小品日録

ふと目にした光景(写真)や短篇などの「小品」を気の向くままに。

寺田寅彦 「春六題」

2006-03-15 23:48:52 | 随筆・エッセイ
暦の上の春と気候の春との違いに始まり、単に知識として知っているというだけでは、実際に理解していることにはならない、ということに至る。
菊の成長を早回しで映し出す活動写真を見て、そんな時間尺度で春先の植物界を見ることになったら、気が違いそうだ、と想像しているのも面白いです。
その他、生命の物質的説明についての考察や、雲を観測して地形図を裏から眺める話など、著者の鋭い感覚と、スケールの大きさを感じます。
話があちこちに飛んでいく感もありますが、短い間にいろいろと楽しませ、かつ考えさせてくれる作品です。
岩波文庫「寺田寅彦随筆集 第一巻」で、9ページ。
寺田寅彦随筆集 (第1巻)

岩波書店

このアイテムの詳細を見る

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 井伏鱒二 「夜ふけと梅の花」 | トップ | 菊池寛 「忠直卿行状記」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

随筆・エッセイ」カテゴリの最新記事