乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

東京大学総合研究博物館『命の認識展』

2010-03-26 | 美術・文様・展示物



  

    東京大学総合研究博物館『命の認識展』

  

    

  

 オリエント博物館のあと、東京大学総合研究博物館『常設展』と『命の認識展』を楽しむ。

 特別展示室『命の認識展』の部屋に入ってまず驚いたのは、死産胎児象。

「死の誕生」と呼ばれるそれはホルマリン漬けされ、空を浮かぶようにも見える。

 魂は無かろうはずだが、こんな姿で皆の前に姿を現さざるを得ないそれ(象)は、恨ましささえ感じる。

 だが学術研究のためとあらば、致し方ないとそれ(象)は諦める。

 東大という場所柄か、不思議なことに
『弱者への愛にはいつも殺意が込められている』
という、ここでは頓珍漢で当てはまらない安部公房先生の言葉を思い浮かべ、ほくそ笑む。

 下の写真(いただいた冊子の表紙)がその象だ。

    

 脳や眼球を除いたキリン。

 見事な形で皮膚がはがされていた。

 

 部屋を入ってすぐ右には二つのショーケース。

 ケースの上にはラオスのセキショクヤケイという赤褐色に色鮮やかな鶏の剥製。

 律儀にも一羽ずつ縦に並べてあった。

 セキショクヤケイはたてた剥製ではなく横たわった魚のように一直線に鉑制されていたので、まるで赤い立体カレイが並べてあるようにも見える。

 三輪神社の新饌にタイとキジというのがあったのことが頭をかすめる。

 吊るすのでもなく横たえた鳥は、井波律子先生のおっしゃるグロテスクリアリズムはこういったものも含まれるかな と勝手な解釈をして、一人感心していた。

 まぁ、阿呆な素人の考えることである。失礼があればお許しいただきたい。

 

 わたしがこの部屋を訪れた時、わたし以外にも二人のおばちゃんがいらっしゃった。

 先生か学術員の方かボランティアの方かはわからないが、このお二人に丹念に剥製のことを説明されていた。

 丁度その場を通りかかると冷凍庫を開けておられる。

 冷凍庫からかちんかちんに凍った鳥やネズミなどを取り出してみせて下さる。

 凍らせてから剥製にするのだとおっしゃっていた。

 肉等が処理しやすいからか寄生虫の関係かの説明は無かった。

 ここを見る二日前に目黒の寄生虫博物館にも寄っていたので、処理と寄生虫のことを考えてのことだと一人納得していたが、合っているかどうかは定かではない。

 

 わたしはこんなことを書いているが、剥製やホルマリン漬けの胎児や冷凍されたネズミが平気な訳ではない。

 ここがもし研究公開の博物館でなければ、わたしは苦手だったかもしれない。

  

 骨見学者は大学生が多かった。

 ミンククジラの骨をみて 重力云々の影響で左右バランスが崩れているといった会話で盛り上がっている男女学生。ウサギの骨には、
「ウサギさんですよね。」
「...ですよね。」
とかわいげに ‘さん’付けされているアンバランスさは、わたしには心地が良い。

 説明書をみながら湛然に個々の骨を確かめる男子学生。

 他にも多くの熱心な学生さんがおられた。

 わたしは下敷きに入った説明をみながら、抽象的な感覚で 美しい骨に感心していた。

 そう、何も知らないので、骨の美しさを堪能するだけの頼りない中年だった。

   

 大きな変形円状台に乗せられたおびただしい数の骨は美しく感じた。

 わたしは骨愛好者ではない。

 だが、骨は神秘的だ。

『命の認識展』では、骨が美しいと感じる。

 動物のひとつひとつの骨のパーツをゆっくりと見ると、いろいろな形に見えてくるから不思議。

 そういうと人間の喉仏は手を合わせたホトケ様に見えるという、あれである。

 骨のパーツは熊に見えたり動物に見えたり。部分であるはずなのに個々に生命を兼ね備えているように感じて面白い。
 
 加えて、骨はアイボリーだが(笑)実際に数多い骨を眺めていると色彩豊かであった。

『命の認識展』は「骨の不思議」「骨の神秘」でもあった。

 東京大学総合研究博物館の『命の認識展』をみて良かったと感じた瞬間であった。




                    2010年3月19日

  

   

  



  



  
            
                      



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東京大学総合研究博物館 常設展示『キュラトリアル・グラフィティ~学術標本の表現』展

