旧臘12月19日、宮古市から鍬ヶ崎地区住民に「復興まちづくり」計画に関する説明会があった。主な内容は「土地区画整理事業計画」の説明であった。その前後に鍬ヶ崎住民の「意向調査」の結果と「土地の買い取り」についての説明があった。不在地権者の一人である私のところにも報告の封書が届いたのである。
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■今後の住居場所
485世帯、2012.9~12 の集計。( )内は前回 2012.2 調査、324世帯
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住民の意向調査結果について
すでに岩手日報には「地区内の居住希望が少ない実態が浮き彫りになった」(12/20)と報道されていた。報道をまつまでもなく誰もが地区内居住希望者が、思ったより少ない事に驚かされたと思われる。このあたりの事を説明会ではどのように説明されていたのであろうか?
さらに、前回調査から見て一段と地区内居住希望者の割合が少なくなっていく実態(40%→34%)が明らかになっている。
また、すでに地区外に移住した世帯をふくめて、地区外希望者の割合が前回調査から格段に大きくなっている様子(26%→40%)からも、地区内居住希望者が少なくなって来たことがうかがえる。
「地区内」と「地区外」が逆転して来た事が歴然としている。初めは鍬ヶ崎の元の跡地にどうにかして家を建てたいの思っていたが、それも断念する世帯が増えて来たと言える。
「現地再建」は岩手県、宮古市の失政
新聞のように、本当はそこまでこまかく言う必要はない。大きく見て、要するに鍬ヶ崎の人は鍬ヶ崎に住みたいとは思っていない。少なくとも躊躇しているという事。(被災者の心情、直後の悲惨な鍬ヶ崎、すぐ海の見える鍬ヶ崎風景を見た人ならこの事は理解できるし、そのようなことは自明だから心情など今後ここではあまり言わない)。 住民が住み慣れた鍬ヶ崎、どことも代え難い鍬ヶ崎、住民が現地での復旧・復興を願うのなら、この円グラフは「地区内」が100%であるべきはずである。少なくともそこに近く、そこに近づいた%であるべきはずである。また少なくともアンケートの設問が復興なった鍬ヶ崎の(地区内希望=たんなる願望)もふくめるのであれば、もっともっと100%に近かったはずだ。住民の意向をそこに近づけるために宮古市がどのような手を尽くしてきたか聞きたい。
防災集団移転促進事業による高台移転
・防潮堤整備により津波の越流が抑えられるため、現地再建が可能となり事業導入出来ないと判断しました。
上のグラフに見る鍬ヶ崎住民の意向から本当に「現地再建」が可能なのか? 宮古市の「現地再建」案から日を追って住民が流出していく現実を直視してよく考えて結論を出してほしい。説明や理由より高台移転回避「判断」の方が先にさきにきている。鍬ヶ崎の高台移転をネグレクトしたいがために、現地再建が可能と言い続け、その度に現地の住民からNOを突きつけられてきたといえる。県庁や宮古市は今こそ深く反省してほしい。これが民意なのである。盛岡の土木の人が、そしてその追従だけをしている宮古市長が、いくら防潮堤整備によって「あんぜん」「あんしん」と絶叫しても、現地の住民、現地の住まいのプロ(住民)はそれが信用できないのである。
とにかく、住宅問題について鍬ヶ崎の地元民は「現地再建」に消極的なことが分かった。県庁のあやしげなシミュレーション、鍬ヶ崎浸水シミュレーション、防潮堤計画を、したがって鍬ヶ崎の区画整理事業に地元民は納得していないのです。賛成もしていない。県庁も、宮古市も、高台移転に舵を取らなければ、鍬ヶ崎の住民流出は止まらない。
鍬ヶ崎の住宅問題(2)につづく