思い出じゃなくて、思い出話です。大正一桁生まれで80歳を超えてなお膝関節を人工関節に置き換えるほど元気で、現在も元気に生きている家のおばあちゃんの話です。
食料買い出し等をなんだか妙なテンションの不安でフワフワした気持ちで動いた後、ひと息ついていたらね、大地震直後だというのに妙にニコニコして不思議と落ち着いているおばあちゃんがうれしそうに言うのよ。
「(地震後に)○○○苑(デイケア施設)迎えにきたのは、おまえ達が1番早かったよ、ありがとうね」
「施設の人にほめられたよ」
ってね。
世間一般的な祖母や曾祖母ってどんな感じか知らないんだけど、俺の知る限り100歳前後のおばあちゃんやひいおばあちゃんってさ、うっすら涙を浮かべながらお金にまつわる苦労話か人間関係の愚痴しか言わない感じだったんだよね。
それが今回は珍しくそんなことを言うんでさ、久しぶりにたっぷり話につきあってあげたのよ。最初は地震直後に「窓を開けろって言ったよ」等の震災話だったんだけどさ、いつの間にかメインのお話は数十年に渡って幾度となく聞かされた大昔の愚痴や文句に変わっちゃってたよ。
絶対に惚けては無いはずなんだけどね。
今までで一番揺れたって言っていたんだけど、心配じゃないのかね?100年近く生きていると人間より仙人なんかに近いのかな?まったく動揺している感じが無いんだよね。
何となくさ、俺もつられて落ち着いて行動できた感じがするよ。
朝起きるたびにさ、今回の震災が現実か夢か一瞬の間考えるくらい混乱してるんだけどさ、遠くからでもできることを落ち着いて考えて、がんばろうね。
つづく