2010-03-26 | 美術・文様・展示物





        東京大学総合研究博物館 

          常設展示『キュラトリアル・グラフィティ~学術標本の表現』展




                 【 頭蓋骨 清心様かと 頬染める 】







 オリエント博物館のあと、東京大学総合研究博物館 常設展示『キュラトリアル・グラフィティ~学術標本の表現』展を楽しむ。

 東京大学総合研究博物館は入ってすぐに館内撮影禁止とある。

 心に残っている展示物をカタログから少し載せさせていただいた。

1

 1は東京大学総合研究博物館の入り口から中をドアガラス越しにのぞいたようす。

 入り口外から撮影させていただいた。



 入ってすぐ正面に頭蓋骨。

 歯がギザギザに刷ってのこぎるのようになっている。

 ヤスリのようなもので削り磨いたのだろうか?

 抜いた歯も認められる。

 多分男性の高貴な方の頭。

 ギザギザの歯や抜歯は 呪術的なものなのか?

 いずれにせよ、興味深い。



 時間が限られ思うようにメモもとれず有耶無耶なのが心惜しい。

 ああ、利口になりたい。

2

 入り口付近のポスター。

 東大ポスターはおしゃれ。

3

 こちらはカタログ。

 以下数枚の小さな写真(4~7)は3から拡大して載せさせていただいた。

4

 常設展示入って二つ目の部屋にはこういった箱が多かった。

 年のはなれた兄弟が鉱物化石採集に使っていたのを思い出す。

 一見無秩序に見えるが、素晴らしくうまく整理されていた。

5

 ガラスケースに年代順に多くの頭蓋骨が並べられていた。

 しばらくみていくと興味深い頭二つを発見。

 頭蓋骨には赤くぬられていた。

 説明を読むと、生前から顔を赤くぬっていたという。

 これもまた、呪術的要素か?



 生前方赤くぬられていたという赤い頭蓋骨。

 亡くなられてからも骨に赤をぬったというのか?

 以前水銀朱で赤く石棺や遺体をぬったものをみたことがある。

 この赤も水銀朱なのだろうか?

 こちらも呪術的要素の継続か?

 或は、腐敗防止保存のためか?

 あまりにも不思議なので、唯一 メモにとっておいた。



 いずれにせよこういった赤い頭蓋骨は考古学者の方と民俗学学者とでは見解の相違も生じることもあるのかもしれない。
 
 何も知らないわたしにはわからない。



 かなり多い頭蓋骨が丹念に説明され展示されている。

 頭蓋骨の最後は『江戸人』の頭蓋骨。

『東京に来て江戸人が遺骨で〆か...。』
といった筒ものアホさ加減。

 

 江戸時代の頭蓋骨は顔が細長くなっていた。

 いわゆる醤油顔。好きな安部公房氏とはまた違ったタイプの、美男子系二枚目だ。

 わたしは『十六夜清心』演じる片岡仁左衛門丈の清心様を思い浮かべていた。



            【 頭蓋骨 みて清心様と 頬染める 】

6

 陸平貝塚出土の土器品。

 文様が楽しい。

 この土器の立体を想像し、書物に載っていたそれを思い出す。

7

 7は古代生物のミニ展示。

 古代生物のミニ展示のまわりには学術論文が多くおかれていた。

 イランなどの研究書も三冊ほどあった。

8

 8はパンフレットの裏面。

9

 9は東京大学総合研究博物館。

 東京大学総合研究博物館では先生或は学芸員の方が始終親切。

 丁寧に説明して下さり、楽しい時間を過ごすことが出来た。

 先生或は学芸員の方への感謝の念は深い。

 ありがとうございましたともう一度この場を借りてお伝いしたい。

       

              ありがとうございました。感謝申し上げます。

10

 東大の東京大学総合研究博物館近くの門。

11

 じゃじゃん。

 東大赤門。

 この門は外せない。




 東大赤門を見て喜んでいるなんてーーー夫、子どもには言えやしない。


      あたしゃ!ミーハーだ^^




                         2010年3月19日

 


 
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芝能 第三十二回 金春流能 「葵上」 金春欣三

2010-03-26 | 能楽・狂言





         芝能 第三十二回 金春流能 「葵上」 金春欣三



                         奈良県県庁前 3月22日(祝日、月)
















