宮古市長 山本 正徳 様
平成28年7月22日
鍬ヶ崎の防潮堤を考える会
鍬ヶ崎地区の住宅建設についての公開質問状
(以下 8/5の市長からの回答を赤字で、追加)
字消し線 は単なる消去ではなく、質問の趣旨
から反(そ)れている、間違っている、単に
付随している、二義的なこと、重要でない事
の意味である。
よくよく吟味しながら理解してほしい。
1、宮古市の条例によれば鍬ヶ崎地区は災害危険区域
宮古市災害危険区域条例には基準津波として「平成23年3月11日に発生した津波と同じ規模のもの」とありますが、いわゆるレベル2の事で、3.11の津波の大きさのものが基準津波になっております。しかし、鍬ヶ崎のほか宮古湾岸一帯に建設予定されている防潮堤建造物はレベル1(明治津波クラス)への対応どまりで、レベル2の津波には対応してはおりません。岩手県もそのように明言しております。つまり基本的には宮古湾岸一帯が災害危険区域という事になります。
【回答】(2016.8.5)
宮古市災害危険条例に置ける津波の災害危険区域については、防潮堤等の整備後において、東日本大震災と同じ条件の津波による浸水が1m以上となる区域を指定の条件としております。
津波シミュレーションの結果、鍬ヶ崎地区は、防潮堤を整備する事により浸水しない区域である事から、津波の災害危険区域となっておりません。
県は、宮古湾について一律10.4mの高さでL1対応の防潮堤を整備しておりますが、鍬ヶ崎地区は湾の入り口に位置する事から、L1対応の高さであっても東日本大震災と同じ条件の津波の浸水を防ぐ事が、津波シミュレーションの結果により確認されております。
2、したがって、鍬ヶ崎地区の住宅問題は依然として「高台移転」です
ある方は近くの高台、市内、市外に家を建て、あるいは借家や親族同居などで移住、災害住宅などに移転しておりますが、しかし、それで大方の始末がついたという事ではありません。そのような方々を含めて、仮設住宅の集約化などで、被災者には待ったなしの第二の決断が迫られているのが実情です。とくに区画整理が完成しても被災住民の安心住宅の土地問題はまだつづいているのです。被災地住民の多くが安全と予算の両にらみで、依然、跡地再建か、高台への移転かの決断が迫られています。
a、宮古市は実態把握のため、追跡調査、意向調査を早急に進めて発表するべきです。
b、高台移転をぶり返すようだが、それも仕方がないのです。「鍬ヶ崎地区は危険ではない」という根拠のない「誘導」を強引に進めて、住民意向無視で区画整理事業を独断で今に引っ張ってきた宮古市に原因があるからです。
【回答】 鍬ヶ崎地区における「復興まちづくり計画」の策定は、地区住民による地区復興まちづくり検討会から市長に対して提出された提言を、可能な限り反映し進めています。
また、事業実施においては、住民説明会、個別意向調査および仮換地の供覧を行い、事業に対する地区住民との合意形成を図り進めています。
ご質問1の回答の通り、鍬ヶ崎地区は、防潮堤を整備する事により、災害危険区域外となります。
よって、災害時と同じ場所で再建が可能な地区になりますが、震災前から建築基準を満たす接道条件が確保されていない宅地や、地震による地盤沈下の影響により内水(排水)処理に大きな問題を抱えた状況下にありました。
このことから、土地区画整理事業により、道路等の公共施設を整備改善するとともに、安心・安全に暮らす事の出来る健全な市街地を一体的に整備し、東日本大震災からの早期の復興を図るため事業を進めております。
c、政府の資金を直接導入する防災集団移転促進事業(防集)、漁業集落防災機能強化事業(漁集)に対して宮古市としては鍬ヶ崎地区では初動機会を失い、すでに後手を引いている責任があります。このことで宮古市長は市民に対して自己批判する必要があります。
【回答】 防災集団移転促進事業は、移転を促進する区域が災害危険区域に指定されることが国庫事業の採択用件となっております。
また、漁業集落防災機能強化事業については、集落の安全性を確保するため、土地の嵩上げ又は移転による用途造成を対象にしております。
したがって、ご質問1の回答の通り、鍬ヶ崎地区は、防潮堤を整備する事により、災害危険区域外となりますので、津波からの防災対策としての防災集団移転促進事業及び漁業集落防災機能強化事業の事業導入は、困難な地区となっております。
3、復興住宅入居、区画整理完成、仮設住宅撤去の実情に合わせて宮古市は今こそ第二弾の行政的対応を示すべきだ
a、最終的安全安心住宅問題にこれから着手するべきである。最少5戸からも活用できる防災集団移転促進事業(防集)を小規模に多数活用するなどして、今からでも、鍬ヶ崎地区被災者の高台移転事業を進めるべきである。
【回答】 ご質問2ーbの回答の通り、鍬ヶ崎地区は、防潮堤を整備する事により、災害危険区域外となるため、防災集団移転促進事業の導入は困難です。
なお、被災された方々には生活か被災者支援質が窓口となり相談を受けており、関係行政機関等と連携し「住まいの相談室」を定期的に開催するなど、各種支援制度の説明や個別相談を実施しております。
4、(最後に)職住分離の考えについて
鍬ヶ崎地区の産業復興は漁業基地をはじめ、港湾荷役、製造業、飲食・小売り等のサービス業など大方の職場は跡地の平場で復興し起業されるわけですが、子ども、お年寄りも同居する住居地は基本的に高台でなければなりません。端的に言って、食事、団らん、勉学、就寝、家族安息の住まいは津波の心配のない高台地区への移転が原則です。かってない甚大震災を経験した鍬ヶ崎地区だからこそ単なる復旧ではない未来型復興のためには、一味違った職場と住まいの分離も必要だと思います。
Build back better. (よりよい復興 国連防災世界会議スローガン 2015 仙台市)
【回答】 ご質問2ーbの回答のとおり、鍬ヶ崎地区は、土地区画整理事業により、安心・安全に暮らすことのできる健全な市街地整備を進めております。
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注意1)1~4は「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」の考えであると同時に貴市長に対する質問になっておりますのでなるべく事細かくご返事をいただきたいと思います。
注意2)ご返事は平成28年8月5日まで文書でお願い致します。遅れる場合は中間的なものであっても期日までにお願い致します。
以上
注意追加)国連防災世界会議スローガン ” Build back better. ” は <震災前より>よりよい復興、の意味合いが強い。単によりよいではない。
この景色もこれで最後だったのか…(2015.10.13 古館和子さん撮影)