月のひびき (徳正寺だより)

“いま”出遇えた一瞬をパチリ
それは仏さまとの日暮らし…

美しいバラのはなし

2010年05月16日 21時28分04秒 | ふうわりふわり(坊守日記)
5月の風がさわやかです。

その風に誘われて・・・沙羅の会の方たちとともに、ご門徒さまのIさんのお宅のバラ園を拝見しに津島町に行ってきました。

おうちの裏庭に約100種類のバラたち。
Iさんは八重のバラがお気に入りの様で、色とりどりのバラの花がたくさん咲いていて、今が見ごろでした。
かおりも良く、なんとなく落ち着いた気分になりました。

魅せられてはまってしまう方の気持ちがよくわかりました。

一つとして同じ色、形はなく。
蕾よし、開きかけもよし、咲き切った姿もよし・・・
その時々を一生懸命咲いているバラの花たち。
それぞれが輝き、そして、引き立て合う姿に感動しました。

まさに、今日の会でいただいた『仏説阿弥陀経』のお浄土の美しい蓮の花をバラに替えたようです。
お浄土の白蓮華ではないですが、純白のバラもありました。
アイスバーグという名前のバラだそうです。
「微妙香潔」の通りですね。


そういえば、一昨日訪れた広島の平和記念公園のバラ園も満開で、中に黄色い八重の花がさいていました。その名も≪ヒロシマヘイワキネンコウエン」という名前でした。

美しく咲くバラの花に、見る人のそれぞれの思いいっぱい重ねるのでしょうね。

Iさん、ありがとうございました。
また来年もみせてくださいね。


雀之御宿

2010年05月16日 20時08分15秒 | 仏々相念(住職日記)
五月晴れが・・・

晴れ渡る青空が続いています。
天気に良いも悪いもないのですが、個人的には晴れが好きです。
青い空を見上げるとスーッとするようです。

昨日のニュースで雀の数が減っているという話題をしていました。
都心の方ではここ20年で半減したとか・・・
あまり気にしたこともなかったのですが、そういえば少なくなったのかな~・・・
その原因として住宅の気密化にあるのだそうです。
昔の家には隙間がありそこに巣を作っていたのですがそれができなくなったからでは・・・と。

徳正寺の鐘楼堂の鬼瓦・・・鬼の顔です。
まるで参道に向かって睨みをきかせているようです。
「こちら亀有公園前派出所」っていうコミックの主人公・両津勘吉のような顔。

その恐ろしく空いている口に雀が巣を作っています。
毎日毎日、忙しそうにその口から出たり入ったり・・・
青空のもと見晴らしのいい鬼の角の上にチョコンと乗っています。
その光景がもの凄く微笑ましいのです。
強きものは弱きものを守るってな感じで・・・
本当の強さとは、こういうものだと教えてくれているようです。

私たちの世界はどうでしょうか?
強きものが弱きものを守ってくれているのでしょうか?
この国はどうなっていくのでしょうか?
この宗派はどうなっていくのでしょうか?
不安が尽きません・・・

決して強くもない私ですが、仏さまのみ教えだけは大切に守っていきたいな~・・・って
大きな大きな御手に包まれ歩ませていただいています。

夕方のお勤めの準備をしていると息子が呟いていました、      
「慈悲っていう言葉、多いよね・・・」
そうだよな~って、思いながら御灯りを点け、              
その優しくも強きおはたらきに感謝させていただいたことです。   

ヒロシマのはなし

2010年05月16日 07時52分26秒 | ふうわりふわり(坊守日記)
仏教の勉強を共にさせていただいた班の年に一度恒例の同窓会に広島へ行ってきました。

福岡、大阪、奈良、千葉、広島、愛媛とそれぞれの地から集まりました。
たいせつなたいせつな法友です。

今年は広島開催ということで、広島在住のKさんが市内の被爆建物や平和記念公園内の碑めぐりの案内をしてくださいました。

原爆の爆風でゆがんだ鉄骨や煤けた壁などを目の当たりに見ました。
袋町小学校で我が子を探す母親の切ない伝言には涙が止まりませんでした。
平和記念公園内にある様々な慰霊碑は、学生さんの名前、町内住民の名前が刻んであったり、子どもをかばいながら逃げる母子の姿、脱力した児童を力強く抱く女教師の姿、生きる希望を最後まで捨てなかった少女などの彫像がありました。
韓国人の慰霊碑もありました。峠三吉の詩碑もありました。

なぜこれほどの悲しみを受けなければならなかったのでしょう。
一瞬にして多くのいのちを奪う権利など誰にもないはずなのに。

今でも、碑に刻まれている名前を愛おしそうに涙されながらさする方がたくさんいらっしゃるのでしょう。

人間とはなんと愚かな・・・
人間とはなんと悲しい・・・

法友と語りました。
仏教徒としてできることはなんだろう。

また、それぞれの地に戻り、広島で流れた涙の訳を心の中で漉し、そして伝えましょう。