 午後2時半始 第32回芝能

   場所 奈良市登大路町30 奈良県庁エントランス広場

    金春流能 「葵上」 金春欣三

    大藏流狂言 「土筆(つくづくし)」 茂山千三郎

    金春流仕舞 「笹の段 」 金春穂高




 3月22日。

 奈良に帰ってきていた息子と『エッシャー展』を観る。

 時間を合わせて奈良県県庁前に向かうと、丁度解説が始まるところ。

     金春流仕舞 「笹の段」 金春穂高

     大藏流狂言 「土筆(つくづくし)」 茂山千三郎

     金春流能 「葵上」 金春欣三

 上の順で演じられた。



 わたしは何を隠そう『葵上』が初めて。かねてから聴いてみたかったので、嬉しさはひとしお。



 今回の芝能は魅力的だった。

 舞台造りが真近で能を大きく見ることができる。

 芝能は以前系敬したときは遠すぎたのと新聞関係者の大声の無駄話で敬遠していた。

 今回も覚悟していたが、以前とはようすが違っていい感じに楽しめた。



 能楽師の方の直声はスピーカーの大音量でかき消され、聞こえなかった。

 元々能楽を全く知らないわたしには、こういった音量では言葉がかえって聞き取りづらいのが難点。

 帰ってからいただいたパンフレットと観世流百番集と『源氏物語』をぱらぱらめくって遊んでいた。

  

 芝の上を摺り足するのは容易なことではないらしい。

 動きが普通の舞台とは少し異なっていた。

 この日は前日から晴れていて、芝の状態は悪くはなかっただろうと感じる。



 芝能の場合は能装束のタイプ(?)が舞台とは少し異なっていたと言う気もしないでもない。

 また衣裳を気持ち程度短めに着られていたような気が下画、写真では普通か....。

 実際のとことはよくわからないが、いろいろと工夫されているのだなと感じた。



 金春欣三氏の『葵上』は美しく、また、迫力があった。

 もう一度能舞台で味わってみたい。金春欣三氏のお声を楽しみたい。

 その気持ちはふくれあがった今回の芝能だった。



 わたしは子どもの頃(小学生・中学生)から能装束と面が好きで、博物館や城などで(破れた)能装束を見かけるとわくわくしていた。

 歌舞伎でも俊寛の立派なタイプの衣裳などにあこがれを感じる。



 歌舞伎でも能楽でも人によって好きな場所というのがあるようだ。

 わたしも歌舞伎では演目によって好きな席が違う。例えば『本朝廿四孝』なら二階画好きといった具合。

 能でも小芝居でも好きな場所が二三あり、そこにいると落ち着く。

 当然息子とわたしは好きな場所が異なり、本番中は別れて楽しんでいた。



 今回も能楽の前にワークショップが一時間あったようだ。2000円で椅子席が用意されていた。

 わたしは立ち見だったので、無料。申し訳ない感じがした。






 とりとめも無い記録をお読み下さいまして、ありがとうございました。

 心より感謝申し上げます。

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54;『西遊記 上』  岩波少年少女文庫 547  呉承恩  伊藤貴麿訳 著

2010-03-25 | 読書全般(古典など以外の一般書)



記録だけ  


  2010年度 54冊目  



      岩波少年少女文庫 547 『西遊記 上』 

 

