スワルツ・サリス・オットリー。
オットリー侯爵の祖父を持ち、次期後継者である父とその長子である兄に、「お前は侯爵家の一員としての覇気が足りない」と、常日頃から責めたてられながらも、一切口答えせず、道も踏み外さず、心優しく育った21歳の好青年である。
…と、自分では思っているがしかし「好青年」は果たして相手に好印象をもたらす特徴になり得るであろうか、というのが最近の不安材料だ。
特に今日は。
今日だけは好印象を爆上げで臨みたい会見である。
レネーゼ侯爵家の来客室で一人、会見の相手の到着を待ちながら深呼吸を一つ。
それに驚いたわけもないだろうが、窓の外で鳥が飛び立つ気配がした。
そちらに目をやり、所在なげなソファーから立ち上がったサリスは窓辺へ歩み寄って、そこからの景色に想いを寄せる。
明るく手入れの行き届いた庭は偶然にも、あの日、レネーゼの後継者によって夜会の開かれた場所だった。
前回の月見の夜会。
レネーゼ侯爵家の正統後継者ミカヅキが、サリスらの若い世代に向けて自身を公開した庭。
それまで頑なに人との交流を拒み、孤高の存在として貴族界にあった彼の内面を、その場にいたどれほどの人間が理解し得ただろうか。
(恐らくは誰も)
誰もが戸惑い、遠巻きに様子を伺う中で、サリスの目に映った人物像はそれまでの印象よりもなお一層、寂寥感に包まれていた。
(知り得ない)
その寂しさは時間が経つにすれ、度々、サリスの胸を締め付けるようになり。
(だから)
こうして、今、レネーゼ侯爵家のこの場所へとサリスを引き寄せた。
サリスがこの場で待つのは、レネーゼの正統後継者ミカヅキその人であり、彼の了承の一言である。
(その一言を頂くまで、この場を離れない)
不動の意志で相対するのは、大いなる権力の奔流。どれほど乱されようとも決して引いてはならない。
その為になら、「好青年」などと言う曖昧な印象はかなぐりすてろ。
スワルツ・サリス・オットリー、生まれて初めての奮戦に挑む。
◾️ ◾️ ◾️
侯爵家月見の夜会。
諸侯らが集い、権力の渦巻く宴が華々しく開かれているその一角で、次期当主が若い世代を集めての会を催すことは誰もが黙認していた。
事前にその情報を細部まで収集しておきながら、我々の知り得ぬところ、と嘯く。
そんな状況下にあって、その会を準備万端に整えておくように、と次期当主本人から事前に指示されたのはサリス一人。
そこに至るまでの過程は、単純な偶然の仕合わせでしかないと理解している。
特にサリスの何かが彼に選ばれたわけではなく、他に誰かが居合わせれば恐らくはその誰かがこの役目を負わされていた事くらいは、簡単に想像できる。
貧乏くじを引いたな、という思いを抱えながらも指示された通りに下準備を済ませたサリスは、約束の時間まで間があるのでその辺りをふらついていた。
いつものように遊び仲間と一緒にいるのが気詰まりだった、というのもある。
侯爵家の次期当主、ミカヅキは若い世代の誰とも交流しない事で知られた人物だ。あからさまに爪弾きにされているわけではないが、彼が輪に入るだけで場が不興になるのは、サリスたちより下の世代では誰もが知る所である。
そんなミカヅキと交流を持つべく奔走している(と言うか正確には奔走させられている、のだが)サリスの評価は、仲間内だけでなく周囲にもダダ下がりである。
余計なことをしてくれる、と言う暗黙の冷ややかさに耐えられなくて場を離れたのだが。
宴の庭で、当のミカヅキに出くわしてしまった。
(俺、この夜会ではこの人になんか妙な縁があるな)
と運命を呪ってはいても顔には出さない。
「やー、やあ!もう皆集めて、準備万端だよ」
