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 藤田幸右 管理人

防災会議の報告書とは?

2018年12月28日 | 南海トラフ/中央防災会議/地震調査委員会

南海トラフ おざなり 津波対策 

 

防災会議の報告書

 

日本経済新聞(2018.12.26)

 

 

明確ではない対策用語


前兆、異常と言う言葉
:報告書でいう、南海トラフ前兆、異常現象、とは全て地震の事である。東北地方では「地震の前の」異常現象、地震の前兆として、これらの言葉が使われてきたが政府中央防災会議では生起「地震」そのものの事であった。否、「前兆」か「地震」そのものかよく分からない、防災会議自身でも明確でないようだ…。

「半割れケース」の半割れという言葉:南海トラフ震源域を東西半分ずつに分割した地域を「半割れ」と言っている。「震源域の半分で地震が起きた場合、被害がなかった地域の住民も地震発生に備えて1週間程度避難する…」という時は東の半分で地震が起きた場合西の半分の地域の住民も避難する、というように解釈するがそれは誤り。東の「半割れ」の内部の事をさしている。静岡県浜松市の近くで地震が発生した場合地震がなかった愛知県の各市町村でも1週間程度の避難をする、というような…。と、いうより、内部かもう一方の半割れかは、防災会議自身でさえ明確ではないようだ…。

「半割れケース」:震源地がどこになるかまったく分からない時点の対応として震源域を2分する方法に疑問がある。境い目で起きた場合、半割れの端で起きた場合など…。そもそもこの中間線は何なのか?何を示す線なのか? ── 細分して予めよく絞り込んでおこうという意図は分かるとしても…。

 

 

 言葉じり、あげ足とりのように聞こえるかもしれないがそうではない。
これまでの作業部会の経過には疑問がある。
 


「報告書に基づき指針をつくって自治体や企業に防災対計画の作成を促す」
(政府)

「国民の安全・安心に向けた防災対応の充実につながることを期待している」(防災会議)
 

政府は指針を示して自治体や民間に防災計画作成を促すという。しかし政府の指針自体が見えない。このようなものでは自治体、企業、住民への防災計画作成は 0(ゼロ)からの強要のように見える。防災会議の国民に向けた期待の声明も、他者への期待であって、自ら十分な対策を尽くしたという被災当事者として立場の主体感が見えるものではない。あくまで官僚、学者としての立場を離れてはいない。被災難民950万人ともいわれる議論のスケールから見ても、こんなことで西日本が窮地から脱することができるのか、疑問を覚えざるを得ない。

いずれも「わが心住民の元にあらず」のよう。「促す」「期待する」と何か上から目線の言葉のように聞こえる。防災会議作業部会の報告書は官僚、学者の問題意識で書かれていることは容易に想像できる。住民の行動計画につながってこないような気がする。まず政府からの指針を実感したい!

 

 

防災会議に対するいくつかの評価 


1、極力普通言葉を使うべきである。

上にも書いたように「半割れ」「一部割れ」などの特殊な言葉は汎用性がなく使うべきではない。上にも書いたように避難民950万人になんなんとする国家的救済事業のための事案会議の報告書、また経過報告では、どんなにまだろっこしくても、極力普通言葉、誰でも言葉から事態を理解できる言葉を使うべきである。極論すれば幼児でも理解できる日本語言語体系を使用する。

 
2どんなに大雑把でも、基本的に分かるもの

防災会議で検討されるべき南海トラフではどんなに大雑把な課題でも時間軸的には次のようなことになる。被災予想地域住民の期待である。中央防災会議報告書の印象はテーマや焦点が定まらないばらばら感。それでは当該住民の側が戸惑うばかりである。

<第一章>
イ、南海トラフ地震の予兆、兆候、可能性、異常現象等、時間的な「前兆」について

ロ、防災ソフト・ハード対策(ハザードマップ、事前心構え、ハード整備)平常時の諸作業について

<第二章>
ハ、地震が生起した場合の地震規模「情報」・「伝達」、地震警報、津波警報について

二、津波襲撃、実践的避難計画、避難経路・避難場所への実際的誘導、帰宅経路等の指示について

<第三章>
ホ、避難所(ハード)計画、「避難所生活」(ソフト)、復興指針(復興計画)などについて

 

 3机上のものはダメ、東日本大震災の検証は政府中央でしかできない

政府の「指示」、防災会議の「期待」はどっち付かずの中間的な対策に終わる予感がする。というより東日本大震災の現場感覚からいえば、これは机上のものであり、現実的対策にはならないと思う。この段階の「指示」「期待」の対象先が現実の住民であり、企業であり、自治体ということでは主客転倒だ、いったい?何を基本にして、何をどう対策するのか分からない。一つや二つの例を出されても何の役にも立たない。まず、中央防災会議、また政府が被災地域当事者の身になって(同じ困難の平面に立つ努力をして)対策を練ることでなければならない。東日本大震災の物・人等の被災の検証作業を徹底させること、それに基づいて南海トラフ地震をより深く掌握することである。政府、中央、防災機関でしかできない事柄である。
 

 4メンバーを入れ替えて再出発!! 

中央防災会議のメンバーは、あらゆる意味で総入れ替えをして再出発するべきだ。東日本大震災の防災対策のあらゆる面からの検証作業が第一と考える人、また検証のための東日本被災者等当事者からの聞き取り提言、意見がなにより大事だとする人によってメンバー構成をしなければならない。経験主義の旗を掲げる中央防災会議であるべきだ。

 

 

中央防災会議作業部会のこれまでの経過


これまでの経過の一部、新聞に掲載された分について、任意にその議論経過を見たり批判を加えてきた。このような政府機関で一度決定するとそれがよもや南海トラフ大地震が起きた場合の対策、その後の復興事業等にその決定が一貫する。東日本大震災の直後の防災対策は「防潮堤」の建設であった。その事業は今もつづいて基本的に揺るがない。大津波に次ぐ大厄災であった。今も東日本沿岸は破壊され死んでいっている。いずれにしても南海トラフ地震・津波対策の基本方針である、修正するところがあれば今しかない。閲覧者諸賢の奮起を願うばかりである。

 


[当該記事] 
ずれてる中央防災会議         2018.12.23
 

[当該記事] いつまで迷う?中央防災会議      2018.11.15
 

[当該記事] 中央防災会議の迷い          2018.10.25
 

[当該記事] 混迷「中央防災会議」         2017.8.26
 

[当該記事] 土木学会って?          2018.7.4
 

[当該記事] 西日本方面=東海地震          2016.7.5

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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