宮古on Web「宮古伝言板」後のコーケやんブログ

2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。
 藤田幸右 管理人

鍬ヶ崎の高地移転(7)=一応のまとめ

2011年11月24日 | どうなる住宅問題


死者への思い、被害を受けた人(被災者)、被害を受けなかった人(やまご)



11月21日に参議院で可決されて本年度第3次補正予算が正式に成立した。 予算が決まる前から、県もそうだが、宮古市も、コンクリートの公共工事には多大な予算を前ぶれしていた。防潮堤や、土地のかさ上げ、国道、鉄道網、市役所庁舎や、その他のハコもの施設等々には予算が決まる前から盛んに計画を述べられていた。予算処置に言及していたものであった。さっそく予算成立直後の23日の岩手日報は「本県は総額650億円 3次補正公共事業配分」という見出しで国交省の配分を報じている。内容的には復興関係ではない工事も潜り込ませているように見える。事業主に向けた各種援助、補助の融資処置も同様である。金融機関への公的資金導入などの記事が目立つ。工業、商業、漁業、農業などの中小企業向けに、既存枠を取り崩したり融通したりする事をふくめて、事業主に対する有利な援助,融資のパイプ構築に躍起になっている。


死者への思い

──哀悼の思いだけではなく、死者の立場で更に考えたい思いがある、が、今回はその事が念頭にあるというだけで、別の機会に譲りたい…


被害を受けた人(被災者)

上記のような公共工事や事業者への手厚い復興策はもちろん悪い事ばかりではない。しかし、家を失い住宅問題を抱える個人被災者にはしゅくとして声がかかっていない。第3次補正予算が可決されても個人の住宅問題は不透明でみえない。本人も関係者もよほどしっかり声を出して行かなければ、まわりの雑音にかき消される危険性の中にある。テレビ朝日のキャスター古舘伊知郎氏は補正予算可決の日(11/21夜)の報道ステーションの中で「復興予算は被災者の住宅問題に第一義的に配分されるべきだと思う」と具体的に述べていた。被災者はもちろん大半の国民の励しの気持ちを代弁していると思った。歯に衣きせない彼でさえ沈痛な表情を浮かべるほど、個人住宅への予算の配分政策はうまくいっていない。(この国ではアメリカなどと違って個人向けに直接補助金を支給する事に慣れていない。災害時の場面でも配分の段階が多くて個人には届かない事が多い)。住宅問題を抱えている被災者とは、高地移住、集団移転の人だけではない、被災跡地に家を建てる人、建てた人、鍬ヶ崎以外に家を建てる人、建てた人、また借家や間借りの人も直接、同じに救済配分されるべきである。

裸の王様 今回の災害では、国の予算が(足りない所やうまくいかない所を県や市の予算で補完しながら)直接被災者個人に配分される流れをつくるべきである。いかに総理大臣が復興予算の潤沢さに胸を張っても、それで被災者個人の家が建つのではなく、ゼネコンや大企業、金融機関、設計から巨大工事までのコンクリート族が途中で復興予算を食いつぶしたり、政治家や官僚が悪名高い「腰だめ」ほまち予算を溜め込んだりしているのでは、、、総理大臣はなにも知らない裸の王様と同じである。地域住民と、役所と市町村長と、県職員と知事と、そこのところを上と下によくよく説明してこじ開けて行かなければならない。


被害を受けなかった人(やまご)

警告めいたことを言いますが、国民も県民も同じ宮古市民でさえ、家を失った人と、そうでない人とは津波災害に対して大きな温度差を抱えています。市の広報でも、マスコミのニュ-スや論調でも災害ものがどんどん減ってきたと感じませんか?そのように感じるのは貴方が家を失った人だからです。そうでない人はあなたの家と国家予算の関係など考えていない、と思わなけれはなりません。一方で、職務で、沢山の人が、政治家や、知事や自治体の首長、役所の役職者や、マスコミ人、民間企業・団体、被災者、その関係者など、たしかに温度差の枠を超えて被災者の立場に協力している人が沢山います。家のことはやまごでないこれらの人たちと相談するしかないのです。

やまご やまごとは防潮堤を発想する人のことです。海の人は必要があって防波堤や岸壁は発想しましたが陸に防潮堤をつくることは考えたことがなかったのです。発想の原因だったかもしれませんが河川の堤防などとごっちゃになって、以降、防潮堤を高くすれば津波も防げると間違って考えるようになったのがやまごです。他方、海の人は防潮堤では津波は防げないと考えています。田老の人たちでさえ子どもには「おいしいおかずは先に喰え」と教えていたそうです。なぜなら「津波が来るから」という理由です。(子ども「…防潮堤があるからだいじょう…」 父「ばかやろう。津波が来たら喰うのを止めてすぐ逃げろ」)

やまごは盛岡など内陸部にいる。主に岩手県庁に居て、間違った津波対策を考え、復興予算の優先順位を間違っている。防潮堤同様、土地のかさ上げもやまごの発想だ。先般、各集落の復興地区まちづくり会で示された何案かの復興パターン図がまさに机上の計画で、やまごの役人やまごのコンサルタントが図面を引いたものである。現地では受入れようと努力しているがしょせん合うものはない。関西,関東のアンケートで「何メートルまでなら津波は怖くないか?」という問いに大半の人が3メートルまで、と答えたらしい。やまごは30センチで人が倒れ、2メートルで家が倒壊する津波というものを知らない。ただの増水と考えている。素の津波は30センチでも死に直結する恐ろしいものなのである。要するに、津波災害の実態を知らない(調べない)で、沿岸被災地一律の考え方(地形にあわせて変えただけ)で復興パターンを作っている。ただのたたき台ですというのでは無責任だ。初めから現地に聞け、あるいは相談しろと言いたい。やまごの計画には具体的な高地移転パノラマ計画図もないし、鍬ヶ崎跡地利用の産業復興ビジョンもない。コンクリート族利益誘導の土木工事にあまりにも露骨に偏っていると言いたい。

被災住民の個人住宅再建を復興予算の優先順位第一位にする所から、後々の復興計画をはじめるものでなければならないと思う。


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コメント
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