スポーツ障害 || その1・スポーツ障害とは

2018年07月28日 | スポーツ障害

さて、今回から数回に分けてスポーツ障害について、病態や病期、その対処についてまとめてみたいと思います。

まずはスポーツ障害という障害の解説から。

スポーツ障害というのはスポーツを通じて負ってしまった怪我のことですが、

大枠としては以下の二つに大別されます。

1、外傷

ラグビーやアメフトのようなコンタクトスポーツをイメージすると解り易いと思いますが、スポーツシーンでは不意に予期せぬ大きな外力にさらされることで故障を負うことがあります。

2、オーバーユース

いわゆる使い過ぎによる故障です。

身体を活発に使うということは決して悪いことではないのですが、何事も過ぎたるは及ばざるがごとし。

そもそもトレーニングで身体が強くなるメカニズムはトレーニングによって筋や腱、靭帯といった運動器に小さな傷(マイクロトラウマ)を入れ、そのごく小さな傷が癒えるとき、トレーニング前よりも強く大きく育つという「超回復」という現象がベースになっています。

もちろん、筋や腱が強くなるだけではありません。

血管の弾力性や骨の強化、神経機能の向上なんかも起こるんです。

運動が成人病や痴ほうの改善にも良いとされるのはこのためなんですね。

このように、適度な運動はアンチエイジングの妙薬ともいえそうです。

ちなみに、トレーニングがこの超回復につながるかどうかは適度な運動、適度な休養、適度な栄養補給がバランスよくなされているかどうかにかかっています。

 

これに対して過度なトレーニングとはどういう状況か考えてみましょう。

効果的なトレーニングをしたい場合、トレーニングによるダメージ(マイクロトラウマ)が回復したタイミングで次のトレーニングを行うことが効率的なトレーニングの条件となる、というのはご理解いただけると思います。

しかし、十分に回復しないままトレーニングを繰り返すことになりますと、筋や腱に小さな傷が蓄積してゆきますので、それらは次第に大きな傷=怪我へと発展してしまいます。

回復も待たずにトレーニングを繰り返すことのダメージは筋や腱だけではありません。

運動をコントロールしている神経自体が過労によってスペックが著しく落ちることで中枢性疲労というものも起こるんです。

ここまでくると「オーバートレーニング症候群」となります。

「神経の過労=中枢性疲労」これ、結構厄介なんですよね。

神経はいったんダメージを負うと回復が遅いんです。

しかも中枢性の疲労は自律神経の失調として現れます。

意欲や食欲の減退や全身の倦怠感、動機や不整脈なんかも起こりやすくなります。

自律神経がうまく機能しないと回復のためのスイッチが入りにくくなるので一旦こうした状況に陥ると長期化しやすいんです。

詳細は省きますが、こうした中枢性の疲労には脳の深部にある海馬という記憶や自律神経のコントロールに関する器官のダメージが絡んでいます。

この海馬のダメージ、実はうつ状態と関連が深いんです。

ダメージを負った海馬はストレスを回避して休養を取らせれば数週間で回復するとされていますが、このストレスを回避して…というのがなかなか難しく、精神安定剤の力を借りなくてはならないこともあるんです。

そこまでに至る前に適宜対処してゆきたいところです。

では、そのオーバーユースによる故障が深まるとそのレベルに応じてどんな症状が生じるのか、

次回はスポーツ障害の病期についてご説明します。


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