今から10数年前、研修医として大学病院に勤めていたとき、生活費を稼ぐために開業医でバイトをした。
土曜日と平日は夜6時からで、帰りは10時を過ぎることもあった。
時給は1500円、大学からの給料(月に1万円)とあわせても学生時代よりお金はなかった。
仕事内容は床掃除、器具の洗浄、石膏注ぎ、インレーとクラウンのセット、簡単な抜歯、診療の介助などだった。
実家が歯医者では無かったので、すべてが新鮮で開業医の仕事とはこういうものかと思った。
今の治療の基礎となっているのは、ここの院長のやり方であり、歯科医師が最初に勤めるところは重要であるとよく言われるが、本当にそう思う。
実際に自分の目で見た事は記憶に残り、その後なにか迷ったときにはそのときの体験を基準に考える事が出来る様になった。
良いものはそのままだし、未だに超えられないところもあり、自分の経験を元に改良していったものもある。
つづく