に未成年の実子がいる。

いま現在判明しているだけで2名の女性と不貞行為を行っており、妻は子を連れて別居後離婚したい。

 

☆今回ご依頼を受けた米軍基地勤務の夫と離婚し夫婦関係を解消するためにこれからなしとげたいこと

 

1.別居後離婚成立までの期間の婚姻費用を支払ってもらう約束を取り付ける。

 

2.日本での離婚を成立させ、養育費を支払う約束を取り付ける。

 

3.不貞行為によって生じた慰謝料を払ってもらう。

 

 

☆なしとげたいこと(1.~3.の内容)を実現する手段

 

1.「別居後離婚成立までの期間の婚姻費用を支払ってもらう約束を取り付ける」について

 

1.1.米軍基地のリーガルサービス部門において当事者の合意書の作成

 

原則として当事者双方がリーガルオフィス部門に出頭して当事者双方の合意形成後に合意書の作成となる。

 

合意内容として以下の条項を記載する。

 

・別居のための移転費用

これはアメリカ軍に負担させることができる。ただし、別居を望む妻が米軍に移転費用を申請する時点より前に発生した移転費用を請求はできない。

 

・別居後の婚姻費用の支払い

アメリカ軍があらかじめ規定する計算表をもとに婚姻費用額を算出する。計算表は軍が用意しているがこの計算表に記載している金額は軍人である夫の納税地の州で用いられる金額である。

 

この合意書の作成は米軍基地リーガルサービス部門で軍所属の担当者(弁護士?)の立ち会いのもと、あらかじめ用意されているフォームにチェックをいれたうえで署名する。

この合意書が作成されたのち、軍内部で合意書が回付され、夫が所属する軍のコマンダーもユニット経由で合意の事実と合意内容を把握する。

 

1.2.支払いを強要する強制力の付与について

米軍基地のリーガルオフィスの担当弁護士によると、

 

・支払いが滞ってなければ、基本的には軍から支給される給与を差し押さえたり、または、軍から妻へ直接婚姻費用相当額を支払うことはない

・支払いが遅滞したときは、軍が妻へ直接婚姻費用相当額を支払う差し押さえは可能

・夫が合意すれば、軍から妻へ婚姻費用相当額を直接支払うよう事実上の差し押さえもできる

 

これで妻の婚姻費用を受け取る権利が担保される。

 

1.3.妻の米軍基地に立ち入りする権利やリーガルオフィスその他のサービスを受ける権利の期間

軍は、そこに所属する軍人とその家族に対してサービスを提供するのであるから、離婚が成立するまで(すなわち米国軍人の家族である期間)軍のサービスを受ける権利を有するが、離婚後は不可能となる。

 

 

2.日本での離婚成立

2.1.離婚を進めるにあたっての軍の関与の有無

 

日本国民法下の離婚であるから、基本的に軍は関与しない。

そこで、日本国の弁護士に依頼したうえで日本の家庭裁判所での離婚手続きを進めることになる。

離婚裁判では以下の争点を争うのが一般的とされています。

 

・養育費の金額と支払い期間

この養育費は軍の養育費算定表の金額が日本のそれを大きく上回るので、日本の離婚裁判でもこの軍の養育費算定額を得るようにするのがポイントである。

 

・親権の所属

未成年の子の親権を誰が持つかを決める。将来の子の進路や人生などを視野にいれて長期的な視点で決定する。

 

・面会交流権

面接交流の頻度、方法、場所、費用の負担者、1回あたりの面会交流の時間数や日数、子の意思を尊重し面会交流に子の気持ちを反映するか、など

 

・財産分与

婚姻期間中に得た財産は夫婦共有財産であるから、この夫婦共有財産の分割に関する協議を行う。預金財産は2分割可能であるが、土地家屋等の不動産や投資した株式、自動車や絵画、ペットなど分割できない財産に関する取り決めも協議する。

 

・慰謝料

夫婦のどちらかが行った不貞行為(一般的にいう浮気とは異なる)、暴力(DV)など不法行為によって生じた損害賠償の額や支払い方法など。

 

・別居期間中の婚姻費用の分担と請求

別居中にかかる費用の取り決め。普段からの生活費と、賃貸借物件に転居した場合のお家賃など。

 

2.2.離婚の取り決めの効力の担保

 

この離婚手続きの中で留意しなければならないのが、

 

・(元)夫が軍を退役しアメリカに帰国した後であっても養育費の支払いを強要できるようにあらかじめ手を打つ

 

という点である。

したがって日本での離婚が成立したことをアメリカの裁判所に説得させる必要がある。

 

この説得する手段としては、

 

・調停の成立によって作成される調停調書に米国法でも効果を持つとの調停条項を記載する

・裁判離婚によって得られる離婚判決文

 

となる。

なお離婚の効力が疑問視されるため、協議離婚はさけるべきである。

 

3.不貞行為によって生じた慰謝料の支払いの合意と支払いを担保する手段

3.1.不貞行為によって生じた慰謝料を請求するにあたっての軍の関与

不貞行為及び夫への慰謝料請求は日本の弁護士を通じて請求することになり軍は当然関与しない。

 

