おかえりなさい。

さっき帰ってきたとき、携帯がブルッブルッって振動してたね。

おかえりなさいって言ってくれたね。

だから。

ちょっぴり大きな声で、誰もいない部屋の中で、ただいまっていったよ。

肉体を卒業した魂が、いっしょにいてくれたね。

だから、玄関を開けて部屋にはいってすぐに、おかえりって言ってくれたんだよね。

うれしかった。


魂が肉体を卒業する前に教えてくれた最後のことが、ご先祖様へのお供え物のおき方だったよね。

しずかな、夕暮れ時に、しずかに教えてくれたね。

いまでも覚えてるよ。

すごく覚えてるよ。

大事なご先祖様。

大切なご先祖様。

いま、そのご先祖様にご挨拶してるかな。

お父さん、お母さんにはもう会ってるかな。

どんな挨拶してるんだろう。

おとうさん、おかあさんに甘えてるのかな。

抱きついてるかな。

もしかしたら、おんぶにだっこしてもらってるかな。

できなかったぶんを、いま、いっぱいいっぱい甘えてるかな。

にこにこして、だっこ、おんぶっておねだりしてるかな。

ぼくは、いつまでも、ここにいるよ。

また、会いにきてね。

待ってるよ。

ずっと、待ってるよ。

大好きです。