昨夜からミカヅキ本人が望んだように、なるべく対等に、ざっくばらんに、気安く、親しげに、なるように声をかけてみたが。
ちらりとサリスを見てミカヅキは言った。
「ずいぶん早いだろ」
その態度からは、待ちきれずに早々に会にやってきた、というわけではなさそうだ。
もっと言えば、今朝のミカヅキに感じた、…根回しを頼むと持ちかけてきた時のような、少しはサリスに打ち解けてくれたと思える様子さえもない。
それはもう、余計なことをしてくれる、という仲間内の冷ややかさよりもさらに温度が低く、「そうしろって言ったの貴方ですよね?!」と言いたくなる素っ気なさだ。
「ああ、そうだな、ずいぶん、かな」
とサリスが言葉を探っていると、周囲に目をやったミカヅキが今度はちゃんと向き合うように立つ。
「先に上の方々に挨拶を済ませてくる」
「挨拶?」
「明日まで滞在の方に終宴までの心尽くしとこの度の御礼の挨拶な」
そんな事までやってるのか、この人!と、サリスは驚く。
いや、確かにミカヅキの立場でいえば正統後継者であるのだから、自分たちの父世代と同様の役目をこなしているだけの事なのだが。
サリスより5つは下のミカヅキがそれをやっているというのが衝撃的すぎた。
「ああ、じゃあ俺も行きますよ!」
「はあ?お前が?なぜ?」
「え?なぜって、ほら、…この宴、ミカヅキ殿が若い者たちを集めてるのは上の方々もすでに知ってますからね。唐突になんだ、何があった?って変な勘ぐりを持たれる前に、あ、いや別に勘ぐられてるわけじゃないですよ?!そうじゃないんですけど、なんかそういうの、まず、俺が一緒に行動している方が、なんだ和気藹々騒ぐ仲間ができたんだな、って見方もしてもらえると思うんですよね」
サリスの長々とした説得に口を挟む事なく、大人しく最後まで聞いていたミカヅキが、そうか?と小さく呟くように聞いてくるのに、そうですよ!と畳み掛ける。
それに、そうか、と答えるのは、サリスの提案を受け入れた様子。
この時はサリスにさえも、なぜここまで強引にミカヅキについて行こうとしていたのか、考えることもできなかったが。
ミカヅキの上の方々への挨拶回りに同行して、サリスは自分の行動を理解できた。
それは、貴族社会で叩き込まれた生存本能そのもの。
ミカヅキを一人にしてはならないという、無意識の行動だった。
まだ少年の域を出ていない、未成年であるミカヅキは上の世代に非常に受けがいいのは良くわかった。
年寄りの長話にも丁寧に対応し、大仰な説教や小言にも鬱陶しがる素ぶりをわずかも見せず、謙虚に慎ましい礼を返す。ミカヅキの内心を伺うことはできないがそれでも、自分や仲間たちの態度を思い返せば、ここまで徹底した礼節で上の方々と接することはできないな、と、サリスは感心を通り越して恐れさえも感じていたのだが。
何件めかの挨拶の時に、和やかに談笑を続けながらもミカヅキが二杯目のグラスを勧められているのを見て、思わず身を乗り出していた。
「ハノンヴェール様、その杯は私が頂戴します」
ミカヅキの手に渡されるはずのグラスを横から押し戴く。その場の全員が、突然割り込んできたサリスの存在に驚いたように、わずかな間があった。…ミカヅキも、同様に。
だがサリスはそれらが場を固める前に、ハノンヴェールの統治を称え繁栄を祝う言葉を述べて、その杯を飲み干して見せた。
正直、口当たりよりもはるかに強い酒だ。
成人していないミカヅキには、早すぎる。
驚いたようなミカヅキの瞳は、すぐにサリスを案じるような影を落としていた。それに笑みを返す。
何も心配する事はない、と笑みだけで返しておいてすぐにハノンヴェールの席に向き直った。
「ああ、これはハノンヴェール様が御気に入られるだけはある、特別な逸品ですね」