 呉 承恩  著

 伊藤 貴麿 訳

 吉岡 堅二  イラスト



 345ページ 756円

 1995年2月20日 第1版 





 本棚の岩波少年少女文庫 547 『西遊記 上』が目についたので、読んでみる。

 西遊記は岩波少年少女文庫では二度目。



 先日家人に私の好きな中野美代子さん訳の岩波文庫の西遊記全10巻を頼んでおいた。

 昨日お土産に持ってかえってきてくれる。

 とりあえず3冊の文庫本は小野忍さん訳の西遊記だった。



 岩波少年少女文庫 547 『西遊記 上』は上中下の三冊。

 このシリーズはドリトル先生など面白いものが多い。



 西遊記は昨日から読んでいたが、知っている話だけにのめり込み感が大きい。



 ずいぶん昔に京都会館で京劇『西遊記』をみたことがある。

 京劇の場面や以前読んだ何タイプかの西遊記やテレビドラマを思い出す。



 それにしてもよくこんな面白い話が作れたものだ。

 原作は驚くばかりの長さだと言う。

 悲しいことに、わたしは中国語も知らない。



 さてこの家人が持ち帰った小野忍さん訳の岩波文庫『西遊記』で読むか、中野美代子さん訳の岩波文庫『西遊記』で読むか、先岩波少年少女文庫で読むか、迷っている。

 幸せな悩みだ。
 

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はなや花花

2010-03-25 | ことのは


 あの悲の夜や 大風突風

 心や風やと 吹き荒れる

 さくら芝能 春日束の間


 心知る由 雨雨雨

 三日三晩 あめや雨雨

 春雨冷たく 心に触る

 
 あの子眠るや 眠るやにゃんこ

 名をば呼んでも 姿なし

 寝床に捧ぐ はなや花花





                    2010年3月25日

                    今日で三日目 冷たい雨は... わたしの心は一週間
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写真で遊んでみました。【東京都文京区本郷3丁目あたり・・・かな?】

2010-03-25 | 乱鳥徒然 Rancho's room.


 写真で遊んでみました。

 多分、東京都文京区本郷3丁目あたり・・・かな?


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53; 世界の美術館 16 『ウフィッツィ美術館』講談社版 世界の美術館 1967年

2010-03-24 | 読書全般(古典など以外の一般書)







記録だけ

   2010年度 53冊目





            世界の美術館 16 『ウフィッツィ美術館』




 講談社版 世界の美術館 1~24巻     16

 1967年7月25日 発行

 2400円



 素晴らしく美しい。

 三度四度と絵をみたり説明を読んだり。

 実際に美術館でみたものもある。

 白黒印刷だが、ティツィアーノの『マグダラのマリア』も。(嬉)

 重厚な絵面の絵画にうっとり。

 昨日読了した『絵画の見かた』にはウフィッツィ美術館のこともそこにある絵画作品のことも書かれていた。





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映画35; 『恍惚の人』有吉佐和子原作 豊田四郎監督 森繁久彌 高峰秀子 田村高廣

2010-03-24 | 映画



     2010年映画35本目;『恍惚の人』





 ★★★★★ ★★★★★



 1973年 白黒


 有吉佐和子原作

 豊田四郎監督



キャスト

 森繁久彌

 高峰秀子

 田村高廣

 乙羽信子

 篠ヒロコ

 伊藤高

 市川泉

 中村伸郎

 杉葉子       他




 テレビで『恍惚の人』を観る。

 感動、そして 涙。



 森繁久彌さんに感動した。高峰秀子さんも素晴らしかった。



 終わり近くなっての雨の場面。

 行方不明にあった老人を見つけ嫁が駆け寄る。

「おじいちゃん。おじいちゃん。おじいちゃん。おじいちゃん。おじいちゃん。・・・。」

「おかぁさん。おかあさん。」

 ここで琴線に触れ、涙あふれる。



 義父がなくなる。

 実娘が、
「それにしてもこの家くさいわねぇ。」
 すると一緒に暮らしていた孫が
「臭いからいいんだよ。おじいちゃんがいるみたいでさぁ。」

 嫁はふらりと立ち上がって義母がかわいがっていた小鳥に話しかけ、なく。
「もしもぉし。もしもううし。」



 今も森繁久彌さんと高峰秀子さんの声色の余韻は残る・・・。

 感動の秀作のひとつ。





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フーゼスターン州 アフワーズのサカナ屋さん (7枚)

2010-03-24 | イラン2007~2010(6回)



      フーゼスターン州 アフワーズのサカナ屋さん  (イラン)



















 写真はフーゼスターン州 アフワーズのサカナ屋さんです。

 フーゼスターン州のアフワーズはペルシャ湾に近いので、こういった魚屋さんの集まる通り(道)があります。

 わたしが実際にこういった魚やさんの集まるところをみかけたのはアフワーズ(2009年12月)とカスピ海(2008年9月)だけです。



 上二枚は店舗を構えられています。

 下四枚は車やリヤカーで魚を売られています。

 店舗の前の道路に車やリヤカーのお店が広げられても、店舗の魚屋さんは気にしてないように感じます。




 イランの魚は日本でみかけないようなものもあります。

 お腹出し、鱗取りのあと、ぶつ切りにして黒い袋に入れてお客に手渡します。




 イランでは魚は煮込みやキャバブや油揚げ料理が有名です。

 キャバブや油揚げ料理の場合はキャバブの香辛料(茶色で酸っぱい)をかけたり檸檬バターをかけると美味です。

 わたしは塩辛いのは苦手なので。キャバブなどの場合は塩を控えてもらう場合もあります。



 リヤカーで行商されている魚やさんの中には 大きな立派な魚を扱っておられる方と、雑魚問いっていいようないろいろな種類の多くの小さな魚をみ秩序に袋に売っておられる方にわれています。

