すなば たかひろ

「元気で人に優しい鳥取」を取り戻すため、県議になった元新聞記者の挑戦記。みんなで鳥取の未来像を考えましょう!

メニュー

エネルギー・雇用促進調査特別委員会の県外視察(第一日目)

2011年11月09日 | 日記
 県外視察に行きました。ちょっと長いですが、報告します。

 午前8時に鳥取をバスで出発。高速道路を一路三重県津市にある三重県庁に向かいました。エネルギー・雇用促進調査特別委員会の第一回県外調査です。三重県庁には午後1時半に到着。議会棟は6階建て。エントランスも立派です。早速、委員会室に通されました。

 まず、委員長の横山さんが「三重県は新エネルギー導入の先進県として尊敬しています。話はそれますが、伊勢国体に陸上の監督として来た思い出の地です。そのとき、優勝したのが瀬古俊彦さん。私が指導していた高校生が2位でした。しっかり勉強させていただくのでよろしくお願いします」と頭は下げました。
三重県議会の林議会事務局長は、横山委員長に話が受けたようで、「実は高校時代に瀬古を破ったことを誇りにしている県職員がいます。県議会も10年後の国体を目指す決議をして、準備を始めました」と。挨拶されました。そして、「三重県議会は平成7年以来、議会改革をしてきました。会期を年2回にして、ほぼ通年議会にしました。ですから240日くらい議会を開会しています。議会基本条例も作りました」と説明をいただき、その経過をまとめた資料をいただきました。私は議会改革推進課会議のメンバーであるので、参考にさせていただくつもりです。

 テーマである三重県新エネルギービジョンの聞き取り調査は松本・三重県政策部副部長から始めました。松本副部長は「三重県は3つの特徴がある。一つ目は海あり、山あり、盆地ありで自然に恵まれている。鈴鹿下ろしは寒いが温暖。自然エネルギーのポテンシャルが多い。二つ目は名古屋と大阪の中間。名古屋圏と大阪圏の結節点にある。産業、観光で相乗効果を目指している。三つめは分散配置。中小都市が10キロから20キロでポンポンと配置されている。合併前は津市で27万人、そのほか10万人ぐらい。大都市でしか成立しない高次都市機能がないが、1時間で名古屋、1時間半で大阪。分散型配置になっている。今春の統一地方選で36歳の鈴木知事が誕生し、県の基本計画を年度末までつくるよう準備している。三重県に課題は、台風12号に襲われた東紀州地域の復旧。肝を据えて復旧したい。また、平成25年には伊勢神宮の式年遷宮がある。一度2つの社殿が並んで見える20年に一度の年。1000万人の観光客が訪れると期待している。また、県南部に高速道路が延と伸し、熊野古道も世界遺産登録10周年を迎えるので、観光開発にしっかり取り組みたい」などと三重県の概略を聴かせていただきました。



 本題の三重県新エネルギービジョンの説明は和気・政策部土地資源室副室長です。以下は説明の概略です。

 2000年3月に新エネルギービジョンを策定し、改訂を続けている。昨年から県議会などで議論して、パブリックコメントもして、昨年度末に中間案をとりまとめたが、3.11で一変した。加えて、経済産業省資源エネルギー庁にいた鈴木さんが知事に当選。中間案の見直しを実施中だ。同ビジョンは議決案件としているので、今年度末の議決を予定している。
ビジョンの趣旨は、化石燃料からの脱却、地球温暖化の危機を防ぐ、エネルギーの輸入依存に歯止めをかける。県下に市町、環境森林部と連携し、政策部が進めている。期間は10年間、2020年度までのビジョンだ。新エネルギーを三重県では、エネルギー政策基本法の定義から、雪氷熱利用、地熱発電を外す一方で、クリーンエネルギー自動車、燃料電池、コジェネレーション、ヒート・ポンプを加え、10項目と定義した
これまでの取り組みは以下の通りです。
① 県有施設への率先導入。導入指針を策定して進めている。太陽光発電は137件1290キロワット。公立学校全部に導入した市町村もある。水道の沈殿地は、水素を入れるが、太陽光が当たるとトリハロメタンを生成する。そこで屋根を設けるが、そのうえに太陽光パネルを設置した例もある。
② 新エネルギー普及促進事業 住宅用太陽光発電の国の補助制度が2005年に打ち切られたので、2008年度まで県独自の事業として民間住宅の導入補助をしていた。太陽光発電は民間は約7割。2009年度から国の補助制度が復活したので、県の補助制度はやめた。2010年度は2600件、2011年度は4400件の補助だ。県補助時代は700件だったので、今の方が多い。
③ 新エネルギーサポーター制度
関心の高い県民、事業者を対象。普及啓発が目的。事業者が従業員を含め、一度の1000人くらいがサポーターになったこともある。
④ 新エネルギー普及啓発事業
クリーンエネルギーフェア、出前講座、研修会など様々な取り組みをしている。
⑤ 次世代エネルギーパーク
環境教育に生かしていくために冊子を作成した。この冊子を片手に小学生たちのバスで回って欲しいと考えている。

