こころの声に耳をすませて

あの結婚生活は何だったのだろう?不可解な夫の言動はモラル・ハラスメントだった…と知ったウメの回想エッセー。

夫の怒りスイッチ

2005-09-20 21:19:23 | モラル・ハラスメント
 人はどんなときに怒りを感じるのだろう。侮辱されたとき、無視されたとき、非難されたとき、理不尽な扱いを受けたとき、攻撃をしかけられたとき、不当な扱いを受けたとき、等々。『怒りの感情』は、明らかに他者から自分に向けて、何らかの不愉快な言動があったときに表現されるのではないかと、私は思う。だから、話しながら段々怒りの予兆というものを感じ取れるのではないか。
 そして怒りを表現するとき、自分と相手の関係を考え、相手の立場や気持ちを考えて、その状況に合わせて、どの程度の表現方法にするかを考えるのではないか。あるときは冷静に伝えようとする、あるときは感情的になりながらも表現の仕方に注意する等。

 しかし夫は違った。私からしたら、何の変哲もないごく普通の会話で突然激怒した。怒りの予兆を感じ取ることができない場面で必ず起こった。そしてその怒りはあまりに残酷だった。だからその分、いつどうなるかわからない恐怖が、常に私の中につきまとうようになった。夫が笑っていても、突如スイッチが入った瞬間にはどうなるかわからない…。

その1 新婚旅行のある日。
 私と夫は地図を見ながら歩いていた。私が「この道を右に曲がればいいんじゃないの?」とごく普通のトーンで話しかけたら、夫は突然「余計なことをごちゃごちゃ言うな!!あっちに行けばいいんだ!わかったか!」と大声で怒鳴った。私は青ざめて沈黙した。結局道に迷ったが夫はなにひとつ話さなかった。

その2 ハイキングに行こうとしたある日
 その日は新緑を楽しむためハイキングに行くことになり、私は楽しみにしていた。朝からおにぎりなどのお弁当を作った。そして2人で家を出た。歩きながら夫はごく普通に、近々職場であるイベントについて私に話した。私は「そのイベントと似たようなことが私の職場でもあるよ。そこではね…」と話した途端、「おまえのくだらない話しなんて聞きたくない!!だいたいおまえの日本語は間違っているから聞く気にもならない!おまえの頭が悪いからだ!それはおまえの根性が腐っているからだ!!帰る!!」と鬼のような顔をして大声で叫んだ。私は何が何だかわからなかった。私は混乱していた。感情が凍りつき、心が真っ暗になった。そして私達は家に戻り、夫は大きな溜息を何度も吐き、大きな音をたてながら不機嫌さを露骨に表現していた。

その3 家にいるとき
 家事を終え、私は本を読んでいた。夫はテレビを見ていた。突然夫が話しかけてきた。「ちょっとこっちきてくれる?」私が「なあに?」と脳天気に近づくと突然夫は「ねえ、君さあ、何にも気がつかないの?」と穏やかに聞いてきた。しかし目が冷たく揺らめいている。私の手が冷たくなった。「ね、僕が言いたいことがわからないの?」「僕に謝ることない?」夫はたたみかけるように話しかけてくる。私の動悸がひどくなる。でも何もわからない。「そう、わからないんだ。そうだろうね~。君は本当に鈍感なんだね…」そして私はうなだれ「ごめんなさい。何かわからないんだけど」と言った途端「だいたいおまえはだなあ、人間として何かが欠落しているんだ!俺がどんなに我慢しているかまったく感じていない…!!」と延々2~3時間の罵詈雑言が続く。私はただうなだれて謝り続けている。

はぁ…。書いているだけで動悸がしてきた。こんなエピソードは山のようにある。
 夫の怒りはいつ発せられるかわからない。突如として怒りスイッチが入るのだ。そしてひとたびスイッチが入ったらもう止まらない。激しい怒りの嵐が吹き荒れ、相手をなぎ倒し、めたくそに踏みつけ、とどめとして相手に大量の毒矢を放つようなものだ。相手を徹底して蹂躙しないと気が済まない。相手がそれで自分から離れていくだろう、なんてことは全く頭にないらしい。怒りを向けられた相手は、不意打ちを受け、いきなり背中から崖下に突き落とされるようなものだ。そして毒矢を受け、いつまでもその毒が体内に残り、じわじわと生きる力を奪っていく。

私は夫の怒りスイッチを触らないように、細心の注意を払うようになった。しかし夫は私の不意を突いて、怒りを爆発させた。絶対に避けられない怒りに、私はひどく怯えるようになった。

5 コメント

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Unknown (Unknown)
2005-09-20 22:59:49
ぎゃふん!!(死後?)といわせたいですよね。
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Unknown (文旦)
2005-09-20 23:24:16
ごめんなさい!上のは私です。なれない絵文字を使ったら途中で送ってしまいました。



宇砂子さんとのやりとりをいつも読ませていただいてほんわかしたりせつなくなったりしてました。



それにしても、ぎゃふん!!ぎゃふん!!と言わせたいですよね。
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どこにでもあるからね・・・ (宇砂子)
2005-09-20 23:45:17
この「いきなりMAXスイッチ」は(爆)



どんなに気をつけていても、思わぬところで

スイッチが入ってしまうんですよね・・・。

あのスイッチを、常にオフにしておける人なんて存在するんだろうか・・・?



ウメさんの夫は、かなり重度ですね・・。

読めば読むほど、得体の知れない怖さがありますもん・・・。

背筋が寒くなりました



過酷な状況から、歪んだ世界から、よくぞ戻られました!

こんなオカシナ星の住人に、

これ以上大切な人生を持っていかれなくて、

本当に良かったですよね!

お互いに!



>横レスお許しください・文旦さんへ

ウメさんの記事を読み、怒りに震えながらコメント欄を読み・・・

「このコメント、慣れ親しんだ空気を感じる・・・」

っと思って、次のコメントを読んだら・・・

「やっぱり文旦さんか~い!」

っと、ひっくり返りそうになりました(笑)

文旦さん、こんばんみ~♪



横レス失礼しました







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コメントありがとうございます! (文旦さんへ、宇砂子さんへ)
2005-09-21 21:41:44
*文旦さんへ

こんばんは!ご訪問いただきありがとうございます!

宇砂子さんのブログでも温かいコメントをいただき、嬉しかったです。

こんな夫と暮らしていたんですよね…トホホ。

ほんとに、何度「ぎゃふん!」と言わせたかったか!!

しかし復讐が恐くて黙ってました。

せめて、自分のブログで言ってやります!

また見てやってくださいね~☆

              ウメより



*宇砂子さんへ

こんばんは!

こんな夫を見てると、ホント人間とは思えませんでしたよ。

バイオレンス星のアビューズ国モラ県知事か!?って感じ。

ただ、スイッチオンリーだったら私はとっくに逃げ出していましたが、二重人格のような優しさもあったのですよね~。これにはやられました。

しかしモラ呪縛から脱出できてつくづくよかったと思います。



お互い苦労しましたよね!え~ん(ハグハグ)!

                  ウメより

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Unknown (Unknown)
2020-03-24 16:15:07
ひょっとしたらボーダーなのでは?
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