 魚によって値段は違いますが、いずれも野菜やケーキ屋や香辛料と同様、計り売りです。

 


 最後までお読み下さいましてありがとうございました。

 感謝申し上げます。



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52; 『絵画の見かた』 ケネス・クラーク著 高階秀爾訳 白水Uブックス

2010-03-24 | 読書全般(古典など以外の一般書)







 2010年度 52冊目





            『絵画の見かた』

                  




 ケネス・クラーク 著

 高階秀爾 訳

 白水社

 白水Uブックス 1066

 2003年12月10日 発行

 246ページ+α 998円






 ケネス・クラークは有名な美術史家、評論家。

『ザ・ヌード』という書物が有名だと言うことはしっているが難しそうで手を出してなかった。

 おそらく『ザ・ヌード』にはルーベンスなどが記されていることだろう。




 今回読んだ『絵画の見かた』は日本語で読んでいるのに、何度も挫折しそうになった。

 結構難しく、一週間以上はかかったと思う。



 
 絵の見方は人によって違うといった記述(要約)から始まり、この本は深く丁寧に展開する。

 本書印刷の白黒の絵を見ながら、或は今まで美術館でみた作品を思い浮かべながら絵の見方を丁寧に訓練するといった感覚と、自分以外の絵画の見方の面白さをしるといった点で非常に優れている。



 ルネサンス美術

    『キリストの埋葬』ティツィアーノ

 バロック美術

    『アトリエの画家』ヤン・フェルメール

    『自画像』レンブラント

 ロマン派

    『十字軍のコンスタンティノープル入場』ドラクロワ

 印象派
  
    『アニエールの水浴』スーラ

などもさることながら、

 エル・グレコ

 ゴヤ

 ターナー

 コンスタブル

 レオナルド・ダビンチ

 クルーベ

 ボッティチェッリ

などの記述部分は素晴らしく繊細だ。




 著者の生まれはイギリス。19世紀イギリスの社交界はフランスに比べて、芸術の地位は感覚的に低い。

 男前ドラクロアが絵を描いているのはもったいないといったイギリス感覚は愉快だ。

 音楽にせよ絵画にせよ当時のこういった世のご夫人方の感覚は楽しいものだ。

 社交界での芸術の位置づけが見え隠れする。




 この本を読み終え、余韻に浸る。

 新書程度の重量の軽い本書には、情報と楽しさが満杯につまっている。

 読み終えたあとパラパタとページをめくると、絵の楽しさと厳しさがこちらに押し寄せる。

 白黒の文字と印刷された絵画は色鮮やかに蘇るようだ。

 ケネス・クラーク著の『絵画の見かた』は絵画の見方の名作のひとつである。





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51; 『JTBポケットガイド132 中国 』

2010-03-24 | 読書全般(古典など以外の一般書)






 2010年度 51册目



        『JTBポケットガイド132 中国 』 


 

 JTB

 るるぶ社

 JTBポケットガイド 132

 317ページ 1280円




 この本は複数回読んでいる。

 今回も気に入ったところだけ、二度読む。

 結構わかりやすく、いい感じ。




 ところで、この本の記録に違う記録を貼付けてしまっていたことに気づく。

 馬鹿だな^^

 いろいろ考えて、このまま残しておくことにした。

 はりつけ部分は下↓

 まぁ、ドジなわたし^^;;










 神部隆志 著



 誰もが題名くらいは知っている映画だろうとと思われる『死国』の著者、坂東眞砂子さんのエッセー。

 坂東眞砂子さんは昭和33年生まれ、高知出身の方。

 大学は奈良女で、京都と奈良の違いについても書かれていた。



 京都『JTBポケットガイド132 中国 』 が入信すると、いろいろなありがたい説教を聞くことが出来る。


 ナンのこっちゃ?↑



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JR和歌山線の志都美駅で桜を楽しむ。 花5枚(全7枚)