この宴のためにレネーゼ公爵家が用意したものではなく、彼が自ら持ち込んだものだろう、という意味合い。そういえば、ハノンヴェールがわずかに身を乗り出した。解るか、と言った彼の興味は、ミカヅキではなく初めてサリスに注がれる。
「それはもう。この宴で口にしたどの銘柄よりも明快な口当たりで、なるほど美酒とはこういうことかと」
適当に調子を合わせればハノンヴェールも、取り巻きも、面白そうにサリスの話を引き出そうとする。
サリスはほどほどに相槌を打ちながら、興が削がれないギリギリのところでグラスを返し、ミカヅキを庇う。
「けれどミカヅキ様がこの美酒の違いをわかるには、いま少し、早いですね」
今後の牽制も込めて。
引き際を見極めて。
「ミカヅキ様はようやく宴を楽しむことを覚えたところです。ハノンヴェール様のお相手になるまでは、今少し。まずは若輩者の私たちの座にお招きしたいと思っている次第で」
この後、若者たちが集う意味合いをも抜かりなく披露しておく。
それは貴族社会全体が願ってもないことだ。自ら孤立するミカヅキを、どうあってでも手中に取り込め、というのはどの諸侯の子息たちにも下された厳命だったのだから。
「おいおい大事な正統後継者に悪い遊びを教えてくれるなよ」
と、ハノンヴェールが口にした酒の席での揶揄も鷹揚さを気取っていながら、その芯にあるものは決して公にはできないミカヅキの処遇。
それを明言する。
「もちろん、ご心配なく」
決して悪いようには致しません、とその場を離れる時にはもう、サリスにも分かっていた。
貴族社会で数多の子息が、主人を守れと教育を受ける。それは逃れられない宿命のようなもの。望むと望まざるとにかかわらず、サリスの中にもその血が流れている。
供も付けず宴の輪の中に挑みゆくミカヅキを、このまま一人行かせてはならない、と無意識にこみ上げた衝動も、今なら解る。
「お前、大丈夫なのか」
あれからさらに二件の挨拶をこなし、ハノンヴェールの席と同じようにミカヅキに代わってグラスを重ねた。
宴の中心から離れ、人の輪から遠ざかって、その事を持ち出したミカヅキに、サリスは平然と頷いた。
「ええ、俺、酒は割と強いんですよ」
煌びやかな灯りを背に、ミカヅキと連れ立って人気のない庭園の端まで歩を進めて、ここらでいいか、とサリスはミカヅキを誘うように立ち止まった。
「座りますか?」
と、バラ園のベンチを指せば、いいや、とミカヅキが返す。
館からの宴の灯りだけを頼りに、ここまでミカヅキを連れ出したのは、何よりもミカヅキの身を案じたからである。
「ミカヅキ様こそ、だいぶ酔いが回ってるでしょう」
少し冷ました方がいい、と言えば、ようやくミカヅキはベンチに腰を下ろした。
随分と気を這っているのだと思う。まるでそうとは気取らせない、完璧な振る舞いの美しさではあるが、それも宴の光から離れればわずかに気を緩めることができるのではないかと思ってのことだった。
他人の目があれば決してわずかの弱音も吐くことのない幼い後継者、その姿を今回初めて直近に見て、こみ上げたのは庇護欲。
「ミカヅキ様…、貴方いつもああやって杯を受けてるんですか?」
「そうだが」
「断らずに?」
「断れないだろ」
うわ、マジか。と思う。
そう、ミカヅキは今まで側近を持たなかった。今の形だけとはいえ自分が初めての供だ。夜会で見るミカヅキはいつも格上で遠い存在だと思っていたから気づかなかったが、会の度に、お目通りがあるたびに進められるままに杯を重ねていたのか。
「早死にしますよ」
思わず本音が漏れたサリスに、ミカヅキが顔を上げる。
「俺だってお前にグラスを取られたときは生きた心地がしなかったぞ」
