小品日録

ふと目にした光景(写真)や短篇などの「小品」を気の向くままに。

泉鏡花 「絵本の春」

2006-04-01 23:59:57 | 小説
「私」は、昔、旧藩の邸町だったところにある裏小路の、春の景色を思い描く。
十余りの小僧である「私」が、その裏小路で、「貸本」の文字を眺めていると、易者をしている小母さんに声をかけられる。
そして、小母さんは、「私」にその場所にまつわる因縁じみた話を教えてくれる。
春のぼうっとした、とろけるような、夢うつつの空気には、不思議な話が似合います。
訳ありげな小母さんの存在感がいいですね。
鏡花は、妖しげな世界を魅せるのに長けています。
ちくま文庫「泉鏡花集成8」で、12ページ。
泉鏡花集成 (8)

筑摩書房

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