人工膝関節置換術、術後も続く痛みに

2012年05月18日 | 治療の話
一年ぶりの来院になるAさん。

一年前は、遠方から月1回ほどの頻度でいらしていました。

痛む膝は一目でそれとわかる変形性膝関節症。

遠方にお住まいであるが故、計画的な治療ができず、

一進一退を繰り返すAさんの膝に

もう少し定期的に見れれば…と、

歯がゆい思いばかりが募っていたと記憶しています。


その後Aさんは、両膝とも人工関節に置き換える手術をお受けになりました。

一年ぶりの今日は、術後も続くしつこい痛みのご相談でした。

杖を片手にたどたどしい足取りのAさん。


関節を入れ替えたのに、まだ痛いなんて…

とがっかりされていましたが、

拝見したところ、なかなかどうして

とても上手に手術していただいていました。


ではなぜ痛むのか?

不思議に思うのも無理はないですね。


Aさんの場合、術後の炎症が幾分強かったのではないでしょうか?

膝を取り巻く軟部組織(皮膚・筋膜・靭帯、つまり骨以外)に

本来にあるべき隙間と申しましょうか

互いの組織同士の「滑り」が失われている状態でした。

これでは人工関節の持つ本来の可動性が損なわれていても仕方のない状況です。

(介入前、本当なら110度ほど曲がる構造なはずなのに、90度を下回っていたのです。)


処置としては、まずはじめに、

件の窮屈になった筋膜や靭帯に隙間をつくります。

筋膜リリースという穏やかな手法をメインに、ストリッピングやアスターというアグレッシブな手法を要所要所に入れてゆきます。

幸いなことに、それだけの処置でAさんの膝は本来ゆるされる可動性を取り戻してくれました。


次いで、膝の屈伸運動に合わせて正しいタイミングで筋肉が働くための機能訓練をしました。

そう、このブログでも動画で紹介したものです。

ここまででAさんのお膝は、痛みも立ち居振る舞いも問題のないまでになりました。

ただ、まだ若干腰が引けている。

臀筋の筋力低下があるのでしょう。

そこで、さらに追い打ちをかけるように(!?)最近導入したKINESISを駆使したケーブルエクササイズをすると、

大股に、颯爽と歩き出すAさん!

そして、とってもいい笑顔を見せてくれました。



まだ、この状態を定着させるには回数が必要なのですが、

初回の治療への反応としてはまずまず。


次回の治療はまた1か月後。

自宅でのエクササイズをお伝えして、今日の治療は終了となりました。


めでたしめでたし。

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