ああ、そうか。と思う。あの時、ミカヅキが驚いていたのを思い出す。上の方の不興を買う、それに対応できるかどうかとっさに身構えていたのか。
「…あれくらい、夜会では当たり前にありますよ」
「えっ、そうか?」
「そうですって。ミカヅキ様は側近も連れずに席に出るから知らないんですよ。そんな一諸侯に会うたびにガンガン酒飲まされてるなんて、向こうだって思ってませんよ!思ってないからいい加減に勧めてくるんです、適当に断って適当に受けてりゃいーんですよ、ああいうのは!」
そうして。
自然に、ミカヅキの側に膝を折っていた。
「断るときは俺が受けますから」
そのためにいるんですよ、と言えば、ミカヅキは黙って視線をそらせた。
そうだ。従者はその為にいる。貴方を守る為に、要るのだ。
ミカヅキが他人を受け入れることが出来ない弱さを抱えていようとも、拒めるものではない。
この先に進むのなら、なおのこと。
庭に灯る儚い灯篭の光に、その頼りない姿を見る。初めてミカヅキを、頼りのないただ一人の少年なのだと知った。
「…もっと俺を頼ってくれて良いですから」
思わずそう口にしていたことに、サリス自身が驚いた。
誰かの従者になるだろうこと。それ以外の道はないと、なぜか盲目的に思い込まされていたことも、小さく、ウン、という声が聞こえてたまらなくなる。
(俺は、生涯、この人を主と頂く)
その確信。
「さあ、この後の挨拶は俺にすべて任せてください。供を連れた夜会でのふるまいは俺の方が詳しいですよ」
◾️ ◾️ ◾️
その後、ミカヅキの望むままに挨拶回りを済ませた。
気分が高揚していささか調子に乗りすぎたか、挨拶に予想していた時間を大幅に超えてしまったが、ミカヅキは許してくれた。
「今日は普通に眠れそうだ」
そう言ったミカヅキの横顔は、特にサリスに打ち解けているわけでも、心を委ねてくれているわけでもなかったが、それでも良かった。
自分は役に立てた。
そして、従者を連れることは役に立つ、とミカヅキが認識してくれたことが重要だ。
後は、その従者に誰が選ばれるか、と言う事だけ。
(そのためにも、この夜会は正念場だぞ)
そう、サリスは一人覚悟して、若者たちだけを集めた夜会に挑んだ。
この際自分が選ばれなくても良い。従者としてでなくても良い、この夜会で誰かがミカヅキの気に入られれば、これまで一切の交流がなかったミカヅキの周囲が変わる。
周囲が変われば、ミカヅキもより従者を求めやすくなるだろう。
決して悪い様にはいたしません、と上の方々に大見得を切った様に、それは上手く行くものだと軽く考えていたサリスだが。
その夜、期待していた結果は得られなかった。
「みんなが思ってるほど付き合いにくい人じゃないんだって」
と数人をけしかけても、すぐに会話は途切れ輪が崩れてしまう。
ミカヅキは誰のどんな言葉も真正面から受け止める(それこそ年寄りの愚痴にさえも汚れない笑顔で対応できるほどだから問題ない)が、ミカヅキに対する人間の方に耐性がない。
話しかけては会話に詰まり無理だと分かればあっさり遠巻きにする、それが人を変え、なんども繰り返されるのを見ていて、サリスは問題はミカヅキの方にだけあるのではない、と気づいてしまった。
(俺たちは、気に入った人間としか付き合って来なかった)
仲のいい集団として、学生時代から今まで連んできた仲間たちは気のおけない奴らだが、その実、今が楽しければ良いと言うお気楽さが蔓延している。
煩わしいことを嫌い、上からの強制に不満を抱き、支配から逃げる様に楽な事ばかりを選んできた様に思う。
だからミカヅキとうまくいかない。
気が合わない人間と、いかにうまくやっていくか。
