小品日録

ふと目にした光景(写真)や短篇などの「小品」を気の向くままに。

ムージル『特性のない男』第2巻第3部第48章

2006-10-24 21:08:19 | 長編つまみ食い
前回の写真で、「小物」の可愛らしさを感じて、『特性のない男』のこの章を思い出しました。

「愛は盲目にする。あるいは、探索されない微妙な問題」と題された章で、主人公「特性のない男」ウルリヒと、「双子の妹」アガーテとが、「愛」についての議論をしている場面です。

そこに、ふと挟まれる、張り子の小馬に対する子供時代の愛情についてのエピソードが、理屈ばった会話の中で、甘くて少し切ない感情を呼び起こします。
その小馬の入れ物の中から菓子を取りだしてゆっくりと味わう、というシーンが、何ともいいです。

「ムージル著作集第5巻 特性のない男V」(松籟社)で読めます。

特性のない男 5

松籟社

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