3.2.日本の司法機関を通じての解決と請求

日本人同士の夫婦の不貞行為による慰謝料請求と同じと考えてよい。

すなわち、夫もしくはまたはおよび不貞の相手方に対して共同不法行為(民法§722)に基づく損害賠償を請求する。

その請求を行う道筋(作戦)については弁護士によっても意見が異なるため、依頼人である請求者(妻)が納得のいく方法を提案した弁護士に依頼することになる。

 

私見として、

 

・弁護士(または行政書士)から請求の相手方(不貞行為を行った者)に対して内容証明を送り慰謝料の弁済を催告する。

・内容証明による催告によっても弁済しない(内容証明を無視する)ときは、慰謝料を支払うよう裁判所に民事訴訟を提起する。

・裁判で勝訴が確定したのちに債務者(慰謝料を支払う義務を負う者)に対して強制執行を行う。

 

という流れになることが多い印象です。

 

在日米軍基地に勤務するアメリカ人との離婚や親権、夫婦関係のご相談は次のメールアドレスかお電話番号でお願いします。

 

行政書士うすい法務事務所

電話:090ー6560-7099

メール:usuitks1967@gmail.com

初回相談無料

弊事務所は在日米軍基地のUSOに勤務した経験のあるイタリア国籍の女性パートナーがおり、英語と日本語の通訳翻訳も手配が可能です。

 

なお弊事務所は行政書士事務所であり、弁護士法72条に抵触しない範囲でのご相談や受任、調査となります。

紛争性が認められる事案については有資格者である弁護士へご相談ください。

また、基地や担当者によって制度の説明が異なるケースもあります。実際に別居や離婚、認知などを行いたい場合には逐一基地のリーガルオフィスなどに問い合わせることが必要となります。

 

 

 

 

 

 

 

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請負代金や制作報酬の支払いが怪しくなってきたときの法的手段

2024年07月11日 12時33分27秒 | 企業法務

この記事では、口約束で工事や作品制作などの依頼を受け、仕事は完了したが、依頼人様または注文様が言葉を濁すなどして支払いが滞っている場合の対処の方法について記述します。

ポイントとしては、

 

・工事や制作などの依頼と作業は問題なく終了している

 

・口頭やメールでの依頼であって見積書や契約書などは取り交わしていない

 

・依頼人様や注文主様は連絡がとれるし明確に支払いを拒んでいないものの、支払いについては言葉を濁すなど不安を感じている状況である

 

といったケースです。

 

 

1.代金未回収で依頼人様や注文主様と信頼関係に亀裂が入りかけ支払いが滞っている時のアクションにはどのようなものがあるか?

依頼人様や注文主様から受注してお仕事が完了し、納品や工事完成をしたあと、代金や報酬を請求しても払ってくれない。

 

このような時は依頼人様や注文主様の同意を得て当事者で公正証書の作成をお勧めします。

 

 

2.なぜ公正証書作成を作成を推奨するのか?

 

強制執行認諾文の公正証書は確定した勝訴判決と同様の法的効力があるためです。裁判をしなくても支払いを拒む依頼人様や注文主様に強制執行を行い報酬や代金を回収できます。

 

依頼人様や注文主様と支払いをめぐって紛争になる前であれば、当事者の合意を得て公正証書の作成も望めます。同意や協力がなければ公正証書の作成も難しく、報酬などを依頼人様や注文主様から支払いを受けるには弁護士に依頼して訴訟を提起し勝訴判決を得るしかありません。そして勝訴判決に基づいて差押を行ってやっと初めて報酬の支払いを受けることになります。この手間を省くのが強制執行認諾文付きの公正証書です。この強制執行認諾文付きの公正証書は確定した勝訴判決と同様の法的効力があります。

 

この公正証書の策ををお勧めする理由を述べます。

 

依頼人様や注文主様が支払いを渋るといった態度を取ることは、詐欺にも通じる悪質なケースもありますが、実は支払う意思はあるがその報酬支払いが難しいときのケースのほうが多いです。

 

このような、依頼人様や注文主様が悪質な人物ではなく、もし手持ちにお金があればすぐに支払いたいけれど、現金がなくて支払いたくても支払えない。申しわけないと思っている。そんなケースで相手に対して支払いを強く請求すると、依頼人様や注文主様が態度を硬直して今う恐れがあります。そして支払いたくても支払えないが、お金が入ればすぐに払うといった支払いへの誠実な態度を翻して支払いたくない気分にもなります。

 

この流れはあまり良くないです。

 

また、さらに事態が悪化した場合には訴訟にも発展しますが、この訴訟の場では双方が手持ちの証拠資料を提出して判決を求めるのが一般的です。しかし、工事代金の請求などでは、そもそも発注者との間で契約資料を取り交わしていないことも多いでしょう。また、材料費といった経費の算出も経験則で行い合理的な経費も出しにくい事態も散見されます。さらに依頼人様や発注者が破産するなど最悪のケースになったら代金や報酬の回収も見込めないことになるのがほとんどです。

 

そうすると裁判での回収は請求額どおりの金額の回収は難しい状態にもなりかねません。弁護士費用もかさみますし、時間もかかります。

 

そこで、双方の信頼関係が壊れ不信感がつのり感情も悪化する前に公正証書(強制執行認諾文付)を作成しておけば、支払いの不安も軽減し時間とお金の節約が可能となります。

 

  • 公正証書を作成するタイミングはいつが良いか?

