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養育費用について

2013年12月16日 10時20分08秒 | Weblog

未成年の子どものいる夫婦の離婚の場合、養育費についての取り決め
が協議の中で出てくるケースが多いかと思います。

養育費とは子どもが社会人として自立するまでに必要な費用の総称です。
衣食住の経費、教育費用(塾などの費用も含みます)、医療費、娯楽費
お小遣い、交通費、その他を含みます。
これらを見れば分かるとおり

養育費は本来子ども自身に請求権があるのです。この点で財産分与や
慰謝料と大きく法的性質が異なります。

従いまして親権者が養育費の請求を放棄しても子ども自身が扶養義務の
ある親に対して養育費を請求する権利があります。

まずその養育費の請求の始点と終点について説明します。
請求の始点については争いのあるところではありますが、扶養義務が
生じた時点を始点としる考えが主流のようです(判例もこの考えに
たつようです)。ですので離婚を前提とした別居をした場合でも
婚姻費用分担に養育費を含めて請求できることになります。
ただ実務では離婚が成立した月から支払いを始めるというのが多い印象
です。自分が作成してきた公正証書も離婚届が受理された月の末日
を第1回の支払い期日とするケースがほとんどです。

終点については、本来の養育費の趣旨である社会人として自立する費用
という点を踏まえ教育機関を卒業する年齢までにすることが多いです。
この点でかつては高校卒業年齢である18歳が終点の多数でしたが、
現在は20歳までがもっとも多くついで大卒年齢である22歳までとなっています。

私が作成した公正証書ではこの学歴に相応した養育費の支払い終点の時期に
柔軟に対応するため未成年の子どもが一定の年齢になった時点で再度養育費
の協議の場を持つという条項をつけることもあります。特に養育費はそれを
受け取る子どもにとって別れて暮らす親との精神的つながりを感じるとても
大切な約束事ですから親の勝手な都合で支払いを取り決めるべきではありません。

そのような大切な約束事であっても実際に養育費を受けとっているのは
養育費を受ける権利を持つ親権者全体の2,30%にとどまります。


養育費の取り決めをしない主な理由としては、
・自分ひとりで育てたい
・離婚後はきっぱりと縁を切りたい
・相手が逃げていなくなった
・相手にお金がない
・養育費を受け取る権利があることを知らなかった
などがあげられます。

このような事情も考慮するべきとは言え、養育費の持つ性質を踏まえますと
離婚する際にしっかりと話し合い、口約束ではなく養育費に関する離婚協議書
や公正証書の作成を強く推奨するところです。

離婚協議において養育費について協議するといっても参照するものがなければ
協議は平行線になりかねません。
その場合は、裁判所裁判官が作成した養育費算定費用を参照にするのがよいでしょう。
養育費算定表はこちらで公開されています。
http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/

ついで支払いの受け取り方です。
養育費の支払いは月ごとの定期支払いが原則です。
この養育費の支払いであれば、養育費を支払う親と子どもとの精神的絆も強まります
し子どもが終点を迎える前に死亡した場合の清算も不要になります。また当事者の
離婚後の状況の変化に柔軟に対応できますので、私としても月ぎめの支払いをお勧め
します。
もっとも月ぎめの定期支払いが原則といっても、親権者が浪費する恐れがあるとして
その養育費の使い道に不安を感じたりする場合もあります。この場合など他に事情
があれば離婚時に一括払いも検討に値するでしょう。

このように養育費が子どものための権利であるというわけですが、離婚時に取り決めた
内容を変更することも可能です。
増額の理由として、
・物価の急激な上昇
・医療費など予想外の出費の発生
・養育している親の収入の減少
・進学による学費の増加

逆に減額の理由として
・親権者の再婚による扶養者の出現
・子どものアルバイトなどによる収入増


などがあります。私の経験ですと、私立の学校を選択する場合や海外留学などの
場合に再度養育費の協議の場をもつとする内容の公正証書を作成するケースが
あります。実際の協議の場では再婚後の家庭の状況、扶養義務者の社会的地位
経済的余力などが総合的に考え、子どもの福利の点から変更することになります。

 

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