アメリカ連邦最高裁判所は6月24日、人工妊娠中絶はアメリカ合衆国憲法で認められた女性の権利であるとしてきた1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆す判断を示した。この判決により、アメリカでは女性が中絶を行う権利がアメリカ合衆国憲法で保障されなくなる。
それでは日本はどのような状況なのだろうか。日本では、「母体保護法」第14条で「妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」や「暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの」などの場合は、人工妊娠中絶ができるとしているが、ほぼ、妊娠した女性が希望すれば、人工妊娠中絶ができるのが実情だろう。しかし、母体保護法の第2条で「この法律で人工妊娠中絶とは、胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人工的に、胎児及びその附属物を母体外に排出することをいう。」と人工妊娠中絶の定義をしており、厚生事務次官通知により人工妊娠中絶を実施することのできる時期を、「通常満22週未満」にしており、日本でも、通常満22週を超えては人工妊娠中絶はできない。
アメリカではキリスト教の影響がかなり強い。1973年に「ロー対ウェイド」判決が下されたとき、人の生命は受精から始まるものであって、妊娠中絶は人殺しに他ならないという教会の教える信じていたカトリック教徒の多くが判決に猛反発している。また、プロテスタントの中でもエヴァンジェリカル(福音派。トランプ前大統領や共和党の強固な支持層。アメリカ人の約30~35%、約1億人程度と見積もられている )も強く反発していた。
これらのことから、アメリカでは、共和党の大統領は連邦最高裁判事に保守派を増やすことで、1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆そうとしていた。
トランプが大統領だったときに、逝去した保守派判事、引退した保守中間派の判事、逝去したリベラル派の判事、合計3人の判事の後任にすべて保守派の判事を任命したことから、保守派4人、保守中間派1人、リベラル派4人だったものが、保守派7人、リベラル派3人という構成になり、保守派であるキリスト教福音派や共和党議員が望む、1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆すことになったのである。
この判決を再度覆すためには、リベラル派の判事を5名にまで増やす必要があるが、保守派2人をリベラル派にすることは非常に困難である。アメリカの最高裁判事の任命には議会の承認が必要であることから、大統領と議会の多数派を民主党が占める必要があるが、この中間選挙では民主党は敗北模様なので、次期大統領が民主党の大統領になっても簡単にはリベラル派を増やすことはできない。1981年に就任したレーガン大統領の時代から1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆そうとしていたが、実現したのは2022年であるので、実現までに41年を要している。
先日は銃規制法が成立したが、銃の携行はアメリカ憲法で保障された国民の権利である。そして、今やアメリカでは、性犯罪や近親相姦などによって妊娠した場合でも、女性は中絶を行うことができなくなった(中絶の権利を認めている州もある。)。
ところで、妊娠とは、種の存続のために生物に与えられた機能であり、野生では妊娠中絶を認めることはできないだろう。しかし、望まない妊娠もあるため、日本でへは、母体への負担、胎児の母体外での生命保続能力などから通常満22週未満までは人工妊娠中絶を認めている。
アメリカは本当に先進国なのだろうか。
この時代になっても進化論ではなく天地創造の神話を信じるアメリカ人が全国民の約半数いると言われている国、アメリカ(ちなみに、進化を信じていても、神が進化の過程を導いていると考える人達が37%、天地創造を信じている人と合わせると8割以上になるという(『神と科学は共存できるか?』スティーヴン・ジェイ・グールド(日経BP社)))。
旧約聖書に登場する人類の始祖はアダムとその妻イブであるが、イブはアダムのあばら骨から、そのよき助け手としてつくられていることから、女性は男性に従うべき存在であるとキリスト教福音派などは考えている(ちなみに、イブは蛇にそそのかされて智恵の実を食べたことから、女性は、神から産みの苦しみ(出産時の苦痛)を与えられた。)。
共和党支持のアメリカの民衆(このうちの低学歴白人労働者層の多くが熱狂的なトランプ支持者)とは、キリスト教、聖書を信じ、信仰に厚く、純粋(ナイーブ)な人達が多いということだろう。人のいい民衆は気が合えば楽しい人達だろうが、他方で、ポピュリズムの担い手となり、トランプのような人間を大統領にしてしまう人達でもある。トム・ソーヤーの冒険に出てくる民衆、赤毛のアンに出てくる民衆、そういった人達がアメリカの民衆であり、時代が変わっても民衆の在り方は変わっていないのだろう。