 

公正証書を作成するタイミングは、依頼人様や注文主様の支払いがあやしくなってきた段階での作成をお勧めします。

 

公正証書(強制執行認諾文付き)は裁判で確定判決を得た場合と同様の強制力をもっています。なので一般的には支払いができないのが明らかになったときに作成するという印象がある方も多いかもしれません。

 

しかし、公正証書は、裁判判決と異なり、支払う人と支払いを受ける人の双方の合意が必要であるので、支払いができないことが明白になった段階では任意での公正証書作成に支払いを義務づける証書の作成に応じるのは難しいのではないでしょう。

 

一方で支払いが不能と陥る前の段階であれば、依頼人様や注文主様の同意も期待できます。そのタイミングを逃すと、当事者が興奮する事態に陥り払う意思も消えてしまうことも多いのではないでしょうか。

 

  • 公正証書手順は?

 

まず契約内容を明らかにする書類を作成します。メモ書きでも電子メールでのやり取りでもよいですが、書面にて記録に残すことをお勧めします。

 

この書類には、

 

・当事者の氏名と住所

依頼人様や注文主様、支払いを請求する方の氏名と住所など個人情報を記載します。公正証書作成に備えて正確な氏名や住所の記載が望ましいですが、とりあえずこの段階であれば正確な氏名や住所でなくても良いです。ただし公証役場での作成依頼の時点で正確な氏名や会社名、住所は必要となります。運転免許証の写しなどは収集しておきましょう。また、可能であれば相手方が持っている金融機関の口座情報(金融機関名、支店名、普通か当座か、口座番号と口座名義など)も押さえられるうちに把握しておくことをお勧めします。

 

・請求金額

具体的な金額を記載します。

 

・支払い方法

請求金額を一括で支払うのか、分割か、支払い期日をいつに設定するか。支払いが遅れた場合のペナルティをどうするかなどを記載します。遅延利息もこのカテゴリーに入ります。

 

・契約内容

受注年月日、納入など完成した年月日、依頼内容の概略、支払いを請求した経緯と支払いの締め切り年月日、一部弁済があったか、などです。例えば建設業の工事であれば、発注年月日と工事期間、無事工事が終わったのかそれとも工事に瑕疵がありその瑕疵について疑義が生じているのか、などです。

 

・強制執行認諾文を付与するかどうか

この強制執行認諾文の有無によって公正証書の法的拘束力が大きく違ってきます。

 

このような書面を作成して当事者が合意したら、公証役場に連絡して公正証書の作成を依頼します。

 

この作成依頼のときに、この紙面を公証役場の担当者に見てもらいます。そのうえで公証人の先生からいくつかの質問などがでることが大半ですが、この質問に誠実に回答して、公証人の先生に公正証書の文面を作成していただきます。

なお、この段階で当事者の身分証明書(マイナンバーカードや運転免許証、パスポート、印鑑証明書など)を公証役場に提示するなどして記載内容を正確にします。

 

公証人の先生による公正証書の文面が完成しましたら、当事者か、または当事者一方の代理人が交渉役場に出頭して公正証書を作成します。公証人の先生と当事者又は代理人の都合が良い日時を設定します。

 

公正証書作成の当日は、本人確認の書類(マイナンバーカードや運転免許証、印鑑証明など)と実印、印鑑証明書を持参して公証人の先生の面前で公正証書作成の手続きを行います。

 

 

5.依頼人様や注文主様が公正証書作成に協力しないときに残された手段は?

 

請求する金額や支払い期限などを記載した内容証明を送る手段があります。

 

内容証明には、

 

・請求金額

金額を明示します。将来訴訟になった場合に備えて妥当な金額を記載します。根拠のない金額を加算して不当な請求額を記載するのは信用を失い紛争を激化させます。

 

・支払いの期日

年月日を明示します。内容証明を出してから7日~10日ほどの猶予が一般的なようですが、法的には相当期間の猶予があれば問題ないとされています。

 

・支払い方法

手渡しか振込か、など。振り込みの場合には振込先に金融機関口座の情報も記載します。分割での支払いであれば支払いの開始期日と支払い終了期日、分割金額を記載します。例えば令和〇年〇月から令和△年△月まで毎月末営業日に金〇〇円を指定した金融機関の口座に振り込む、といった記載です。金融機関への振込手数料も記載するとよいです。

 

・支払わない場合の措置

一般的には訴訟を提起するとの記載が多いです。訴訟の場合には弁護士に依頼することをお勧めします。

 

ご相談は、

 

行政書士うすい法務事務所

行政書士 磨井 崇(うすい たかし)

電話:090-6560-7099

メール:usuitks1967@gmail.com

初回相談無料

 

 

 

 

 

 

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