2010-03-23 | お出かけ


















 ちょっとしたアクシデントでJR和歌山線の志都美駅で二十分ほど楽しみました。

 素朴な駅には、少しですが桜や花が咲いていました。

 もう春ですね^^




                        2010年3月22日 志都美駅

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古代オリエント博物館  イラン高原の文化

2010-03-23 | 美術・文様・展示物



       古代オリエント博物館  イラン高原の文化






 上の写真のパネル下段の牛形リュトンはイランでよくみかける形。

 牛の耳部分に穴があり、イランでも耳飾り(金の輪)がついたものととれてしまったものがある。

 東京の古代考古学博物館のものは耳飾りの穴はあったが、耳飾りがなくなっていた。



 上の牛形リュトンは、いちばん上の変形。

 耳飾りの穴は無い。



 顔形リュトン。

 これは大きくて展示数の多いイラン(テヘラン)の考古学博物館でも見ることが出来なかったタイプ。

 こういった素晴らしいものの多くがイラン国外に持ち出されたのだなぁとしみじみと感じた。

 最近はこういったもののイラン国外持ち出しは禁止されている。



 上は鈴。古代オリエント博物館にはこのようなイランの鈴が二つあった。

 こういった鈴も7度くらいは訪れたイラン(テヘラン)の考古学博物館でもみたことが無い。



 何ともはやユニークな牛の顔。

 眼は呪術的な意味合いもあるのだろうか・・・。

 耳に穴はあいている。ひとつは耳飾り用か・・・。

 わたしにはわからない。



 青銅の置物。

 動物のものも多いが、こういったものもかわいいな。








 上二枚は これは東西文化交流の部屋にあったイランのガラスカット椀。

 古代オリエント博物館には無かったが、イランのガラスでは涙の小瓶も美しくて好き。





 イランの考古学博物館にも無いようなお宝が、日本の古代オリエント博物館にあったよ。

 そう考えると、いろいろと感慨深いものがあった。



『イラン高原の文化』に展示されたものはコインを除いてほとんどの展示物の写真を撮らせていただいた。

 写真をみているとわくわくドキドキするほど美しいものがある。

 好きな展示物の全ての写真を公開できないのが残念。



 古代オリエント博物館には素晴らしい展示物が多かった。

 次回は一日(或はせめて半日)かけてゆっくりと見て回りたい。






             
             古代オリエント博物館


                  〒170-8630
                 東京都豊島区東池袋3-1-4
                 文化会館7階
                  TEL:03-3989-3491
  
                           2010年3月9日

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古代オリエント博物館 東西文化の交流 カットグラス椀など【銀化して美しい】

2010-03-23 | 美術・文様・展示物



       古代オリエント博物館 東西文化の交流 カットグラス椀など 二点










 まぁ、なんて美しいのでしょう。

 上は古代オリエント博物館の東西文化の交流の部屋に展示されていたカットグラス椀など 二点です。

 ガラスが年月を経て銀化しています。

 実物を見るともっと美しいのですが、写真ではそれがお伝えできないのが残念です。



 二枚目のタイプは教科書に載っていますね。

 実際正倉院展でも見ることが出来る場合があります。

 あとは奈良のシルクロード交流館と東京国立博物館の常設展で見ることができます。

 わたしはまだ行っていませんが、岡山でも見られるのでしょうか?まだ行ってないのでわかりません。



 このブログで度々紹介させていただいていますイラン(テヘラン)の考古学博物館やアーブギーネ博物館(ガラス陶磁器博物館)でも見ることができます。

 余談ですがわたしはアーブギーネ博物館(ガラス陶磁器博物館 テヘラン)に展示されているガラスと陶磁器がとても好きです。



 不思議なことにイランに展示されているカットグラス椀よりも日本のものの方が保存状態がきわめて良いです。

 東京の古代オリエント博物館や奈良のシルクロード交流館に行かれる機会がありましたら、是非銀化した歴史のあるカットグラス椀を見てみて下さい。

 もしかすればみなさんも時間のたったガラスの美しさに魅せられるかもしれません。





                              2010年3月9日見る
 

 

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古代オリエント博物館 古代エジプトから二点

2010-03-22 | 美術・文様・展示物




     古代オリエント博物館 古代エジプトから二点




 エジプト 聖トキ像



 エジプト 木製石棺蓋



 
 古代オリエント博物館常設展ではシリア発掘、最古のオリエント、古代メソポタミア、古代エジプトの文化、イラン高原の文化、東西文化の交流を楽しんだ。

 古代エジプトの文化ではイランなどの博物館でみたような展示物もあった。

 エジプトの絵に度々出てくる聖トキ像の立体像は美しかった。

 また木製の石棺の人物顔のrelief。これには漆のような腐敗処理や人物像を不明にするための黒塗りなどは無い。素朴で荒削りで美しいと感じた。
 


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