情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

冷温停止状態は大本営発表、そのまま報じるメディアは「人民日報」か「プラウダ」か?

2011-12-14 12:04:48 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 NHKが【政府は、東京電力福島第一原子力発電所の事故について、「原子炉が『冷温停止状態』に達し、安定状態に至った」として、16日に、事故の収束に向けた工程表の「ステップ2」の達成を発表する方針です】と報道した。これはまさに政府の方針の垂れ流しだ。というにも、達成出来ていないことは明らかだからだ(※1)。

※1 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111214/t10014618531000.html

 NHKは、【政府が10月に見直した、福島第一原発の事故の収束に向けた工程表では、原子炉の冷温停止などを要件とする「ステップ2」を年内に達成することを目標に掲げました。これについて、政府は14日までに、原子炉の圧力容器の底部や格納容器の中の温度が、おおむね100度以下となっていること、放射性物質の放出が抑えられ、原発の敷地境界の被ばく線量が年間1ミリシーベルトを下回っていること、さらに、汚染水を浄化して再び原子炉に戻す「循環注水冷却」のシステムについて、故障や事故に備えて、何重もの代替手段を確保できたことなど、「ステップ2」の要件を満たしたことを確認しました】と報道した。

 しかし、【汚染水を浄化して再び原子炉に戻す「循環注水冷却」のシステムについて、故障や事故に備えて、何重もの代替手段を確保できたこと】という部分が間違っていることは明白だ。つい先日(8日)、東電は、来年3月には循環注水のシステムの一環である汚染水貯蔵タンクを設置する場所がなくなるため、浄化した汚染水を海洋に放出すると発表し、漁民らの反対を受けて放出を撤回したばかりだ。

 つまり、循環冷却システムは、まったく、十分とは言えないのだ。それにもかかわらず、厚顔にも、冷温停止状態を達成したという政府発表は、戦時中に不利な戦況を有利だとごまかした「大本営発表」そのものだ。

 その政府の発表をそのまま報道するメディアは、旧ソ連の「プラウダ」や中国の「人民日報」のような政府礼賛メディアとどこが違うのだろうか…。

 許せないと思った方は、官邸やNHKなどに抗議を!

 官邸は「内閣官房内閣広報室〒100-8968東京都千代田区永田町1-6-1 03-3581-0101(代表)」 、民主党は「100-0014 東京都千代田区永田町1-11-1 TEL:03-3595-9988(代表) FAX:03-3595-9961」だ。


 もう一つ、大本営発表を紹介する。

 保安院は、12日、【福島第一原子力発電所第1~4号機に対する「中期的安全確保の考え方」に関する東京電力からの報告書(その1)の評価結果】を発表した(※2)。

※2 http://www.meti.go.jp/press/2011/12/20111212005/20111212005-2.pdf

 この4頁で、シビアアクシデントへの対策に関する評価が示されている。

「シビアアクシデント相当として、何らかの原因によって原子炉注水が長時間停止する場合として、注水停止時間 12 時間を想定した評価がなされている。この 12 時間の想定については、今回の事故時における消火ポンプの停止確認から、消防車による注水開始に要した時間(7 時間)並びに当時と比較して手順書が整備され定期的な訓練も実施されていることを踏まえ設定している。」としたうえ、「これらの異常時の評価のうち過渡相当及び事故相当について、原子炉への注水停止の時間を注水再開可能時間に余裕を取った時間を想定しており、評価方法、評価条件についても保守的な条件が設定されており妥当なものと評価した」としている。

 ところが、余震で大きな津波が来て敷地に達した際には、敷地内にたまっている汚染水が漏れ出すことが想定される。その想定ができているのかを月曜日の統合会見で確認したところ、東電がその想定をしているという答だった。そこで、東電の想定を確認したら、次のようなものだった(※3)。

【(4) 津波による滞留水の希釈を以下のとおり考慮する。
①各建屋の地下階に存在する滞留水は、津波時に想定される海水により浸水し、地表面まで水位上昇するとし、それに相当する量の希釈を均一に考慮する。
②OP.10,000 のヤードは約 4m まで水没する(東日本大震災の津波での実績)とし、そ
れに相当する量の希釈を考慮する(OP.10,000 のヤード面積は約 12 万 ㎡)。