(それに向き合う覚悟が足りていない)
今日の挨拶回りでのミカヅキを見たからこそ言える。
自分たちにあれは無理だ。
まだ現実から目を背けていられる立場だから。
嫌でも向き合うしかないミカヅキとの絶対的差がそこにある。
(だからって)
その差を埋めようとすればするほど、サリスは空回りを演じてしまうのだ。
(どうすれば)
貴族社会における自分の展望を周知徹底しておいてくれ、と事前にミカヅキに言われた通り、この場に集まる人間には話した。
それだけで今までの溝が埋まるはずもなく、交流を持とうとする意思を見せる者とミカヅキとの間に立って互いの意思疎通がうまく行く様に頑張って場を盛り上げようとすればするほど、仲間との温度差が開いていく。
それを気にかけてくれたのはミカヅキただ一人。
「お前、別に俺といなくても良いんだぞ。変に仲間から浮いてるだろ、あっちいけ鬱陶しい」
口は悪いが、その意図は解る。
下準備をしろとは言ったが、会まで付き合わなくても良い、というそれ。
サリスの仲間内での立場まで、分かってくれている。今サリスがミカヅキと懇意にする事で、サリスが周囲から反発を受けることまで案じてくれているのだ。
それは、今までに従者を持たなかったミカヅキの弱みでしかない事ではあっても。
この人は分かってくれているじゃないか、という思い。それは仲間に対する恨みではない。
自分を含めての失意だ。
(俺たちは甘かった)
貴族社会で生き抜くために、ミカヅキはありとあらゆるものを総てかっさらっていく。
後に残された自分たちはどうなるか、それを誰も分かっていなかった。
いや、分かっていた者たちは先に手を打っていたのだろう。ミカヅキにかっさらわれる前に、自分たちの立ち位置を確保する。家の跡を継ぐために、あるいは主を頂くために、国に仕えるために、もっと言えば貴族社会から決別し自力で生き残るために。
(このまま取り残されて良いのか)
それを思い知らされた夜会だった。
夜の庭で、示されたただ一つの道。
それをいくら説いても、仲間には解ってもらえない日々の焦燥にサリスは覚悟を決めたのだ。
どこまでも一人、後継者という道を一人行くしかない彼の、最初の供になる。
選ばれなくても良い、などという甘えた考えは捨てた。
選ばせるのだ、自分を。
父親世代と肩を並べるために先へ先へと突き進むしかないミカヅキを引き止める。引き止めることができるのは、今は自分しかいない。
そして今が楽しければ良いという仲間たちもいずれ気づくだろう。
進むことも戻ることも、今まで自分たちが逃げていたことに向き合わなければ果たせない時がくる。
そうなった時に、ミカヅキとの橋渡しができる様に、今はミカヅキの側に身を置く。
(そう言われたのが俺だっただけだ)
あの日。
この庭で。
レネーゼ侯爵家の次期当主に、下準備をしておいてくれ、と言い渡されたこと。
あれはきっとこの為だった。
夜会で動き出した運命は、今大きく未来を見据えるための道につながっている。
ミカヅキがレネーゼ侯爵と呼ばれる日のために、今、下準備を始める。
彼を孤独のままにはさせない。
それがサリスの役目。
貴族の子息に生まれたその時から言い渡されてきた事。
主に仕え、主を守り、主のために生きよ。
そこから背けていた目を、現実に戻す。
あの夜の庭は、まぶたの裏。
木漏れ日が音を立てる風にきらめいて、その眩しさにサリスは窓の外から室内へと向きを変える。
重厚な扉がノックされ、待ち人が到着したことを告げる侍女の声。
衣服を整え、深呼吸をひとつ。
扉を開けて会見の間へと案内されるサリスの視線の先に。
主となる人がいる。
プー太郎が就職する覚悟を決める話だわ