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2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。
 藤田幸右 管理人

田老「第一防潮堤」の今(14=その後)

2013年11月30日 | どうなる田老

田老第一防潮堤の修復工事を見に現地に行ってきたがそれほど進んでいないようであった。パラペットの型枠の取り付けも大幅に遅れているように望見された。(2013.11.22)まだコンクリートは流し込まれていない。

写真 5 型枠の取り付け(陸側より) 2013.11.22

 

 鉄筋の追加ということか?

 

写真 6

防潮堤頂上に登ってみた。型枠成形の途中で、パラペットが既存防潮堤の天頂コンクリート板と接するところに細い鉄筋が張りめぐらされていた。パラペットの設計図にはなかった鉄筋である。連れの話では、鉄筋は抜けないようにアンカーボルトでコンクリートにネジで差し込まれているという。



写真 6-2

アンカーボルトでパラペットを躯体につなぎ止めると同時にパラペットの新たな鉄筋を配置するものであろうが、アンカーボルトは抜けないにしてももぎ取られる可能性がある。写真で見るように溶接でつないで鉄筋は(この先は見なかったが)おそらく太い斜めの鉄筋に結束されるものと思われる。この新たな鉄筋網の強さがそれとして検証される前に鉄筋、アンカーボルト、溶接、結束の新たな不安定要素がつけ加わる事になる。鉄筋についてまわる弛みや錆をどのくらいプラス、マイナスして、このような追加鉄筋がはたして有効なのかどうか? そのような検証も進んでいるのであろうか? 


図 5

われわれ素人目には、既存第一防潮堤の一体的造りを破壊して、パラペット付加、アンカーボルト、ケミカルボルト接続は最も危険な弥縫(びほう)策、第一防潮堤の一層の弱体化に見える。工事の全プロセスをオープンにして、各機関の検証を急ぎ、工事中止を含む抜本的な改修の改修を始めなければならない。




☆(余談)

思うに、私はこの第一防潮堤のかさ上げ工事に対して「強化になっていない」「有効でない」などの批判を加えてきているが、それは、強くするべきだとか有効にするべきだとかいいたいがためではない。それを言うのは第一防潮堤が今次震災に耐えて地上に残ったという事実があるからであり、将来の津波に対してまだまだ所期の有効性を発揮するからと思うからである。本心ではいつも津波防災に防潮堤をもって、あるいは防潮堤の強化をもって備えるという考え方(コンセプト)には疑問をもって、むしろ反対である。沿岸の場所場所によるところが大きいように思っている。避難に困難な平坦平野地区ではどうなのであろうか?とも思う。田老地区のいわゆる第1線堤の復旧工事が準備されているがこの第1線堤工事には積極的に反対である。失敗に終わった防潮堤による防災の反省が生かされていないからである。「く」の字型の第1線堤は昔のまま、高さを高くしただけの防潮堤の建設は昔と同じに津波を真ん中に呼び込む、多少細かく工夫がなされているが昔の防潮堤のただの再現であるように思う。私は防潮堤そのものに反対だけでなく、否それよりも重大な、工事のよってくるプロセスの公共工事的あり方に反対である。全地区的な反省運動、そして核心的な反省の成果を未だ見る事がないからである。昔と変わらず公共工事の流れにおし流されているとみなければならない。防潮堤の効果の是非、防潮堤そのものの是非はおろか防潮堤の場所の選定や防潮堤の形態の変更などの余地が見えない。そのような新生第1線堤防潮堤に効果があると思えないし、それは田老地区住民の無反省の集積であり、かならず工事の欠陥も露呈するものと思う。



 

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