小品日録

ふと目にした光景(写真)や短篇などの「小品」を気の向くままに。

プルースト『失われた時を求めて』より、祖母との電話の場面

2006-10-29 23:22:15 | 長編つまみ食い
20世紀の代表的な小説であるこの大長編、一度読んだきりですが、話者と祖母との電話の場面が印象に残っています。
第三編「ゲルマントのほう」Iの一に出てくるエピソードで、井上究一郎訳のちくま文庫版では、第4巻の219~226ページです。

電話がもらたす遠く離れた人の声の現前の不思議さ、そしてその儚さを、見事に書いていて、ちょっと感傷的でもあります。
この文章を読むと、電話で話すという行為が、日常を超えた神秘的な世界の出来事であるように思えてきます。

「読書の秋」ということで、こんな大作に取り組んでみるのも如何でしょうか?

失われた時を求めて〈4 第3篇〉ゲルマントのほう 1

筑摩書房

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