導入実績
新エネルギーの導入件数を見るとコジェネレーションが多い。県内には産業部門、企業が多いので、CO2削減より、経済的効果が大きいので、導入されている。RDF発電もある。木質バイオマスを小さなパレットにして燃やしている。

次世代エネルギーパーク
子供達がバスで県内の施設を回ることを想定した冊子。ここで取り上げた施設を説明する。
① シャープ亀山工場 堺に工場が出来るまでシャープでは一番大きい工場だった。有名な亀山モデルを製造している。ここの太陽光パネルは屋上だけでなく、シースルータイプと呼ばれる窓に貼る太陽光パネルをさいようしたことだ。三重県の日照時間は全国で10位。
② 青山高原ウィンドファーム 51機で7万1000キロが稼働中だが、2000キロで40機増設。日本一にする。
③ 松坂木質バイオマス熱利用共同組合 三重県は森林が三分の二。木材を集めるコンビナートもある。ちょうど製油会社の隣に立地しているので、混ぜて使い重油を削減している。

新エネルギービジョンの見直し作業
(1)方向性 エネルギー政策は国や電力会社だけが考えるものではない。エネルギーは県内産業の基盤として県として取り組む。県内ので新エネルギーは全エネルギーの2%程度だ。ちなみに中部電力の原子力発電の比率は14%。浜岡原発を抱えている。省エネもしっかりとコミットメントしたい。化石燃料の高効率化も必要。LNGを使ったコンバインドシステムを進めている。三重県はエネルギー移出県。川越のLNGを使ったコンバインドシステムが県内発電量の9割占める。
(2)重点プロジェクト
日照、森林という三重県の特徴を生かしたい。
① 太陽光
② 木質バイオ 輸送に費用がかかる。碧南火力発電所で2%程度を重油に加える。単独より既存の産業にリンクする。一次産業も活性化する相乗効果を狙いたい。
③ クリーンエネルギーバレー構想 エネルギー関連の産業集積をはかる。
(3)中間改定案
理念:地域におけるエネルギー持久力の向上=分散型、自立型。
将来像:導入が進んだ社会(創エネ)、効率的な社会(省エネ)、産業振興社会(研究開発)
強み:海洋資源=洋上発電、熊野灘にあるメタンハイドレードを2030年を目標に開発する。
(4)課題
① 8月26日に特別措置法が可決されたが、値段、期間は来年2月をめどに決める。30円の後半、15年くらいというのが経産省の話。商社や住宅メーカーも意欲的だが、金額次第では水を差す。国へしっかり提言していかないといけない。
② 自然エネルギーの不安定性。送電の容量を増やすことが必要。50ヘルツ、60ヘルツの壁がある。10社の電力会社間の融通ができない。ここができないとベースが出来ない。
③ 社会的な需要性を高めていく。風力発電は低周波音、騒音の懸念がある。地熱は温泉業界からの不安がある。県民にしっかり説明していく。住民に経済的なメリットを与える。メガソーラーなら、その一部を還元する。風力なら、そのいくらかを出資してもらう。金になると回る音が心地よくなる。

 以下、質疑応答が続きました。中部電力会社と県との関係、自然エネルギーでの電力供給の不安定さをどう解消するか、電力移出県のアドバンテージはあるのか、ビジョンのために特化された部局はあるのか、議会と意見交換はどうしているのかなどの質問が相次ぎました。いずれも、丁寧にご回答いただきました。
 私は「①コージェネが多いと言われたが、CO2は少ないが排出する。その点はどう考えているか。②送電線の改良を考えているとの話だったが、地域での自給自足を考えるスマートグリッドの方が、メリットが多いのではないか。③クリーンエネルギーバレーはイメージ? それとも具体的な企業集積地なのか?」と3点をお聞きしました。
 和気副室長は「確かにコジェネレーションは、炭素分は少ないが、CO2は出るには出る。オールクリーンが理想だが、エネルギー事情が逼迫する中で、省エネで取り組むことも必要でないか。スマートグリッドは地域の中での自給。ひとつの理想であることには間違いがない。課題は供給義務。電力会社は法的には供給義務を負っている。電力会社から分かれた地域は、だれが供給義務を負うのかが問題になる。新しい町なら電力会社を作り、足りない分だけをもらうとしても、その仕組みを検討してかないといけない。クリーンエネルギーバレー構想は、新エネルギー関連企業を集積化していって、実証していく流れのこと。企業がどんどん増えていくことを想定しているが、具体的にこの地域で企業団地を作るというものではない」と答えていただきました。

 これで1日目は終了です。明日は淡路市で調査します。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする