何処も取り調べの過酷さは変わらない・・・
所謂、悪漢は簡単には口を割らない
畢竟、神経戦の修羅場となる・・・・
それにしても、
元祖取り調べの可視化(?)が
ウクライナで先行していたとは・・・・?
勿論、日本の可視化推進を揶揄するつもりは毛頭ない。
現状を観るに、近代刑法は証拠主義に立っている。そして、疑わしきは罰せずである。それが『推認』などという、『業界隠語』で判決が下される我が国の裁判所を見る時、日本の司法に絶望感を抱くのは当然である。
翻って世界を見渡すと、容疑者に対する過酷な取り調べは日常茶飯事と見える。それはいつか来た道と言える時代が来るのは何時のことだろう。
確かに、
普通、悪漢が一筋縄でいくはずもない。これは取り締まりを日常としている警察官は、誰よりも身に染みて実感していることだろう。何処の世界でも、修羅場の神経戦が繰り広げられる。
又、それ故に冤罪も生み出されるのである。
それは心が見えないからだ。今は、観ようともしていない時代なのだろう。やがて、それらは野蛮な低次元の裁きと、振り返る時代が到来すると確信している。人間の『仏性』に焦点を当てた社会正義の確立が待ち望ましい。それまでは『物証』に頼るのが、せめてもの冤罪を防ぐ手だてだ。
それにしても、素朴で過酷なウクライナの取り調べの『記者可視化』映像を転載する。面白い。ハリウッドの映画を地で行く様だ。
【転載開始】自白するまで追い詰める取調室の恐怖
ウクライナのある警察署の取調室。怯えた表情の男のこめかみには拳銃が突き付けられている。銀色に光る拳銃を握るのは、尋問中の警察官だ。写 真家のドナルド・ウェバーは今年、5年以上にわたる交渉の末に初めてウクライナ警察の取調室内部で撮影することを許可された。人権団体によれば、この国で は有罪判決の大部分が自供に基づいて下されるという。彼が同国のチェルノブイリ警察に同行取材し、2人の男が金属くずを盗む現場に出くわしたのは06年の こと。そこで彼は、警察官たちが手段を選ばず容疑者に自白を強要する様子を目撃した。
(写真下のキャプションは、それぞれの人物にかけられた容疑)その10年前に初めてロシアを訪れたときから、ウェバーは人間が絶対的な権力を前にしたときに示す反応に強い関心を持つようになったという。そし て06年に自白を強要する尋問現場に立ち会った際に、ある作品のプロジェクトを思い付く。こうした警察の尋問の様子を撮影してはどうか、と。何年もかけて 説得した末に撮影を許された彼は、警察本部に毎朝出掛けて殺風景な廊下に置かれた木のベンチに座り続けた。そして容疑者が許可すると、壊れかけた照明が置 かれた小さな取調室に入り、尋問に立ち会った。
取調室にはさまざまな容疑をかけられた人々がやって来た。売春、麻薬取引、強姦、窃盗......。場慣れした「ベテラン容疑者」もいれば、不安 で縮こまる者もいた。シャッターチャンスは容疑者が罪を認める瞬間だ。その時が近づいていると感じると、彼はカメラを構える。実際に罪を犯したかどうかは 分からないが、最終的にはウェバーが尋問に立ち会った容疑者はすべて罪を自供した。とはいえ、なかなか自供を引き出せないこともある。ある容疑者は罪を一 向に認めず、尋問を行う警察官をばかにしたような態度を取っていた。「警察官はどちらが上の立場か分からなくなっていた」とウェバーは言う。そのとき彼が 撮影したのが、警察官に拳銃を突き付けられる男性の写真だ。
ほんの数秒の出来事だった。しかし警察官が拳銃をホルスターに戻した後、尋問の様子は一変したという。容疑者の口調は改まり、程なくして罪を認めた。
Photographs by Donald Weber-VII
[2011年7月13日号掲載]【転載終了】