アメリカの民衆に比べて日本の民衆はかなりリベラルなのである。
それでは日本はどのような状況なのだろうか。日本では、「母体保護法」第14条で「妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」や「暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの」などの場合は、人工妊娠中絶ができるとしているが、ほぼ、妊娠した女性が希望すれば、人工妊娠中絶ができるのが実情だろう。しかし、母体保護法の第2条で「この法律で人工妊娠中絶とは、胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人工的に、胎児及びその附属物を母体外に排出することをいう。」と人工妊娠中絶の定義をしており、厚生事務次官通知により人工妊娠中絶を実施することのできる時期を、「通常満22週未満」にしており、日本でも、通常満22週を超えては人工妊娠中絶はできない。
アメリカではキリスト教の影響がかなり強い。1973年に「ロー対ウェイド」判決が下されたとき、人の生命は受精から始まるものであって、妊娠中絶は人殺しに他ならないという教会の教える信じていたカトリック教徒の多くが判決に猛反発している。また、プロテスタントの中でもエヴァンジェリカル(福音派。トランプ前大統領や共和党の強固な支持層。アメリカ人の約30~35%、約1億人程度と見積もられている )も強く反発していた。
これらのことから、アメリカでは、共和党の大統領は連邦最高裁判事に保守派を増やすことで、1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆そうとしていた。
トランプが大統領だったときに、逝去した保守派判事、引退した保守中間派の判事、逝去したリベラル派の判事、合計3人の判事の後任にすべて保守派の判事を任命したことから、保守派4人、保守中間派1人、リベラル派4人だったものが、保守派7人、リベラル派3人という構成になり、保守派であるキリスト教福音派や共和党議員が望む、1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆すことになったのである。
この判決を再度覆すためには、リベラル派の判事を5名にまで増やす必要があるが、保守派2人をリベラル派にすることは非常に困難である。アメリカの最高裁判事の任命には議会の承認が必要であることから、大統領と議会の多数派を民主党が占める必要があるが、この中間選挙では民主党は敗北模様なので、次期大統領が民主党の大統領になっても簡単にはリベラル派を増やすことはできない。1981年に就任したレーガン大統領の時代から1973年の「ロー対ウェイド」判決を覆そうとしていたが、実現したのは2022年であるので、実現までに41年を要している。
先日は銃規制法が成立したが、銃の携行はアメリカ憲法で保障された国民の権利である。そして、今やアメリカでは、性犯罪や近親相姦などによって妊娠した場合でも、女性は中絶を行うことができなくなった(中絶の権利を認めている州もある。)。
ところで、妊娠とは、種の存続のために生物に与えられた機能であり、野生では妊娠中絶を認めることはできないだろう。しかし、望まない妊娠もあるため、日本でへは、母体への負担、胎児の母体外での生命保続能力などから通常満22週未満までは人工妊娠中絶を認めている。
アメリカは本当に先進国なのだろうか。
この時代になっても進化論ではなく天地創造の神話を信じるアメリカ人が全国民の約半数いると言われている国、アメリカ(ちなみに、進化を信じていても、神が進化の過程を導いていると考える人達が37%、天地創造を信じている人と合わせると8割以上になるという(『神と科学は共存できるか?』スティーヴン・ジェイ・グールド(日経BP社)))。
旧約聖書に登場する人類の始祖はアダムとその妻イブであるが、イブはアダムのあばら骨から、そのよき助け手としてつくられていることから、女性は男性に従うべき存在であるとキリスト教福音派などは考えている(ちなみに、イブは蛇にそそのかされて智恵の実を食べたことから、女性は、神から産みの苦しみ(出産時の苦痛)を与えられた。)。
共和党支持のアメリカの民衆(このうちの低学歴白人労働者層の多くが熱狂的なトランプ支持者)とは、キリスト教、聖書を信じ、信仰に厚く、純粋(ナイーブ)な人達が多いということだろう。人のいい民衆は気が合えば楽しい人達だろうが、他方で、ポピュリズムの担い手となり、トランプのような人間を大統領にしてしまう人達でもある。トム・ソーヤーの冒険に出てくる民衆、赤毛のアンに出てくる民衆、そういった人達がアメリカの民衆であり、時代が変わっても民衆の在り方は変わっていないのだろう。
アメリカの民衆に比べて日本の民衆はかなりリベラルなのである。
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