(5)ヤード全域に深さ1cmの無限平板相当の水溜まりが存在することを想定し、線源の大きさは、1cm×50m×50m の汚染水の水溜まりとする。

3. 評価結果
上記条件による評価結果は約10mSv/hであり、適切な放射線防護を講じた上で作業可能な水準であると考えられる。】

※3 http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu11_j/images/111207a.pdf の1-124~1-125

 一見しておかしいことがある。それは水没の高さを4mとしてることだ。それだけ多量の水によって希釈されるとは限らない。水没の高さは、2mかもしれないし、1mかもしれないし、50cmかもしれない。その場合、放射線量は、約10mSv/hではなく、もっと高くなることが想定されるはずだ。そうなると、12時間で注水が可能になるかどうか、心もとない。

 その点を聞いたところ、いま手元に計算結果がないと逃げた。次回、この計算結果が明らかにされる予定だ。

 私の印象は、保安院の評価は、東電がした試算をそのまま丸呑みにした「大本営発表」に過ぎない、というものだ。次の記者会見の説明でその危惧が払拭されることを期待したい。



 





●日本、特に東北・関東の保護者必読の書●

「ICRP Publ. 111 日本語版・JRIA暫定翻訳版」(http://www.jrias.or.jp/index.cfm/6,15092,76,1,html)

「緊急時被ばく状況における人々に対する防護のための委員会勧告の適用(仮題)=109」
(http://www.jrias.or.jp/index.cfm/6,15290,76,1,html)

アメリカ科学アカデミーの文献「BEIR-VII」(Biological Effects of Ionizing Radiation-VII、電離放射線の生物学的影響に関する第7報告)
http://archives.shiminkagaku.org/archives/radi-beir%20public%20new.pdf



◆東電本社の記者会見は、午前11時~正午から始まる単独会見、午後5時ごろからの統合本部会見の2回となっている。インターネットで生中継と録画配信されている◆

 → ニコ生 http://live.nicovideo.jp/ 

   岩上さんのサイト http://ow.ly/4wCEr



◆東電会見に出席し続けている木野龍逸さんへの支援金の振込先口座は下記のとおりです。

 郵便局の振替口座
 口座番号は、00100-5-362362
 口座名称は、木野龍逸支援の会(キノリュウイチシエンノカイ)


 なお、銀行からの場合、
 ゆうちょ銀行
 〇一九店
 当座預金
 0362362
 にお願いします(できれば郵便局の振替でお願いします)。



◆以下参考◆


原子炉建屋とタービン建屋の図。クリックで拡大できます。

   ↓

 


【日弁連の東日本大震災・原発事故災害復興支援活動】
→ http://www.nichibenren.or.jp/activity/human/higashinihon_daishinsai.html





◆参加してみました。クリックお願いします。
   ↓
人気ブログランキングへ

◆持ち込み可視化についてアンケート実施しました。ご協力ありがとうございました。
   ↓
http://blog.with2.net/vote/?m=v&id=57952

【ツイッターアカウント】yamebun


●沖縄への連帯ツイッターキャンぺーン●

【ツイッターアカウント】@BarackObama

【メール】→http://www.whitehouse.gov/contactから


【ツイッター例文】
JAPAN IS NOT US'S COLONY! We won't support US BASE. All US BASE OUT! from our country.

Please HELP Okinawa. 75% of the American bases in JP is in the islands, only 0.6% of JP land. Relocate #Futenma base outside.

Marine in Futenma must go back to your country. There is no place where the base of Marine is acceptable in Japan.

Okinawa and a lot of Japanese oppose the transfer of the Futenma base to Henoko


At least180 MPs of ruling parties say NO to Futenma relocation within Okinawa. Check this http://bit.ly/9jQIW8



 ●今回の原発事故から、原子力村の実態、大手マスメディア経営陣がそれに取り込まれている実態が明らかとなりました。この実態を打破するための仕組みを紹介した拙著を紹介させていただきます。もし、このブログをお読みの方でまだ、これらの本に目を通されていない方は、最寄りの図書館にリクエストしてお読みください。外国でどのような対策が実行されているかがお分かりいただけると思います。今後、3・11の再来を防ぐための具体的な方法のいくつかだと確信しています。








★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて:Gilbert's Nuremberg Diary)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。なお、多忙につき、試行的に、コメントの反映はしないようにします。コメント内容の名誉毀損性、プライバシー侵害性についての確認をすることが難しいためです。情報提供、提案、誤りの指摘などは、コメント欄を通じて、今後ともよろしくお願いします。転載、引用はこれまでどおり大歓迎です。


最新の画像もっと見る